【雌伏】と【雄飛】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「雌伏」(読み方:しふく)と「雄飛」(読み方:ゆうひ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「雌伏」と「雄飛」という言葉は、活躍状況を表すという共通点がありますが、意味は大きく異なりますのでご注意下さい。




雌伏と雄飛の違い

雌伏と雄飛の意味の違い

雌伏と雄飛の違いを分かりやすく言うと、雌伏は活躍の機会を伺うことを表現する時に使い、雄飛は大きな活躍を見せることを表現する時に使うという違いです。

雌伏と雄飛の使い方の違い

一つ目の雌伏を使った分かりやすい例としては、「彼らは仕返しのため雌伏することを決意した」「雌伏七年、ようやく役職につくことが叶った」「長い雌伏を耐えられるほどの人間ではない」などがあります。

二つ目の雄飛を使った分かりやすい例としては、「世界に雄飛しようとしたものの失敗に終わったらしい」「雄飛活躍した者には褒美があると言われ皆やる気に満ちていた」「海外雄飛を野望の一つと設定する」などがあります。

雌伏と雄飛の使い分け方

雌伏と雄飛はどちらも活躍状況を表す言葉ですが、意味は大きく異なります。

雌伏は、雌という漢字が性別上のメスを意味し、伏という漢字が服従することを意味することから、雌鳥が雄鳥に従う様子を表す言葉です。これが転じて、付き従いながら実力を養い機会を伺うことを意味するようにもなりました。

一方の雄飛は、雄という漢字が性別上のオスや、勇ましい様子を意味し、飛という漢字が空を飛ぶことを意味することから、雄鳥が空を大きく翔ける様子を表します。これが転じて、勇み立ち盛んに活動することを意味するようになります。

つまり、活躍する機会を伺う雌伏と、大きな活躍を見せる雄飛は、対となる関係と言えます。

四字熟語「雌伏雄飛」の意味

また、「雌伏雄飛」の形で四字熟語としても使われています。この場合は活躍する機会を伺いながら人に付き従って、その時が来たら盛んに活躍することのどちらもを表します。

雌伏と雄飛の英語表記の違い

雌伏を英語にすると「bide one’s time」となり、例えば上記の「彼らは仕返しのため雌伏する」を英語にすると「bide their time for revenge」となります。

一方、雄飛を英語にすると「dominate」「launch」「embark」となり、例えば上記の「世界に雄飛しようとした」を英語にすると「tried to dominate the world」となります。

雌伏の意味

雌伏とは

雌伏とは、活躍の機会を伺って待つことを意味しています。

雌伏の使い方

雌伏は「しふく」という読み方をし、「めふく」「めふし」などの他の読み方をすることはできません。

「雌伏を肥やす」は誤り

他の「しふく」が使われている「私腹を肥やす」といった表現を「雌伏を肥やす」とするのは間違いのため、混同しないようにしましょう。

表現方法は「雌伏の時期」「雌伏の時を過ごす」「雌伏の時代」

「雌伏の時期」「雌伏の時を過ごす」「雌伏の時代」などが、雌伏を使った一般的な言い回しです。

雌伏の使い方

雌伏を使った分かりやすい例としては、「雌伏時代、自身の貧乏な生活も今ではネタにできる」「国民は雌伏しながらも反乱の時を待った」「別部署の長に任命されたがいわゆるエリート街道からは外れた道で、雌伏せざるを得ない状態だった」などがあります。

一方、「雌伏を強いられて耐えられるほどの器はない」「雌伏期に慣れないことばかりさせられた」「戦に負けたことで雌伏を余儀なくされた」などの文中で使われている雄飛は、「人に屈服して付き従うこと」の意味で使われています。

雌伏という言葉は、生物学において動物の性別区分として使われる雌という漢字と、服従することや隠れて表に現れ出ないことを意味する伏という漢字を組み合わせて、自身の能力を磨きながら活躍の時をじっと待ち構えることを意味します。

雌伏の由来

歴史書である『後漢書』の「趙典伝」に、どうして雌鳥が雄鳥に従うようにしているのかという意味の「安能雌伏」という言葉が記載されており、これが転じてどうして他者の下に屈服した状態で甘んじている状態を雌伏は表すようになりました。

雌伏の類語

雌伏の類語・類義語としては、用意を十分に備えて機会を伺って待つことを意味する「持満」(読み方:じまん)、じっと機会を狙っている様子を意味する「虎視眈々」、十分準備して待ち構えることを意味する「手ぐすねを引く」などがあります。

雄飛の意味

雄飛とは

雄飛とは、盛んに活動することを意味しています。

雄飛の読み方

雄飛は「ゆうひ」という読み方をしますが、「おすひ」「おすとび」など他の読み方をすることはできません。

雄飛の使い方

雄飛を使った分かりやすい例としては、「雄飛活躍するべき人材が埋もれてしまうこともある」「女性芸人の雄飛を見るのは同じ女性として喜ばしく思う」「弟の海外雄飛に対する好奇心の強さは勉学に励む姿から伺えた」などがあります。

