似た意味を持つ「些事」(読み方:さじ)と「細事」(読み方:さいじ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「些事」と「細事」という言葉は、あまり重要でないことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
些事と細事の違い
些事と細事の意味の違い
些事と細事の違いを分かりやすく言うと、どちらも重要でない事柄を意味しますが、さらに細事は詳しい事柄の意味も持つという違いです。
些事と細事の使い方の違い
一つ目の些事を使った分かりやすい例としては、「私は些事にこだわらない」「些事もきちんと手抜きなくやるようにする」「彼は些事を疎かにしない人だ」「些事にこだわらない九州男児だ」などがあります。
二つ目の細事を使った分かりやすい例としては、「大器は細事を疎かにせず」「細事にこだわり大事を逸する」「細事徹底をスローガンに掲げる」「細事はお手紙にてお知らせします」「細事業の評価と見直し」などがあります。
些事と細事という言葉は、あまり重要でないこと、とりあげる価値がないことを意味する、話し言葉よりも書き言葉で使われる言葉です。どちらも重要性が低い事柄を意味し、似たような使い方をしますが、さらに細事は、詳しい事柄の意味も持っています。
上記の「大器は細事を疎かにせず」とは、優れた人物は重要でないこともいい加減にしないことを意味します。ここでの細事は些事に置き換えることができます。一方、「細事はお手紙にてお知らせします」の細事は、詳しい事柄の意味で使われているため、些事に置き換えることができません。
些事の「些」は常用外漢字
また、些事の「些」は常用外漢字であり、細事は常用漢字です。よって、公用文書や新聞、雑誌などでは「些事」よりも「細事」が使われています。
些事と細事の英語表記の違い
些事も細事も英語にすると「trifle」「something small」「something petty」となり、例えば上記の「私は些事にこだわらない」を英語にすると「I do not care about trifles」となります。
些事の意味
些事とは
些事とは、取るに足らないつまらないこと、ささいなことを意味しています。
表現方法は「些事に過ぎない」「些事にこだわる」「些事である」
「些事に過ぎない」「些事にこだわる」「些事である」などが、些事を使った一般的な表現方法です。
些事の使い方
些事を使った分かりやすい例としては、「些事に拘泥する性分だ」「些事にこだわらず大雑把な性格だ」「些事ですが確認させてください」「些事なことをブログにアップする」「日常の些事を大事にする」などがあります。
その他にも、「些事を怠らず微の集積を行う」「些事にこだわるあまり失敗した」「些事ながら気になってしまう」「忙しい時も些事を怠らない」「忙しすぎて些事に構っていられない」などがあります。
些事の読み方
些事は「さじ」と読み、「瑣事」とも書きます。「些」「瑣」のどちらも常用外漢字ですが、些事と瑣事を比べると、些事の方が多用されています。
「些事に拘泥する」の意味
些事の「些」という漢字は、「いささか、わずか」を表し、些事という言葉は、ささいなこと、取るに足らないつまらないことを意味します。上記の例の「些事に拘泥する」とは、ささいなことにこだわることを意味します。「拘泥」とは、こだわること、必要以上に気にすることを意味する熟語です。
「些事を怠らず微の集積を行う」の意味
些事を用いた日本語には「些事を怠らず微の集積を行う」があり、重要でないこともきちんと行い、わずかなことを積み上げることを意味します。コツコツと地道に積み上げていくことの大切さを表す言葉です。
些事の対義語
些事の対義語・反対語としては、きわめて大切であることを意味する「重要」、非常に大切なことを意味する「肝要」などがあります。
些事の類語
些事の類語・類義語としては、重要でない小さなことであるさまを意味する「瑣末」、くだらないことを意味する「徒事」(読み方:いたずらごと)、取るに足らない雑多な事柄を意味する「雑事」などがあります。
些事の些の字を使った別の言葉としては、取るに足らないさまを意味する「些些」(読み方:ささ)、あまり重要ではないさまを意味する「些細」などがあります。
細事の意味
細事とは
細事とは、ちょっとしたこと、つまらない事柄を意味しています。
その他にも、詳しい事柄の意味も持っています。
細事の使い方
「細事に神宿る」「忘却したほうが良い細事もある」「細事に万事が現れるらしい」「日常の細事をSNSにアップする」「細事だからといって怠るな」などの文中で使われている細事は、「つまらない事柄」の意味で使われています。
一方、「取引先と細事を詰める」「パン製造に関する細事を書きとめる」「細事業の実績および振り返り」細事に関しては後日ご連絡を致します」などの文中で使われている細事は、「詳しい事柄」の意味で使われています。
細事という言葉は、上記の例のように二つの意味を持つ言葉であり、どちらの意味でも使われるので文脈により意味を捉えるようにしましょう。
「細事に神宿る」の意味
細事を用いた日本語には「細事に神宿る」があり、ちょっとしたことに神様がいることを意味します。人生の真理や素晴らしいことは重要なことばかりにあるのではない、小さなことを疎かにしてはいけないことを表す言葉です。
「細事を詰める」の意味
上記の例の「細事を詰める」とは、詳細な細かいところまで十分に検討し尽くして、物事の決着がつくようにすることを意味します。例えば、ビジネスシーンにおいて、取引先と交渉する際に条件などを話し合うことを表現する言葉です。
細事の対義語
細事の対義語・反対語としては、重大な事柄を意味する「大事」、全体を大きくとらえるさまを意味する「大雑把」などがあります。
細事の類語
細事の類語・類義語としては、取るにたりない事柄を意味する「小事」(読み方:しょうじ)、細部に至るまでくわしいことを意味する「詳細」などがあります。
細事の細の字を使った別の言葉としては、細かいところまで心を配ることを意味する「細心」、きわめて細かいさまを意味する「零細」などがあります。
些事の例文
この言葉がよく使われる場面としては、取るに足らないつまらないこと、ささいなことを表現したい時などが挙げられます。
例文1や例文2にある「些事にこだわる」とは、ちょっとしたことを必要以上に気にして気持ちがとらわれることを意味します。例文1では、「些事にこだわる」に対して「大局にとらえる」を挙げており、物事を全体的に大きくとらえることを意味します。
例文4にある「些事に過ぎない」とは、ささいなことでしかない、それ以上のものではないことを意味し、些事であることを強調した言い回しです。例文5にある「取るに足らない」「取るに足りない」は、些事の語義であり、どちらでも表現できます。取り上げる価値もないことを意味します。
細事の例文
この言葉がよく使われる場面としては、つまらない事柄、詳しい事柄を表現したい時などが挙げられます。
例文1や例文2で使われている細事は、つまらない事柄の意味で使われてます。例文2の「細事徹底」とは、重要でないと思われることもしっかり行うことを表します。似た表現に「凡事徹底」があり、当たり前のことを徹底的に行うことを意味します。
例文3にある「細事業」とは、細かくした事業単位を表します。「予算細事業に分解する」とは、予算事業を要素や事業内容によって細かい事業単位にすることです。例文4の「細事が万事」という表現は誤りです。正しくは「一事が万事」であり、一つのことで全てが推測できることを意味します。
些事と細事という言葉は、あまり重要でない事柄という共通する意味をもつ言葉です。さらに細事には、詳しい事柄の意味もあることを覚えておきましょう。