似た意味を持つ「一瞥」(読み方:いちべつ)と「瞥見」(読み方:べっけん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「一瞥」と「瞥見」という言葉は、どちらも「ちらっと見ること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
一瞥と瞥見の違い
一瞥と瞥見の意味の違い
一瞥と瞥見の違いを分かりやすく言うと、一瞥とは軽視するニュアンスがあり、瞥見とは軽視するニュアンスはないという違いです。
一瞥と瞥見の使い方の違い
一つ目の一瞥を使った分かりやすい例としては、「こちらを一瞥して立ち去ってしまった」「一瞥しただけで、すぐにわかりました」「私達に一瞥もくれず足早に出て行った」「私を一瞥すると目をそらした」などがあります。
二つ目の瞥見を使った分かりやすい例としては、「テスト直前に英語のノートを瞥見する」「メモ書きを急いで瞥見した」「キャスターは原稿を瞥見して流暢に話し始めた」「お店の口コミを瞥見したところ評判が良さそうです」などがあります。
一瞥と瞥見の使い分け方
一瞥と瞥見という言葉は、どちらも少しだけ視線を向けること、ちらりと見やることを意味する同義語です。二つの言葉は同じような表現をしますが、厳密な厳密な意味や使い方には違いがあります。
一瞥とは、ちらっと目をやることを意味します。「一瞥して立ち去る」「一瞥もくれず出て行く」のような使われ方で、相手を軽視したり、無視する場面で用いられることが多い言葉です。
瞥見とは、短時間にざっと見ること、一度だけ見ることを意味します。話し言葉ではあまり使われない文章語であり、一瞥のような、相手を軽視するニュアンスを伴わない表現です。
つまり、一瞥という言葉は使い方によってはネガティブなニュアンスがあり、瞥見はネガティブなニュアンスを持たない表現になります。この点が、二つの言葉の明確な違いになります。
一瞥と瞥見の英語表記の違い
一瞥も瞥見も英語にすると「glance」「look」「glimpse」となり、例えば上記の「一瞥して」を英語にすると「at a glance」となります。
一瞥の意味
一瞥とは
一瞥とは、ちらっと見ること、ちょっとだけ見やることを意味しています。
一瞥の読み方
一瞥の読み方は「いちべつ」です。誤って「いつべつ」「いっとく」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「一瞥をくれる」「一瞥する」「一瞥もくれず」
「一瞥をくれる」「一瞥する」「一瞥もくれず」などが、一瞥を使った一般的な言い回しです。
一瞥の使い方
一瞥を使った分かりやすい例としては、「バッグの中身を一瞥する」「名前を呼んでも一瞥をくれるだけでした」「一瞥もくれず走り去ってしまった」「猫は一瞥を投げるが近寄ってこない」などがあります。
その他にも、「スマホに夢中で周囲に一瞥もくれない人が増えています」「どうしたら一瞥体験が起こるのだろうか」「彼女の美しさは一瞥しても分からないだろう」などがあります。
一瞥という言葉の「一」は、ほんのわずかであること、「瞥」は、ちらりと見ることを表します。一瞥とは、なにかをほんの一瞬ちらりと見ること、少しだけ視線をやることを意味する言葉です。
一瞥は、ちらっと目をやることを意味するため、相手を軽蔑したり無視する場合に用いられることが多い言葉です。ネガティブな印象を与えることがあるため、使い方には十分な注意が必要です。
一瞥の対義語
一瞥の対義語・反対語としては、目をこらして見つめることを意味する「凝視」、虎が獲物をねらうときのように鋭い目つきで見まわすことを意味する「虎視」、注意して見つめることを意味する「注目」などがあります。
一瞥の類語
一瞥の類語・類義語としては、ちょっとだけ見ることや一度だけ見ることを意味する「一目」、ちらちらと盗み見ることを意味する「ちら見」、断続して物を見るさまを意味する「ちらちら」などがあります。
瞥見の意味
瞥見とは
瞥見とは、ちらっと見ること、短い時間でざっと見ることを意味しています。
瞥見の読み方
瞥見の読み方は「べっけん」です。誤って「とっけん」「ざんけん」などと読まないようにしましょう。
瞥見の使い方
瞥見を使った分かりやすい例としては、「プレゼンの資料を瞥見する」「論文の書き方の本を瞥見する」「瞥見したところ問題なさそうです」「でたらめな英文を瞥見しただけで頭が痛くなった」などがあります。
その他にも、「さりげない一言に彼の意思を瞥見した気がする」「毎朝ネットニュースを瞥見しています」「瞥見の限りでは問題なさそうだ」「手渡された書類を瞥見する」などがあります。
瞥見とは、ひと目ちらっと見ること、少しだけ見やることを意味します。会話の中ではあまり使われず、文章を書くときに多く用いられる言葉です。瞥見の「瞥」は少しだけ見ること、「見」は目で見ることを表します。
瞥見という言葉を用いた有名な書物には、ラフカディオ・ハーン(日本名:小泉八雲)の「日本瞥見記」があります。八雲が来日した後の第一作であり、きわめて新鮮な日本の印象が書かれています。
瞥見の対義語
瞥見の対義語・反対語としては、つくづくと見ることやじっと見つめることを意味する「熟視」、注意深くじっと見ることを意味する「注視」、目をこすってよく見ることを意味する「刮目」(読み方:かつもく)などがあります。
瞥見の類語
瞥見の類語・類義語としては、ひととおり目を通すことや一度見ることを意味する「一見」、ちょっと見ることやちょっと見た感じを意味する「ちょっと見」、ちょっと振り返って見ることを意味する「一顧」などがあります。
一瞥の例文
この言葉がよく使われる場面としては、ちらっと見ること、流し目に一たび見ることを表現したい時などが挙げられます。
例文4にある一瞥体験とは、スピリチュアルな世界の言葉であり、一瞬ともいえるような短い時間の間に、悟りの世界を垣間見る体験を意味します。
瞥見の例文
この言葉がよく使われる場面としては、ちらっと見ること、ざっと目を通すことを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある一瞥と瞥見は、少しだけ見やることを意味する同義語です。一瞥には、軽蔑するようなニュアンスを伴うことがありますが、ここではそのような意味合いはなく、瞥見の言い換えとして用いられています。
一瞥と瞥見という言葉は、どちらも「ちらっと見ること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、相手を軽視するニュアンスを表現したい時は「一瞥」を使うようにしましょう。