同じ「のぞむ」という読み方の「望む」と「臨む」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「望む」と「臨む」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。
「望む」と「臨む」の違い
「望む」と「臨む」の意味の違い
「望む」と「臨む」の違いを分かりやすく言うと、「望む」とは願うことや欲すること、「臨む」とは風景や場所などを目の前にすることという違いです。
「望む」と「臨む」の使い方の違い
一つ目の「望む」を使った分かりやすい例としては、「誰もが幸福を望んでいる」「遠くから富士山を望む」「残業が無くなることを切に望む」「社長になることを望む」「彼女が成功することを望む」「彼女はプロの歌手になることを望んでいる」などがあります。
二つ目の「臨む」を使った分かりやすい例としては、「オリンピックの開会式に臨む」「厳正な態度で娘に臨む」「湖に臨む部屋を取りました」「ピアノのコンクルールに臨む」「私の家は湖に臨んでいる」などがあります。
「望む」と「臨む」の使い分け方
「望む」と「臨む」は同音の言葉ですが、意味は異なっているので間違えないように注意しましょう。
「望む」は願うことや欲することや遠くを眺めることを意味しているのに対して、「臨む」は風景や場所などを目の前にすること、ある事態が起こるようなところに身を置くこと、その場所へ出掛けていくこと、予想できる事態に対応した態度で人に対することを意味しています。
ただし、「望む」遠くを眺めることと、「臨む」の風景や場所などを目の前にすることの意味は間違えやすいので注意が必要です。簡単に言うならば、「望む」は遠い対象に使うのに対して、「臨む」は近い対象に使います。
分かりやすい例を挙げると、「海を望む別荘」と「海に臨む別荘」があります。前者は海全体を見渡せる遠くにある別荘を表すのに対して、後者は海に対面している近い別荘を表しています。
「望む」と「臨む」の英語表記の違い
「望む」を英語にすると「want」「wish」「expect」「see」となり、例えば上記の「彼女はプロの歌手になることを望んでいる」を英語にすると「she wants to professional singer」となります。
一方、「臨む」を英語にすると「face」「confront」「attend」となり、例えば上記の「私の家は湖に臨んでいる」を英語にすると「My house faces the lake」となります。
「望む」の意味
「望む」とは
「望む」とは、願うことや欲することを意味しています。その他にも、遠くを眺めることの意味も持っています。
表現方法は「望むところだ」「望むこと」「強く望む」
「望むところだ」「望むこと」「強く望む」などが、「望む」を使った一般的な言い回しになります。
「望む」の使い方
「彼女との仲直りを望む」「優勝するにはより一層の努力が望まれる」「昇進することを望む」「幸せになりたいと望む」などの文中で使われている「望む」は、「願うことや欲すること」の意味で使われています。
一方、「このレストランは絶景を望むことができるのでいつも予約でいっぱいです」「窓から東京スカイツリーを望む」などの文中で使われている「望む」は、「遠くを眺めること」の意味で使われています。
「望む」は二つの意味を持つ言葉ですが、どちらの意味でも使われています。また、ビジネスシーンや日常生活など、様々な場面で使うことが可能です。
「望む」の類語
「望む」の類語・類義語としては、遠くを眺めることを意味する「見遣る」(読み方:みやる)、視野に入ってくるもの全体を見ることを意味する「眺める」、願い望むことを意味する「願望」、欲しいと思うことを意味する「欲する」などがあります。
「臨む」の意味
「臨む」とは
「臨む」とは、風景や場所などを目の前にすることを意味しています。その他にも、ある事態が起こるようなところに身を置くこと、その場所へ出掛けていくこと、予想できる事態に対応した態度で人に対することの意味持っています。
表現方法は「全力で臨む」「仕事に臨む」「会議に臨む」「面接に臨む」
「全力で臨む」「仕事に臨む」「会議に臨む」「面接に臨む」などが、「臨む」を使った一般的な言い回しになります。
「臨む」の使い方
「海に臨む旅館に宿泊しました」「親友との別れに臨む」などの文中で使われている「臨む」は、「風景や場所などを目の前にすることやある事態が起こるようなところに身を置くこと」の意味で使われています。
一方、「気合を入れて県大会の決勝戦に臨む」「強権の発動をもって臨む」などの文中で使われている「臨む」は、「その場所へ出掛けていくことや予想できる事態に対応した態度で人に対すること」の意味で使われています。
「臨む」は複数の意味を持つ言葉ですが、どの意味でも使われています。また、意味は異なっているものも多いので、前後の文章を参考にどの意味で使っているか把握するようにしましょう。
「臨む」ビジネスシーンや日常生活など、様々な場面で使うことが可能です。
「臨む」の類語
「臨む」の類語・類義語としては、ある出来事や事態に直面することを意味する「際する」、互いに正面を見て対することを意味する「向き合う」、向き合って接することを意味する「面する」、向かい合うことを意味する「相対する」などがあります。
「望む」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、願うことや欲することを表現したい時などが挙げられます。その他にも、遠くを眺めることを表現したい時にも使います。
例文1から例文3の「望む」は願うことや欲すること、例文4と例文5の「望む」は遠くを眺めることの意味で使っています。
「臨む」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、風景や場所などを目の前にすることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、ある事態が起こるようなところに身を置くこと、その場所へ出掛けていくこと、予想できる事態に対応した態度で人に対することを表現したい時に使います。
例文1の「臨む」は風景や場所などを目の前にすること、例文2の「臨む」はある事態が起こるようなところに身を置くこと、例文3と例文4の「臨む」はその場所へ出掛けていくこと、例文5の「臨む」は予想できる事態に対応した態度で人に対することの意味で使っています。
「望む」と「臨む」は同音の言葉ですが、意味が異なっています。どちらの言葉を使うか」迷った場合、願うことや欲することを表現したい時は「望む」を、風景や場所などを目の前にすることを表現したい時は「臨む」を使うと覚えておきましょう。