その他にも、「当時の戦で雄飛した武将らに関しては逸話が多く残されている」「自由に雄飛すべき人物も環境が原因で上手くいかないことも多い」「優秀な人材たりうる者たちに雄飛を促すための講義が出来たら嬉しい」などがあります。

雄飛という言葉は、性別区分として使われたり、勇ましく強いことを意味する雄という漢字と、空を飛ぶことを意味する伏という漢字を組み合わせて、勢い盛んな状態で勇ましく活動することを意味します。

雄飛の由来

雌伏同様、『後漢書』の「趙典伝」に、「大丈夫当雄飛」という言葉が記載されており、雄鳥が大空に飛び上がるように、立派な男であれば理想は大きく持って盛んに活動することを表す言葉として、雄飛が使われるようになります。

今日では、大きな理想を持って活躍をしてほしいという願いを持ち、子どもに「雄飛」と名付けられることもあります。

雄飛の類語

雄飛の類語・類義語としては、めざましい活動をすることを意味する「活躍」、大きく発展して活躍することを意味する「飛躍」、勇気を奮い起こして勢い込むことを意味する「勇躍」などがあります。

雌伏の例文

1.転職してからしばらくは知識や経験を多く得ることに集中する。雌伏して時の至るを待つのも大切なことだろう。
2.その商品は長い雌伏の時を経てようやく評価されるに至ったが、単純に使われる機会が少なかったのだろうことが分かる。
3.雌伏十年、多くのプロジェクトで上げた功績が称えられたのか、ついに役職持ちとなることが叶った。
4.大きなショッピングセンターが完成してから、近くの商店街は雌伏の時を過ごさざるを得なかったが、新たな企画を打ち立てて利用客を取り戻そうとしていた。
5.俳優としては雌伏の日々を送っていたが、有名なマンガ作品の舞台キャストのオーディションに合格してから生活は一変した。
6.実質左遷人事で地方に転勤になり雌伏の日々を過ごしていたが、この地も悪くないと思っていたら本社に戻ることになった。
7.多くの仲間たちは派閥闘争で負けてもめげずに雌伏することを決意していた。まさに臥薪嘗胆の心意気である。
8.雌伏してから10年たつが、いまだに日の目を見たことはない。このままでは世に知られぬまま人生が終わってしまう。
9.私は雌伏の時代があまりに長ったもので、一流の俳優として活躍してからも当時の貧乏性が抜けることがない。
10.彼はエリート街道を外れたことで雌伏の時代を迎えることになったが、その後政変によりまた復活することになるのだ。

この言葉がよく使われる場面としては、活躍の機会を伺って待つことなどが挙げられます。

例文2の「雌伏十年」のように、雌伏という言葉の後ろに年数などを伴うことで、その期間自身の望んだ展開になるようじっと待っていたことを表すことができます。

雄飛の例文

1.父に倣って海外へ雄飛するために、大学へと通って言語はもちろん、その他知識や経験を積み、より多くの人と知り合うことが必要だと考えている。
2.様々な世界で雄飛した偉人の功績などを見ていても、自分には全く真似ができそうにないことがよく分かる。
3.大きく成長し、雄飛していく登場人物たちの中でも、人間性の成長が見られた時にファンは感情が揺さぶられることが多い気がする。
4.教授に出会えたことで後々自分の雄飛に繋がるとは思ってもみなかったが、それを抜きにしても師事出来たことは嬉しく思う。
5.リスクをおかしてまで雄飛した彼は英雄と称えられ、彼を支えた者たちも携われてよかったと感じていた。
6.当時は海外留学をすることが難しい時代だったが、そうであればあるほど彼の海外へ雄飛する思いが強くなっていった。
7.君たちが社会に出た暁には、この国を豊かにするために世界の大舞台へと雄飛することを心より願っているよ。
8.血気盛んで雄飛活躍する人物は、サラリーマン社会では浮いてしまうものだから、村八分にされてしまうことがあります。
9.経験上、自由に雄飛するような性格の人であっても、家庭環境の影響で非行に走ってしまうこともあるのですから。
10.彼らのような優秀な人材足り得る者たちの雄飛を促すには、上の者がいちいち口を出すべきではないと思うのですがね。

この言葉がよく使われる場面としては、盛んに活動することなどが挙げられます。

例文1の「海外へ雄飛」という表現は、「海外雄飛」や「世界雄飛」などの表現もなされます。

雌伏と雄飛どちらを使うか迷った場合は、活躍の機会を伺うことを表す場合は「雌伏」を、大きな活躍を見せることを表す場合は「雄飛」を使うと覚えておけば間違いありません。

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