似た意味を持つ「強情」(読み方:ごうじょう)と「頑固」(読み方:がんこ)と「偏屈」(読み方:へんくつ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「強情」と「頑固」と「偏屈」という言葉は、自身の考えを頑なに改めようとしないことという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
強情と頑固と偏屈の違い
強情と頑固と偏屈の意味の違い
強情と頑固と偏屈の違いを分かりやすく言うと、強情は非を認めないことを表現する時に使い、頑固は態度や意見を変えないことを表現する時に使い、偏屈は素直ではないことを表現する時に使うという違いです。
強情と頑固と偏屈の使い方の違い
強情という言葉は、「娘の強情さにはほとほと呆れる」「強情な人だと思っていたが意外にも話を聞いてくれた」などの使い方で、意地を張ってなかなか自分の考えを変えないことを意味します。
頑固という言葉は、「頑固な人にとっては他の意見に傾くほどの理由がないのだろう」「息子からしたら頑固おやじである父はただ過保護なだけなのだ」などの使い方で、自分の態度や考えを改めようとしないことを意味します。
偏屈という言葉は、「近所のおじいさんは偏屈な人で有名だ」「偏屈だと風のうわさで聞いていた大家さんはとてもよくしてくれる」などの使い方で、素直でなくひねくれていることを意味します。
強情と頑固と偏屈の使い分け方
強情と頑固はどちらも、意見を変えないことを意味する言葉ですが、前者は人の意見も聞かずに自身の非を認めない場合に使うのに対し、後者は人の意見を聞いたとしても考えや態度を変えない場合に使いますが、非を認めないという意味はありません。
また、頑固という言葉は人に対してではなく、なかなか除去できないものに対して使われることもあります。
一方の偏屈という言葉は、他者に同調することがないほど素直ではなく、考えに偏りがあることを表す時に使います。そのため、他の人と考えが同じであったり一般的な意見であっても使うことができる強情や頑固といった言葉とは異なります。
これが、強情、頑固、偏屈の明確な違いです。
強情の意味
強情とは
強情とは、意地を張ってなかなか自分の考えを変えないことを意味しています。
強情の読み方
強情は「ごうじょう」という読み方をしますが、「剛情」という表記がなされることもあります。この場合も読み方や意味は同じです。
強情を使った表現として「強情を張る」があります。「張る」は態度や意見を変えないまま押し通すことを意味し、「意地を張る」などと同じように使われますが、この表現が音変化して「強情っぱり」という表現が生まれました。
表現方法は「強情っぱり」「強情な性格」「強情な人」
「強情っぱり」「強情な性格」「強情な人」などが、強情を使った一般的な言い回しです。
強情の対義語
強情の対義語・反対語としては、性質や態度などが素直で人に逆らわないことを意味する「従順」、態度や性質が素直で大人しいことを意味する「柔順」があります。
強情の類語
強情の類語・類義語としては、一度思ったことは良し悪し関係なしに押し通すことを意味する「意地っ張り」、自分の考えを執拗に押し通すことを意味する「片意地」、かたくなに意地を張ることを意味する「意固地」などがあります。
頑固の意味
頑固とは
頑固とは、自分の態度や考えを改めようとしないことを意味しています。
表現方法は「頑固な人」「頑固な汚れ」「頑固な女」
「頑固な人」「頑固な汚れ」「頑固な女」などが、頑固を使った一般的な言い回しです。
頑固を使った言葉として、「頑固一徹」「偏狭頑固」があります。
四字熟語「頑固一徹」の意味
一つ目の「頑固一徹」とは、自分の考えや態度を絶対に変えようとしないまま最後まで押し通すことを意味する四字熟語です。
四字熟語「偏狭頑固」の意味
二つ目の「偏狭頑固」とは、心が偏って頑ななことを意味する四字熟語です。何にでも一言でも意見を言いたがる人を意味する「一言居士」や、思い込んでよく考えないことを意味する「一徹短慮」などは「偏狭頑固」の類義語にあたります。
頑固の対義語
頑固の対義語・反対語としては、一つの立場や考えにこだわらずにその場に応じて「柔軟」、穏やかでひねくれていない様子を意味する「素直」があります。
頑固の類語
頑固の類語・類義語としては、自分の立場や主張を強い態度で押し通そうとすることを意味する「強硬」、意志が強く信念を曲げないことを意味する「硬骨」、自分の信じることを守って他に心を開こうとしないこと「狷介」(読み方:けんかい)などがあります。
偏屈の意味
偏屈とは
偏屈とは、素直でなくひねくれていることを意味しています。
偏屈の読み方
偏屈は「へんくつ」という読み方をしますが、「偏窟」という表記がなされることもあります。この場合も読み方や意味は同じです。
表現方法は「偏屈おやじ」「偏屈な女」「偏屈な人」
「偏屈おやじ」「偏屈な女」「偏屈な人」などが、偏屈を使った一般的な言い回しです。
偏屈の意味を持つ四字熟語
偏屈の意味を含んだ言葉として、「漱石枕流」(読み方:そうせきちんりゅう)があります。これは、自身の失敗を認めることなく、偏屈ばかり言って逃れようとすることを意味する四字熟語です。
偏屈の対義語
偏屈の対義語・反対語としては、誠実で正直なことを意味する「実直」、大人しく素直なことを意味する「温順」があります。
偏屈の類語
偏屈の類語・類義語としては、ひねくれていて素直ではないことを意味する「へそ曲がり」、心が偏って頑固なことを意味する「偏固」頑固で思いやりのないことを意味する「因業」(読み方:いんごう)などがあります。
強情の例文
この言葉がよく使われる場面としては、意地を張ってなかなか自分の考えを変えないことを意味する時などが挙げられます。
例文2の「強情っぱり」は「強情を張る」という表現を一語にした言葉です。
頑固の例文
この言葉がよく使われる場面としては、自分の態度や考えを改めようとしないことを意味する時などが挙げられます。
例文3のように、取り除くのが難しいしつこい汚れなどに対しても使うことができます。
偏屈の例文
この言葉がよく使われる場面としては、素直でなくひねくれていることを意味する時などが挙げられます。
例文3の偏屈という言葉は、強情や頑固という言葉に置き換えて使うことができますが、意味合いが変わるため注意が必要です。
強情と頑固と偏屈どれを使うか迷った場合は、非を認めないことを表す場合は「強情」を、態度や意見を変えないことを表す場合は「頑固」を、素直ではないことを表す場合は「偏屈」を使うと覚えておけば間違いありません。