同じ「おとこぎ」という読み方の「男気」と「侠気」と「漢気」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「男気」と「侠気」と「漢気」という言葉は同音の言葉で、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
男気と侠気と漢気の違い
男気と侠気と漢気の意味の違い
男気と侠気と漢気の違いを分かりやすく言うと、男気は苦しむ人を見逃せない性質を表現する時に使い、侠気は自己犠牲的な性質を表現する時に使い、漢気は男らしさを表現する時に使うという違いです。
男気と侠気と漢気の使い方の違い
男気という言葉は、「男気あふれる彼なら友人を大切にしてくれると思っている」「男気があろうがなかろうが他に優しくするのは普通である」などの使い方で、弱い人がくるんでいるのを見逃せない気立てや、男らしい性質を意味します。
侠気という言葉は、「侠気がある女性は良いリーダーになる」「侠気を大切にしながら毎日を過ごしている」などの使い方で、困っている人や苦しんでいる人を放っておけない性質を意味します。
漢気という言葉は、「彼は漢気で売っている芸人である」「漢気のある料理に憧れる」などの使い方で、男性らしさや雄々しさを意味します。
男気と侠気と漢気の使い分け方
男気と侠気は全く同じ意味を持つ言葉ですが、後者は「きょうき」という読み方ができ、その場合も弱い者を助ける気立てを意味するため、体を張る自己犠牲的な精神の意味合いが男気という言葉よりも強いと言えます。
一方の漢気は、男性らしい性質を意味する言葉です。男気はもちろんですが、弱い人を助けることを男らしさに含む場合であれば侠気と置き換えて使うことができます。
そのため、言葉の意味に幅がある順番に並べると、男気≧漢気≧侠気となりますが、男らしさをどう定義づけるかで変わります。
これが、男気、侠気、漢気の明確な違いです。
男気の意味
男気とは
男気とは、弱い者が苦しんでいるのを見逃せない気性を意味しています。
男気の読み方
男気は「おとこぎ」という読み方をしますが、「おとこげ」や「おとこけ」という読み方をすることもできます。ただし、その場合は男性が居ることを感じさせる様子や雰囲気を意味する言葉に変わります。
男気は女性にも使われる
男気は、男性らしい性質や性格などを意味する言葉として使われていますが、男性だけでなく女性に対しても使われることがあります。
表現方法は「男気がある」「男気ある女性」「男気がない」
「男気がある」「男気ある女性」「男気がない」などが、男気を使った一般的な言い回しです。
男気の対義語
男気の対義語・反対語としては、しとやかで優しい気性を意味する「女気」(読み方:おんなぎ)があります。
男気の類語
男気の類語・類義語としては、男としての面目が立つように振舞うことを意味する「男伊達」(読み方:おとこだて)、気性が強く信念を曲げないことを意味する「剛直」、物事を一途に思い込む性質を意味する「一本気」(読み方:いっぽんぎ)があります。
侠気の意味
侠気とは
侠気とは、弱い者を助けようとする気性を意味しています。
侠気の読み方
侠気は「おとこぎ」という読み方をしますが常用漢字表に掲げられている読み方ではないため、「きょうき」という読み方として使われることの方が多く、「おとこぎ」は別の漢字表記があてられます。
「おとこぎ」でも「きょうき」でも変わらず、弱い者を助けようとする性質を意味します。
元は、中国の春秋時代に生まれた考え方で、困っている時に助けてもらったら命を掛けてでも恩義を返すことで義理を果たすという精神が重視されており、義侠心を持って困っている人たちを救う武力集団を「侠客」と呼んでいました。
また、戦前の日本でも任侠道が武士道と同列の物であると考えられていましたが、侠客については中国のものと同じ性質を意味せず、室町時代の常識外れな行動をしていた人たちを意味する「かぶき者」に由来して、体制に反抗する者を指すようになりました。
侠気の類語
侠気の類語・類義語としては、困っていたり苦しんでいたりする人を見ると放っておけずに、彼らを助けるため体を張るような性質を意味する「任侠」、正義を重んじて強い者を抑え、弱い者を助けることを意味する「義侠」(読み方:ぎきょう)があります。
漢気の意味
漢気とは
漢気とは、男らしい様子や思考を意味しています。
漢気の読み方
漢気は「おとこぎ」という読み方をして、「かんぎ」や「かんき」などの読み方はしませんが、常用漢字表には「漢」を「おとこ」と読むことができるという記載はありません。
漢気の漢という字は、4世紀ごろから中国で男性を「漢子」と呼ぶようになったことから、男性を意味するようになり、日本でも男性という意味を持つようになります。
例えば、日本で使われる言葉に、大きい男性を意味する「巨漢」や、乱暴をはたらく男を意味する「暴漢」などがあります。また、どんな男性を表すかは共に使われる漢字に依存します。
そのため、漢気という言葉も、男性らしい性質や性格、物の考え方を意味する言葉として使われていますが、女性に対しても使われることがあります。
表現方法は「漢気のある人」「漢気のある女」
「漢気のある人」「漢気のある女」などが、漢気を使った一般的な言い回しです。
漢気の類語
漢気の類語・類義語としては、感動しやすく熱烈な意気と情熱をもって事に当たる男性を意味する「熱血漢」、荒々しく鋭い様子を意味する「精悍」(読み方:せいかん)、勇ましい様子を意味する「雄々しい」があります。
男気の例文
この言葉がよく使われる場面としては、弱い者が苦しんでいるのを見逃せない気性を意味する時などが挙げられます。
どの例文の男気も、侠気に置き換えて使うことができますが、漢気に置き換えて使うのはあまり好ましくありません。
侠気の例文
この言葉がよく使われる場面としては、弱い者を助けようとする気性を意味する時などが挙げられます。
どの例文の侠気も、男気に置き換えて使うことができますが、漢気に置き換えて使うのはあまり好ましくありません。
漢気の例文
この言葉がよく使われる場面としては、男らしい様子や思考を意味する時などが挙げられます。
どの例文の漢気も、男気や侠気に置き換えて使うことができますが、侠気であれば他を助けるような意味合いが強くなります。
男気と侠気と漢気どれを使うか迷った場合は、男気は苦しむ人を見逃せない性質を表す場合は「男気」を、自己犠牲的な性質を表す場合は「侠気」を、男らしさを表す場合は「漢気」を使うと覚えておけば間違いありません。