似た意味を持つ「あっけらかん」と「いけしゃあしゃあ」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「あっけらかん」と「いけしゃあしゃあ」という言葉は、どちらも何もなかったように平然としていることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「あっけらかん」と「いけしゃあしゃあ」の違い
「あっけらかん」と「いけしゃあしゃあ」の意味の違い
「あっけらかん」と「いけしゃあしゃあ」の違いを分かりやすく言うと、「あっけらかん」はプラスとマイナスのイメージどちらでも使える、「いけしゃあしゃあ」はマイナスのイメージでしか使えないという違いです。
「あっけらかん」と「いけしゃあしゃあ」の使い方の違い
一つ目の「あっけらかん」を使った分かりやすい例としては、「上京した私があっけらかんとしたのは、ビルの多さです」「彼女は上司から叱られてもあっけらかんとしている」「彼女は大事な書類を失くしたのにあっけらかんとしている」などがあります。
二つ目の「いけしゃあしゃあ」を使った分かりやすい例としては、「彼はあんなに叱られたのにいけしゃあしゃあとしている」「いけしゃあしゃあと嘘がつけるもんだ」「彼は悪びれもせずいけしゃあしゃあと言いました」などがあります。
「あっけらかん」と「いけしゃあしゃあ」の使い分け方
「あっけらかん」と「いけしゃあしゃあ」はどちらも何もなかったように平然としていることを意味している言葉ですが、使い方に少し違いあるので注意が必要です。
どちらの言葉も基本的にマイナスのイメージで使用しますが、「あっけらかん」は「彼女は悪口を言われてもあっけらかんとしている」のように、悪口を言われても平然としている前向きな性格というプラスのイメージで使うこともできます。
一方、「いけしゃあしゃあ」は「よくもまぁ思ってもいないことをいけしゃあしゃあと言えたもんだ」のように、マイナスのイメージでしか使えないというのが違いです。
また、どちらもマイナスのイメージで使う場合は、「あっけらかん」よりも「いけしゃあしゃあ」の方がマイナスのニュアンスが強いと覚えておきましょう。
「あっけらかん」と「いけしゃあしゃあ」の英語表記の違い
「あっけらかん」を英語にすると「look blank」「absentminded」「be carefree」「look unconcerned」となり、例えば上記の「彼女は大事な書類を失くしたのにあっけらかんとしている」を英語にすると「She lost some important papers, but she still looks as if nothing had happened」となります。
一方、「いけしゃあしゃあ」を英語にすると「shameless」「brazen」となり、例えば上記の「彼はいけしゃあしゃあとしている」を英語にすると「He is irritatingly unembarrassed shameless」となります。
「あっけらかん」の意味
「あっけらかん」とは
「あっけらかん」とは、何もなかったように平気でいることを意味しています。その他にも、驚いたり呆れたりしてぼんやりしていることの意味も持っています。
表現方法は「あっけらかんとしている」「あっけらかんとした人」
「あっけらかんとしている」「あっけらかんとした人」などが、「あっけらかん」を使った一般的な言い回しになります。
「あっけらかん」の使い方
「彼は注意されてもあっけらかんとしている」「彼はゴキブリを見てもあっけらかんとしている」などの文中で使われている「あっけらかん」は、「何もなかったように平気でいること」の意味で使われています。
一方、「彼は地平線をあっけらかんと眺めていました」「彼女は椅子に座ってあっけらかんとしている」などの文中で使われている「あっけらかん」は、「驚いたり呆れたりしてぼんやりしていること」の意味で使われています。
「あっけらかん」は何もなかったように平気でいること、驚いたり呆れたりしてぼんやりしていることの二つの意味を持つ言葉です。
何もなかったように平気でいることの意味は、基本的にマイナスのイメージで使う言葉ですが、捉え方によってはプラスのイメージで使うことができるというのが特徴です。
例えば、仕事で大きなミスをして上司に叱られると普通の人はしょんぼりしたり悲しんだりします。しかし、「あっけらかん」な人は何も感じず何事もなかったように平然としているのです。
これをマイナスのイメージで捉えた場合は、ミスしても反省せず平然としているというネガティブなニュアンスになります。一方、プラスのイメージで捉えた場合は、叱られても平然といることができる性格、つまりポジティブなニュアンスになるのです。
「あっけらかん」の由来
「あっけらかん」の由来は「あんけ」です。「あんけ」とは開くの連用形で、口をぽかんと開けた様子を意味しています。この「あんけ」に接尾語の「ら」が加わり「あんけら」となり、さらに接頭語の「あん」が合わさり「あんけらかん」となりました。
この「あんけらかん」が促音化したのが、現代で使われている「あっけらかん」です。
「あっけらかん」の類語
「あっけらかん」の類語・類義語としては、何事もなかったように平然としていることを意味する「けろり」、ぼんやりとしていることを意味する「ぽかん」、しっかりした心構えや目的を持たずぼんやり時を過ごすことを意味する「うかうか」などがあります。
「いけしゃあしゃあ」の意味
「いけしゃあしゃあ」とは
「いけしゃあしゃあ」とは、憎らしいほど平然としていることを意味しています。
「いけしゃあしゃあ」の使い方
「いけしゃあしゃあ」を使った分かりやすい例としては、「彼女はいけしゃあしゃあとしていて反省の色が全く見えません」「彼はいけしゃあしゃあと同じことを繰り返しました」「彼女は他人から奪った漫画をいけしゃあしゃあと読んでいる」などがあります。
「いけしゃあしゃあ」は好ましくない意味の言葉についていっそう卑しめて蔑むことを意味する「いけ」に、 厚かましくて恥を恥とも思わないで平気でいることを意味する「しゃあしゃあ」が合わさり、憎らしいほど平然としていることを「いけしゃあしゃあ」と言うようになりました。
「いけしあしゃあ」はマイナスのイメージでしか使わないのが特徴です。「他人に迷惑をかけたのにいけしゃあしゃあとしてるなんて信じられない」のように、恥ずかしげもない行動や言動を罵る場合に使うと覚えておきましょう。
「いけしゃあしゃあ」の類語
「いけしゃあしゃあ」の類語・類義語としては、厚かましくて恥を恥とも思わないで平気でいることを意味する「しゃあしゃあ」、開き直っていて図太いことを意味する「ふてぶてしい」、何事もなかったように落ち着きはらっていることを意味する「平然」などがあります。
「あっけらかん」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、何もなかったように平気でいることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、驚いたり呆れたりしてぼんやりしていることを表現したい時にも使います。
例文1から例文3の「あっけらかん」は何もなかったように平気でいること、例文4と例文5の「あっけらかん」は驚いたり呆れたりしてぼんやりしていることの意味で使っています。
「いけしゃあしゃあ」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、憎らしいほど平然としていることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「いけしゃあしゃあ」はマイナスなイメージでしか使われていない言葉です。
「あっけらかん」と「いけしゃあしゃあ」はどちらも何もなかったように平然としていることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、プラスとマイナスどちらのイメージでも使えるのが「あっけらかん」、マイナスのイメージでしか使えないのが「いけしゃあしゃあ」と覚えておきましょう。