似た意味を持つ「苛まれる」(読み方:さいなまれる)と「咎められる」(読み方:とがめられる)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「苛まれる」と「咎められる」という言葉は、どちらも非難されることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「苛まれる」と「咎められる」の違い
「苛まれる」と「咎められる」の意味の違い
「苛まれる」と「咎められる」の違いを分かりやすく言うと、「苛まれる」とは苦しめられること、「咎められる」とは怪しんで問いただすことという違いです。
「苛まれる」と「咎められる」の使い方の違い
一つ目の「苛まれる」を使った分かりやすい例としては、「時々孤独感に苛まれることがあります」「模擬テストの結果を見て劣等感に苛まれる」「試合での失敗を監督から苛まれる」などがあります。
二つ目の「咎められる」を使った分かりやすい例としては、「バスで高齢の人に席を譲らなかったことを咎められる」「万引きしたことを咎められる」「彼女のは無断欠席したことを咎められる」などがあります。
「苛まれる」と「咎められる」の使い分け方
「苛まれる」と「咎められる」はどちらも非難することを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「苛まれる」は「自分の過ちを振り返り後悔に苛まれる」「過去のトラウマに苛まれて生きている」などのように、苦しめられることの意味でも使うことができます。
一方、「咎められる」は「とある人を尾行していたら警察官に咎められる」「それは盗んだものなんじゃないかと咎められる」などのように、怪しんで問いただすことの意味で使うことができます。
したがって、「苛まれる」と「咎められる」は異なる意味も持っているというのが違いです。
「苛まれる」と「咎められる」の英語表記の違い
「苛まれる」を英語にすると「torment」となり、例えば上記の「時々孤独感に苛まれることがあります」を英語にすると「Sometimes I have feelings of being tormented by loneliness」となります。
一方、「咎められる」を英語にすると「blame」「rebuke」「reproach」となり、例えば上記の「彼女のは無断欠席したことを咎められる」を英語にすると「She was rebuke for being absent without permission」となります。
「苛まれる」の意味
「苛まれる」とは
「苛まれる」とは、苦しめられることを意味しています。その他にも、非難されることの意味も持っています。
「苛まれる」の読み方
「苛まれる」の読み方は「さいなまれる」です。誤って「いらまれる」「いじまれる」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「不安に苛まれる」「後悔に苛まれる」「呵責に苛まれる」
「不安に苛まれる」「後悔に苛まれる」「呵責に苛まれる」などが、「苛まれる」を使った一般的な言い回しになります。
「苛まれる」の使い方
「なぜすぐに行動しなかったのかと後悔に苛まれる」「不安の念に苛まれてぐっすり寝ることができません」などの文中で使われている「苛まれる」は、「苦しめられること」の意味で使われています。
一方、「仕事で大きなミスをしてしまったので上司から苛まれる」「姑から苛まれるのはもううんざりです」などの文中で使われている「苛まれる」は、「非難されること」の意味で使われています。
「苛まれる」は苦しめたりいじめたりすることを意味する「苛む」(読み方:さいなむ)に「まれる」を加えて受け身の形にして、苦しめられることや非難されることの意味で使われるようになりました。
「苛まれる」は上記の「なぜすぐに行動しなかったのかと後悔に苛まれる」のように、自分の間違った行いや過ちに対して、自分を責める場合に使うことが多いです。
また、上記の「仕事で大きなミスをしてしまったので上司から苛まれる」のように、責められるというニュアンスで、人の行為に対して使う場合もあります。
「苛まれる」の類語
「苛まれる」の類語・類義語としては、過失や違反などを取り上げて非難されることを意味する「責められる」、苦しめて痛めつけられることを意味する「いじめられる」、弱い者の立場の人が苦しめられることを意味する「なぶられる」などがあります。
「咎められる」の意味
「咎められる」とは
「咎められる」とは、非難されることを意味しています。その他にも、怪しんで問いただすことの意味も持っています。
「咎められる」の読み方
「咎められる」の読み方は「とがめられる」です。誤って「きゅうまれる」などと読まないようにしましょう。
「咎められる」の使い方
「仕事で大きなミスをしたので上司から咎められる」「無責任な行動を咎められる」などの文中で使われている「咎められる」は、「非難されること」の意味で使われています。
一方、「挙動不審な行動をしていたので警官に咎められる」「私が咎められる理由がどこにあるのか分かりません」などの文中で使われている「咎められる」は、「怪しんで問いただすこと」の意味で使われています。
「咎められる」は、過ちや罪などを取り上げて責めることを意味する「咎める」(読み方:とがめる)に「られる」を加えて受け身の形にして、非難されることや怪しんで問いただすことの意味で使われるようになりました。
「咎められる」は上記の「仕事で大きなミスをしたので上司から咎められる」のように、立場が上の者が下の者を非難する場合に使うのが特徴です。したがって、立ち場が下の者が上の者を非難する場合は、「咎められる」は使えないと覚えておきましょう。
「咎められる」の類語
「咎められる」の類語・類義語としては、よくない言動を強く咎められることを意味する「怒られる」、声を張り上げて叱れることを意味する「叱咤される」、罪や責任を問いただして非難されることを意味する「糾弾される」などがあります。
「苛まれる」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、苦しめられることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、非難されることを表現したい時にも使います。
例文1から例文3の「苛まれる」は苦しめられること、例文4と例文5の「苛まれる」は非難されることの意味で使っています。
「咎められる」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、非難されることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、怪しんで問いただすことを表現したい時にも使います。
例文1から例文3の「咎められる」は非難されること、例文4と例文5の「咎められる」は怪しんで問いただすことの意味で使っています。
「苛まれる」と「咎められる」はどちらも非難されることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、苦しめられることを表現したい時は「苛まれる」を、怪しんで問いただすことを表現したい時は「咎める」を使うと覚えておきましょう。