似た意味を持つ「万障お繰り合わせの上」(読み方:ばんしょうおくりあわせのうえ)と「奮って」(読み方:ふるって)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「万障お繰り合わせの上」と「奮って」という言葉は、どちらも参加や出席を促すことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「万障お繰り合わせの上」と「奮って」の違い
「万障お繰り合わせの上」と「奮って」の意味の違い
「万障お繰り合わせの上」と「奮って」の違いを分かりやすく言うと、「万障お繰り合わせの上」は強制的なニュアンスがある、「奮って」とは強制的なニュアンスはないという違いです。
「万障お繰り合わせの上」と「奮って」の使い方の違い
一つ目の「万障お繰り合わせの上」を使った分かりやすい例としては、「ご多用中のところ恐縮ですが、万障お繰り合わせの上、ご参加ください」「万障お繰り合わせの上ご参加頂けますと幸いです」などがあります。
二つ目の「奮って」を使った分かりやすい例としては、「当イベントは皆さん奮ってご参加ください」「奮ってのご参加をお待ちしております」「来月社内イベントを行いますので奮ってご参加ください」などがあります。
「万障お繰り合わせの上」と「奮って」の使い分け方
「万障お繰り合わせの上」と「奮って」はどちらも似た意味を持つ言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「万障お繰り合わせの上」はあらゆる予定を調整して参加できるよう都合をつけることを意味しています。つまり、相手に対して参加を強制する場合に使う言葉です。
一方、「奮って」は自ら進んでや積極的なことを意味しています。つまり、「奮ってご参加ください」とすると、参加や出席は自由にしてくださいという意味になり。強制的なニュアンスはありません。
以上のことから「万障お繰り合わせの上」は強制的に参加というニュアンスがあるのに対して、「奮って」は強制的に参加というニュアンスがないというのが違いです。
「万障お繰り合わせの上」と「奮って」の英語表記の違い
「万障お繰り合わせの上」を直訳した英語はありません。近い表現として、「we hope」「earnestly requested」などがあります。
一方、「奮って」を英語にすると「heartily」「cordially」「energetically」となり、例えば上記の「奮ってご参加ください」を英語にすると「You are cordially invited to take part」となります。
「万障お繰り合わせの上」の意味
「万障お繰り合わせの上」とは
「万障お繰り合わせの上」とは、あらゆる予定を調整して参加できるよう都合をつけることを意味しています。
「万障お繰り合わせの上」の読み方
「万障お繰り合わせの上」の読み方は「ばんしょうおくりあわせのうえ」です。「まんしょうおくりあわせのうえ」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「万障お繰り合わせの上ご参加ください」「万障お繰り合わせの上ご出席ください」
「万障お繰り合わせの上ご参加ください」「万障お繰り合わせの上ご出席ください」「大変恐縮ですが万障お繰り合わせの上」などが、「万障お繰り合わせの上」を使った一般的な言い回しになります。
「万障お繰り合わせの上」の使い方
「万障お繰り合わせの上」を使った分かりやすい例としては、「忘年会を開催いたしますので、皆様には万障お繰り合わせの上、ご参加いただきますようお願いいたします」「ご多忙のところ恐れ入りますが、万障お繰り合わせの上ご参加ください」などがあります。
「万障お繰り合わせの上」は色々の不都合な事情ことを意味する「万障」に、やりくりして都合をつけることを意味する「繰り合わせ」が合わさり、あらゆる予定を調整して参加できるよう都合をつけることの意味で使われている言葉です。
「万障お繰り合わせの上」は相手にイベントなどを強制的に参加させる場合に使う言葉なので、自由参加のイベントなど、プライベートにおいて使うのはあまり適していません。会社の会合や学校の行事など、強く参加を促す必要がある場合に使う言葉と覚えておきましょう。
また、事前に出欠確認がされており参加が決定している場合は、「万障お繰り合わせの上」を使っても問題ありません。
「万障お繰り合わせの上」は「ご多忙のところ恐れ入りますが」や「ご多忙の中大変恐縮ですが」などのクッション言葉を文頭に入れることによって、相手に丁寧な印象を与えることができると覚えておきましょう。
「万障お繰り合わせの上」の類語
「万障お繰り合わせの上」の類語・類義語としては、 心を込めて強く願うことを意味する「是非」、是非を強めたことを意味する「是非とも」、平身低頭に何かをお願いしたいことを意味する「伏してお願い申し上げます」などがあります。
「奮って」の意味
「奮って」とは
「奮って」とは、自ら進んでや積極的なことを意味しています。
「奮って」の使い方
「奮って」を使った分かりやすい例としては、「どなたでも参加することができますので、奮ってご参加ください」「奮ってのご応募お待ちしております」「参加賞をご用意していますので奮ってご参加ください」などがあります。
表現方法は「奮ってご参加ください」「奮ってご応募お待ちしております」
「奮って」は自ら進んでや積極的なことを意味しており、「奮ってご参加ください」「奮ってご応募お待ちしております」などの言い回しで使うのが一般的です。
「奮って」は参加、出席、応募などを促す場合によく使われている言葉ですが、強制的というニュアンスがないため、参加、出席、応募はその人の自由になります。そのため、柔らかい印象を与えることができる言葉です。
「奮って」の漢字表記を「振るって」とするのは誤用
「奮って」の漢字表記を「振るって」とするのは誤用なので間違えないように注意しましょう。「振るう」は充実して勢いが盛んであることや思う存分に力を働かせることを意味する言葉になります。
「奮って」の類語
「奮って」の類語・類義語としては、満足が行くまでのことを意味する「思う存分」、精力的に取り組むことを意味する「ばりばり」、満足の行くまでのことを意味する「思う様」などがあります。
「万障お繰り合わせの上」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、あらゆる予定を調整して参加できるよう都合をつけることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、「万障お繰り合わせの上」は強制的な参加を促す場合に使う言葉です。
「奮って」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、自ら進んでや積極的なことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、「奮って」は強制的なニュアンスは持っておらず、参加、出席、応募などを各自に任せる場合に使う言葉です。
「万障お繰り合わせの上」と「奮って」はどちらも参加を促す場合に使う言葉です。どちらの言葉を使うか迷った場合、半ば強制的に参加させる時は「万障お繰り合わせの上」を、強制的なニュアンスがなく参加出席を各自に任せる時は「奮って」を使うと覚えておきましょう。