似た意味を持つ「満室」(読み方:まんしつ)と「満席」(読み方:まんせき)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「満室」と「満席」という言葉は、どちらも「いっぱいであること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
満室と満席の違い
満室と満席の意味の違い
満室と満席の違いを分かりやすく言うと、満室とは部屋に空きがないさまを表し、満席とは座席に空きがないさまを表すという違いです。
満室と満席の使い方の違い
一つ目の満室を使った分かりやすい例としては、「小さな旅館が外国人観光客で満室になる」「ツインが満室だったのでダブルの部屋を利用しました」「空室対策や満室経営のポイントをご紹介しましょう」などがあります。
二つ目の満席を使った分かりやすい例としては、「満席の飛行機をキャンセル待ちしていす」「金曜日の英語クラスはいつも満席です」「早い段階で指定席は満席になりました」「ビジネスセミナーは満席で予約できませんでした」などがあります。
満室と満席の使い分け方
満室と満席という言葉は、どちらも「ある場所がいっぱいで、それ以上は人が入れないこと」を表しますが、意味や使い方には違いがあります。
満室とは、「旅館が満室になる」のような使い方で、全部の部屋がふさがっていて空きがないことを意味します。部屋に対して使用される言葉であり、利用できる部屋がすべて埋まっている状況で用いられることが多くあります。
満席とは、会場や乗物あるいは飲食店などの全座席が、人でふさがることを意味する言葉です。座る席がないことを表しますが、セミナーや教室の満席とは、定員オーバーとなりそれが受講できない状態を意味します。
つまり、満室とは部屋に空きがないことであり、満席とは席に空きがないことを意味します。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
満室と満席の英語表記の違い
満室を英語にすると「no vacancy」「full occupancy」となり、例えば上記の「満室になる」を英語にすると「reach full occupancy」となります。
一方、満席を英語にすると「fullhouse」「fully occupied」「all seats occupied」となり、例えば上記の「満席の飛行機」を英語にすると「a fully occupied airplane」となります。
満室の意味
満室とは
満室とは、すべての部屋がふさがって空きがないことを意味しています。
その他にも、「その部屋をいっぱいにしていること」の意味も持っています。
満室の使い方
「カラオケ店が満室のため空室待ちしています」「ご希望の日時は満室となっております」「不動産投資をするからには満室経営を目指します」などの文中で使われている満室は、「すべての部屋がふさがっていること」の意味で使われています。
一方、「ここは満室なので、これ以上は入れません」「試着室はただいま満室になっております」などの文中で使われている満室は、「その部屋をいっぱいにしていること」の意味で使われています。
満室とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ち、それぞれの意味で用いられているので、文脈により意味を判断する必要があります。満室の「満」は一定の数量に達することを表し、「室」は部屋や仕切られた区画を表す漢字です。
「満室経営」の意味
満室を用いた日本語には「満室経営」(読み方:まんしつけいえい)があります。満室経営とは、アパートや賃貸マンションなどの賃貸物件で、空き室のない状態で経営することを意味する不動産投資用語です。
満室の対義語
満室の対義語・反対語としては、使っていない部屋を意味する「空室」などがあります。
満室の類語
満室の類語・類義語としては、駐車場などに車がいっぱいでそれ以上は入れないことを意味する「満車」、燃料などをタンクいっぱいに入れることを意味する「満タン」、一定の空間にあるものがいっぱいにみちることを意味する「充満」などがあります。
満席の意味
満席とは
満席とは、乗り物や劇場などの座席がすべてふさがることを意味しています。
満席の使い方
満席を使った分かりやすい例としては、「お店の入り口に満席の張り紙がありました」「中国語講座は満席に近づいている状況です」「満席のため新規のお客様はお断りしております」「満席となったイラスト講座のキャンセル待ちをしています」などがあります。
その他にも、「ランチメニューを充実させたら満席率が上がりました」「初心者向け韓国語レッスンはあいにく満席です」「本日も満席御礼ありがとうございます」「年末年始はグリーン席もほぼ満席になります」などがあります。
満席の「満」は、訓読みで「みちる」と読み、一定の枠や空間を越えそうになるほどいっぱいになることを表します。座る場所を表す「席」と結びつき、満席とは、会場や乗物に設置されている座席が全部いっぱいになることを意味します。
「満席御礼」の意味
満席を用いた日本語には、「満席御礼」があります。満席御礼とは、イベント会場や劇場などにおいて、座席が全部埋まるほどお客さんが来てくれたことに感謝する気持ちを表現する言葉です。大相撲興行を由来とする「満員御礼」という言葉とほぼ同じ意味で使用されています。
満席の対義語
満席の対義語・反対語としては、空いている座席を意味する「空席」などがあります。
満席の類語
満席の類語・類義語としては、収容できる人員がいっぱいになることを意味する「満杯」、人がいっぱいにはいっている状態を意味する「満員」、最大限度まで満たされていて余地のないことを意味する「飽和」などがあります。
満室の例文
この言葉がよく使われる場面としては、すべての部屋がふさがっていて空室のないこと、その部屋全体に満ちていることを表現したい時などが挙げられます。
例文1や例文2にある「満室稼働」とは、不動産投資用語の一つで、賃貸アパートや賃貸マンションなどで、全室に入居者がいる状態で運営している状態を意味します。
満席の例文
この言葉がよく使われる場面としては、 乗物や劇場あるいは飲食店などの全座席が人でふさがることを表現したい時などが挙げられます。
例文4にある満席と満員の違いは、満席は椅子がある所にしか使用できませんが、満員は椅子がない所にも使用できる点にあります。
満室と満席という言葉は、どちらも「いっぱいである様子」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、部屋に空きがないさまを表現したい時は「満室」を、座席に空きがないさまを表現したい時は「満席」を使うようにしましょう。