似た意味を持つ「心苦しい」(読み方:こころぐるしい)と「申し訳ない」(読み方:もうしわけない)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「心苦しい」と「申し訳ない」という言葉は、どちらも謝罪の気持ちを伝えたい時に使う言葉を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「心苦しい」と「申し訳ない」の違い
「心苦しい」と「申し訳ない」とは
「心苦しい」と「申し訳ない」の違いを分かりやすく言うと、「心苦しい」とは謝罪の意味を持っていない、「申し訳ない」とは謝罪の意味を持っているという違いです。
「心苦しい」と「申し訳ない」の使い方の違い
一つ目の「心苦しい」を使った分かりやすい例としては、「大変心苦しいのですが今回はご遠慮申し上げます」「被災地の様子が報道される度に心苦しい気持ちでいっぱいになる」「お誘いに応じられず心苦しいです」などがあります。
二つ目の「申し訳ない」を使った分かりやすい例としては、「私共のミスによりご迷惑をお掛けして申し訳ないです」「急なお願いをして申し訳ないです」「大変な思いをさせて申し訳ないです」などがあります。
「心苦しい」と「申し訳ない」の使い分け方
「心苦しい」と「申し訳ない」はどちらも謝罪の気持ちを伝えたい時に使う言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「心苦しい」はお詫びのシーンで使う言葉ですが、謝罪の意味を持っていません。そのため、「心苦しい」の他に「大変申し訳ございません」「すみません」などの謝罪の言葉とセットで使う必要があります。
一方、「申し訳ない」もお詫びのシーンで使う言葉ですが、謝罪の意味を持っているため単体で使うことも可能というのが違いです。
「心苦しい」と「申し訳ない」の英語表記の違い
「心苦しい」を英語にすると「be sorry」「feel bad」「weigh on one’s mind」となり、例えば上記の「お誘いに応じられず心苦しいです」を英語にすると「I feel bad about not being able to accept the invitation」となります。
一方、「申し訳ない」を英語にすると「I’m sorry」「feel sorry」「apologies」となり、例えば上記の「大変な思いをさせて申し訳ないです」を英語にすると「I’m sorry for making you go through all this」となります。
「心苦しい」の意味
「心苦しい」とは
「心苦しい」とは、心に痛みを感じることを意味しています。その他にも、申し訳なく思うことの意味も持っています。
「心苦しい」の読み方
「心苦しい」の読み方は「こころぐるしい」です。誤って「こころくるしい」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「心苦しい気持ちでいっぱい」「大変心苦しい」
「心苦しい気持ちでいっぱい」「大変心苦しい」などが、「心苦しい」を使った一般的な言い回しになります。
「心苦しい」の使い方
「彼女の苦労を思うと私も心苦しいです」「当事者にとって事故が風化されることが一番心苦しいだろう」「最近は心苦しいニュースばかりだ」などの文中で使われている「心苦しい」は、「心に痛みを感じること」の意味で使われています。
一方、「こんなに親切にしていただいては心苦しいです」「ご期待に沿えず心苦しい限りです」などの文中で使われている「心苦しい」は、「申し訳なく思うこと」の意味で使われています。
「心苦しい」は相手にお詫びや依頼をする時に使う言葉で、ビジネスシーンにおいてよく使われています。また、相手の依頼を断る際に「大変心苦しいのですがお断りいたします」などのよう使うことも可能です。
ただし、「心苦しい」自体には謝罪の意味がないので、前後の文章に「大変申し訳ございません」「すみません」「ごめんなさい」などの謝罪の言葉を入れるようにしましょう。
その他にも、「先程心苦しいニュースが流れていた」のように、自分の心に痛みを感じた場合にも使うこともできます。
「心苦しい」の類語
「心苦しい」の類語・類義語としては、苦しさで耐え難いことを意味する「辛い」、 悲しさや恋しさで胸がしめつけられることを意味する「切ない」、同情の気持ちが起こることを意味する「可哀想」などがあります。
「申し訳ない」の意味
「申し訳ない」とは
「申し訳ない」とは、相手に詫びる時に使う言葉のことを意味しています。その他にも、相手に無理な依頼ごとをしてすまないという気持ちを表すことの意味も持っています。
表現方法は「申し訳ない気持ちでいっぱい」「申し訳ないですが」
「申し訳ない気持ちでいっぱい」「申し訳ないですが」などが、「申し訳ない」を使った一般的な言い回しになります。
「申し訳ない」の使い方
「被害者の方には申し訳ない気持ちでいっぱいです」「この度は不祥事を起こして大変申し訳ないです」などの文中で使われている「申し訳ない」は、「相手に詫びる時に使う言葉のこと」の意味で使われています。
一方、「申し訳ないがまた別の日でお願いします」「申し訳ないが本日中に提出お願いします」などの文中で使われている「申し訳ない」は、「相手に無理な依頼ごとをしてすまないという気持ちを表すこと」の意味で使われています。
「申し訳ない」は言い訳や弁解のことを意味する「申し訳」に、否定形の「ない」が合わさり、言い訳のしようがないや弁解の余地がないなど、自分の過失を認めて相手に謝罪する場合に使う言葉です。
「申し訳ない」はビジネスシーンにおいて頻繁に使われている言葉ですが、より丁寧な表現の「申し訳ありません」の方を使うのが一般的になっています。また、目上の人に対して使う場合は、「申し訳ありません」をさらに丁寧な表現にした「申し訳ございません」を使うのがいいでしょう。
「申し訳ない」の類語
「申し訳ない」の類語・類義語としては、自分の過ちを詫びる時の言葉を意味する「ごめんなさい」、相手に謝罪や感謝などをする時に用いる言葉を意味する「すみません」、貴人や尊敬する人などに対して失礼になるので申し訳ないことを意味する「恐れ多い」などがあります。
「心苦しい」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、心に痛みを感じることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、申し訳なく思うことを表現したい時にも使います。
例文1と例文2の「心苦しい」は心に痛みを感じること、例文3から例文5の「心苦しい」は申し訳なく思うことの意味で使っています。
「申し訳ない」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、相手に詫びる時に使う言葉のことを表現したい時などが挙げられます。その他にも、相手に無理な依頼ごとをしてすまないという気持ちを表すことを表現したい時にも使います。
例文1と例文2の「申し訳ない」は相手に詫びる時に使う言葉のこと、例文3から例文5の「申し訳ない」は相手に無理な依頼ごとをしてすまないという気持ちを表すことの意味で使っています。
「心苦しい」と「申し訳ない」はどちらも謝罪の気持ちを伝えたい時に使う言葉です。どちらの言葉を使うか迷った場合、謝罪の意味を持っていないのが「心苦しい」、謝罪の意味を持っているのが「申し訳ない」と覚えておきましょう。