似た意味を持つ「狭義」(読み方:きょうぎ)と「広義」(読み方:こうぎ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「狭義」と「広義」という言葉は、どちらも「言葉の意味」を表しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
狭義と広義の違い
狭義と広義の意味の違い
狭義と広義の違いを分かりやすく言うと、狭義とは狭い意味を表し、広義とは広い意味を表すという違いです。
狭義と広義の使い方の違い
一つ目の狭義を使った分かりやすい例としては、「顧客からのクレームを狭義に解釈してはいけません」「現在の状況は狭義のハイパーインフレに当てはまるだろう」「節分は春夏秋冬ありますが狭義では立春の前日のみを示します」などがあります。
二つ目の広義を使った分かりやすい例としては、「海上保安庁予算なども含めた広義の防衛費はいくらになるのだろう」「勝手に意味を広義的に捉えないで欲しい」「広義積分の計算方法を分かりやすく教えてください」などがあります。
狭義と広義の使い分け方
狭義と広義という言葉は、どちらも言葉が指し示す意味を表しますが、意味や使い方には大きな違いがあります。
狭義とは、ある言葉が指し示す意味の範囲に幅があるとき、狭く限定したほうの意味のことです。一方、広義とは、広く捉えたほうの意味であり、一般的に使われている意味を指します。
例えば、QOLと略される「クオリティーオブライフ(quality of life)」は、直訳すると「生活の質」となり、広義には恵まれた環境で生活を楽しむ人生を意味します。この言葉は、医療分野において、延命治療にかたよらず患者の生活を向上させるという狭義の意味で使われることがほとんどです。
つまり、狭義と広義は、ある言葉の意味に解釈の余地がある場合に使われますが、狭く捉えるか広く捉えるかの相反する意味を持つ言葉なのです。
狭義と広義の英語表記の違い
狭義を英語にすると「narrow sense」「limited meaning」となり、例えば上記の「狭義に解釈する」を英語にすると「interpret in the narrower sense」となります。
一方、広義を英語にすると「broad sense」「general meaning」となり、例えば上記の「広義に解釈する」を英語にすると「interpret in the broad sense」となります。
狭義の意味
狭義とは
狭義とは、ある語が示す意味の範囲に幅があるとき、狭く限定したほうの意味を意味しています。
狭義の読み方
狭義の読み方は「きょうぎ」です。誤って「こうぎ」「さぎ」などと読まないようにしましょう。
狭義の使い方
狭義を使った分かりやすい例としては、「狭義のキャリアは仕事に関することのみを指す」「とんかつは狭義の和食に含まれますか」「狭義の時代区分で歴史をわかりやすく説明する」「あまりに狭義的な解釈は危険です」などがあります。
その他にも、「狭義の訴えの利益の有無を弁護士に相談する」「公式を用いて狭義単調増加を証明する」「狭義の適合性原則に反する契約ではないか」「広義国防主義と狭義国防主義の間で予算を巡る争いが続く」などがあります。
狭義とは、狭い語義や狭い意味のことであり、ある言葉が持っている意味に幅がある場合、そのなかでも限定的に解釈した意味合いを指します。例えば、「童話」とは子供のために作られた話であり、昔から伝えられてきた伝説や寓話も含みますが、狭義には特に創作された物語を指します。
「狭義の密約」の意味
狭義を用いた日本語には「狭義の密約」があります。狭義の密約とは、国家間の条約や協定などで秘密にされている部分のことです。公表されている合意とは異なる内容を持つ国家間の合意であり、国民には知らされていないものです。対する言葉には「広義の密約」があります。
「狭義心に駆られる」は誤り
狭義の誤った使い方には「狭義心に駆られる」があります。正しくは「義侠心に駆られる」(読み方:ぎきょうしんにかられる)であり、仁義を重んじ弱い者を助けようとする心に動かされることを意味します。
狭義の対義語
狭義の対義語・反対語としては、一つの言葉がさす意味に幅がある時の広い方の意味を表す「広義」などがあります。
狭義の類語
狭義の類語・類義語としては、言葉の意味を表す「語意」、厳密な意味で規定すること表す「狭い意味」、細かいところまで目を行き届かせていて隙がないさまを表す「厳密」などがあります。
広義の意味
広義とは
広義とは、ある言葉のもつ意味の範囲に広狭がある場合の、広いの方の意味を意味しています。
広義の読み方
広義の読み方は「こうぎ」です。誤って「ひろぎ」「ひろよし」などと読まないようにしましょう。
広義の使い方
広義を使った分かりやすい例としては、「ライフプランニングは広義の意味で人生設計です」「今の生活は広義のひきこもりだと言える」「在庫管理も広義的にとらえると販売管理の対象です」などがあります。
その他にも、「広義積分を例題を用いて説明します」「今日の授業では広義積分の計算と収束を扱います」「広義積分を直接計算できる方法はありますか」「沖縄の日本への返還にあたり広義の密約がありました」などがあります。
広義とは、広い語義や広い意味のことであり、ある言葉が持っている意味に幅がある場合、そのなかでも広く解釈した意味合いを指します。例えば、「嫌がらせ」と訳されるハラスメントは、広義で言えば「人権侵害」を示します。
「広義国防」の意味
広義を用いた日本語には「広義国防」があります。広義国防とは、満州事変後に大日本帝国陸軍が提唱したものであり、国防を強化するには、武力のみならず、国民の経済安全保障など広く捉えた概念のことです。対する言葉には「狭義国防」があります。
「広義の意味では」は誤り
広義を用いた誤った言い回しには「広義の意味では」があります。広義という言葉は「広い意味」を意味するものであり、「広義の意味」という表現は、「頭痛が痛い」のような重言になってしまします。「広義では」「広義で言えば」などと言い換えるようにしましょう。
広義の対義語
広義の対義語・反対語としては、一つの言葉がいろいろの意味を持つ時の狭い方の意味を表す「狭義」などがあります。
広義の類語
広義の類語・類義語としては、言葉の意味を表す「語義」、文字の意味を表す「字義」、広く規定した場合の意味を表す「広い意味」、言葉などの微妙な意味合いを表す「ニュアンス」などがあります。
狭義の例文
この言葉がよく使われる場面としては、意味の範囲に広さの違いがある時の狭い方の意味を表現したい時などが挙げられます。
例文1の「狭義的」とは、限定的な意味である性質を表しています。対義語には「広義的」があります。例文2にある「狭義の第二言語」とは、母語以外の言語に一定期間触れていることによって自然と身に付く言語を指しています。
広義の例文
この言葉がよく使われる場面としては、意味の範囲に広さの違いがある時の広い方の意味を表現したい時などが挙げられます。
例文4や例文5にある「広義的」とは、広い意味である性質や一般的な意味であるさまを表します。対義語には「狭義的」があります。
狭義と広義という言葉は、どちらも「言葉の意味」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、狭いほうの意味を表現したい時は「狭義」を、広いほうの意味を表現したい時は「広義」を使うようにしましょう。