似た意味を持つ「不可逆的」(読み方:ふかぎゃくてき)と「可逆的」(読み方:かぎゃくてき)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「不可逆的」と「可逆的」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。
不可逆的と可逆的の違い
不可逆的と可逆的の意味の違い
不可逆的と可逆的の違いを分かりやすく言うと、不可逆的とは元に戻れない性質、可逆的とは元に戻れる性質という違いです。
不可逆的と可逆的の使い方の違い
一つ目の不可逆的を使った分かりやすい例としては、「感染症で不可逆的な肺機能の損失を負った」「加熱が不可逆的変化をもたらす」「たんぱく質の機能を不可逆的に阻害する」「時間は不可逆的だから大事にしなさい」などがあります。
二つ目の可逆的を使った分かりやすい例としては、「書き換えが可能な可逆的記録媒体です」「色の可逆的変化について調べる」「力学的現象は基本的に可逆的です」「可逆的に変形する新材料を開発した」などがあります。
不可逆的と可逆的の使い分け方
不可逆的と可逆的という言葉は、どちらも物事の性質や化学反応に関して使われている言葉です。二つの言葉は、相反する「不可」と「可」という語句が示すとおり、意味や使い方に大きな違いがあります。
不可逆的とは、変化したものが元に戻れない性質を意味します。例えば、生卵とゆで卵の関係のように、一度熱を加えてゆで卵にしてしまったら、冷やしても何をしても生卵には戻らない性質のことです。
可逆的とは、変化したものが元に戻りうる性質を意味します。例えば、水と氷の関係のように、水は冷却すれば氷に変化し、その氷に熱を加えれば元の水に戻ることが出来る性質のことです。
不可逆的という言葉は、「可逆的」に打ち消しの「不」が付いたものであり、可逆的とは正反対の意味を持つことを覚えておきましょう。
不可逆的と可逆的の英語表記の違い
不可逆的を英語にすると「irreversibly」「irreversible」となり、例えば上記の「不可逆的な肺機能の損失」を英語にすると「irreversible loss of lung function」となります。
一方、可逆的を英語にすると「reversible」「reversibly」となり、例えば上記の「可逆的記録媒体」を英語にすると「reversible recording medium」となります。
不可逆的の意味
不可逆的とは
不可逆的とは、変化したものが元の状態に戻ることができないさまを意味しています。
表現方法は「不可逆的解決」「不可逆的な変化」「不可逆的なもの」
「不可逆的解決」「不可逆的な変化」「不可逆的なもの」などが、不可逆的を使った一般的な言い回しです。「不可逆的解決」の意味は、過去に起きた問題が元に戻らず、二度と起きないように解決することを表しています。
不可逆的の使い方
不可逆的を使った分かりやすい例としては、「看護学で身体は不可逆的に衰退すると学んだ」「不可逆的存在の証明をしてください」「基質濃度に依存せずに不可逆的阻害をする」「不可逆的変化の事例を挙げる」などがあります。
その他にも、「不可逆的阻害剤の構造を解析する」「不可逆的な英語の学習方法が知りたい」「加齢による変化は不可逆的です」「病気の進⾏が不可逆的で医療の施しようがない」「この問題は不可逆的解決にしたはずです」などがあります。
不可逆的という言葉の「不可逆」とは、ある状態に変化した事物が、再び元の状態に戻ることができないことです。そのような性質や状態である「的」と組み合わさり、不可逆的とは、元の状態に戻ることができない性質を表します。
「身体は不可逆的に衰退する」の意味
上記の例文の「身体は不可逆的に衰退する」とは、身体機能は加齢とともに衰える一方であり、逆に若返ることはないことを表しています。
「不可逆的変化」の意味
不可逆的を用いた日本語には「不可逆的変化」があります。不可逆的変化とは、「不可逆変化」「不可逆過程」とも言い、変化する前の状態に戻せない変化を意味します。熱伝導、摩擦、爆発などが典型的な不可逆的変化ですが、自然界の変化は厳密には全て不可逆的であると言えます。
不可逆的の対義語
不可逆的の対義語・反対語としては、逆に戻りうることや元の状態に戻りうることを意味する「可逆」、修繕して元のとおりにすることを意味する「修復」などがあります。
不可逆的の類語
不可逆的の類語・類義語としては、変化する前の状態に戻せない変化を意味する「不可逆変化」、損害や失敗などが取りかえしがつかないほど大きいさまを意味する「致命的」、圧縮後のファイルから圧縮前と同一のファイルを復元できないことを意味する「非可逆圧縮」などがあります。
可逆的の意味
可逆的とは
可逆的とは、変化したものが元の状態に戻りうるさまを意味しています。
表現方法は「可逆的思考」「可逆的に遮断」「可逆的な操作」
「可逆的思考」「可逆的に遮断」「可逆的な操作」などが、可逆的を使った一般的な言い回しです。
可逆的の使い方
可逆的を使った分かりやすい例としては、「可逆的に変色する素材を手に入れる」「可逆的に分離した物質です」「可逆的変化で出来た結晶です」「医者から可逆的虚血症状だと説明された」などがあります。
その他にも、「可逆的変化を持たせることは困難です」「可逆的コリンエステラーゼ阻害薬を用いて実験する」「日本語と英語の可逆的な英語学習が一般的です」「可逆的阻害剤は3つに分類できます」などがあります。
可逆的という言葉の「可逆」とは、逆に戻りうること、元の状態に戻れる可能性があることを意味します。そのような性質や状態である「的」と組み合わさり、可逆的とは、変化したものを元の状態に戻すことができるような性質を表します。
「可逆的阻害剤」の意味
可逆的という言葉を用いた日本語には「可逆的阻害剤」があります。酵素分子に結合してその活性を低下または消失させる酸素阻害剤の一種です。非共有結合によって酵素に結合するため、元の状態に戻ることができます。
可逆的の対義語
可逆的の対義語・反対語としては、再びもとの状態にもどれないことを意味する「不可逆」、逆にすることができないさまを意味する「非可逆的」、力を加えて変形させたあとに力を取り去っても元に戻らない性質を意味する「可塑性」などがあります。
可逆的の類語
可逆的の類語・類義語としては、もとの形態や位置に戻すことを意味する「復元」、一度失ったものを取り返すことを意味する「回復」、壊れたり傷んだりしたものを元の状態にすることを意味する「復旧」などがあります。
不可逆的の例文
この言葉がよく使われる場面としては、元に戻ることができない性質を持つものを表現したい時などが挙げられます。
例文4にある「不可逆的解決」の意味は、過去に起きた問題が元に戻らず、二度と起きないように解決することです。
可逆的の例文
この言葉がよく使われる場面としては、元の状態に戻せる性質を表現したい時などが挙げられます。
例文4にある「可逆的思考」とは、物事を1つの観点から見ながらも、その正反対の観点からも見つめることができる能力のことです。心理学者のピアジェは、子どもの発達段階の第三期において出現する論理的思考能力だと考えました。
不可逆的と可逆的という言葉は、どちらも物事の性質を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、元に戻らない性質を表現したい時は「不可逆的」を、元に戻せる性質を表現したい時は「可逆的」を使うようにしましょう。