似た意味を持つ「検挙」(読み方:けんきょ)と「摘発」(読み方:てきはつ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「検挙」と「摘発」という言葉は、どちらも「犯罪を明らかにすること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
検挙と摘発の違い
検挙と摘発の意味の違い
検挙と摘発の違いを分かりやすく言うと、検挙とは犯罪者を特定すること、摘発とは犯罪の事実を公表することという違いです。
検挙と摘発の使い方の違い
一つ目の検挙を使った分かりやすい例としては、「薬物事犯による検挙者数は増加傾向にある」「検挙から起訴までの流れを教えてください」 「悪質な自転車運転は検挙されます」「サイバー犯罪の検挙件数は過去最多を更新した」などがあります。
二つ目の摘発を使った分かりやすい例としては、「犯罪を摘発するのが私の仕事です」「こうした手口の摘発は全国初です」「県警が詐欺グループを一斉摘発する」「国税局が摘発した脱税事件は過去最多となる」などがあります。
検挙と摘発の使い分け方
検挙と摘発という言葉は、どちらも刑事事件の報道で用いられていますが、意味や使い方には違いがあります。
検挙とは、捜査機関が犯罪行為をしたとの疑いがある容疑者を特定して、犯罪の事実を取り調べることを意味します。検挙という言葉は法律用語ではないので、明確な定義はありません。そのため、犯人を逮捕するという意味でも使用されることがあります。
摘発とは、悪事や犯罪などをあばいて、世の中に公表することを意味します。犯罪があったことを世間的に発表することなので、犯人が特定されていなくても使用することができます。摘発は犯罪があったことを警察が把握し、捜査を進める取っ掛かりになります。
つまり、検挙とは犯罪者や犯罪の事実を特定することであり、摘発とは犯罪の存在を世間に公表することを意味します。そのため、検挙という言葉は犯罪行為をしたとされる容疑者について使われ、摘発とは、犯罪自体や犯罪グループなどの人物以外に使用される傾向があります。
検挙と摘発の英語表記の違い
検挙を英語にすると「arrest」「capture」「apprehension」となり、例えば上記の「検挙者数」を英語にすると「the number of arrested persons」となります。
一方、摘発を英語にすると「revelation」「exposure」「disclosure」となり、例えば上記の「犯罪を摘発する」を英語にすると「expose a crime」となります。
検挙の意味
検挙とは
検挙とは、検察官・司法警察職員などが認知した犯罪行為について被疑者を取り調べることを意味しています。
検挙の読み方
検挙の読み方は「けんきょ」です。同じ読み方をする熟語に「謙虚」がありますが、意味が異なるので書き間違いに注意しましょう。
表現方法は「検挙する」「検挙される」「検挙率」
「検挙する」「検挙される」「検挙率」などが、検挙を使った一般的な言い回しです。
検挙の使い方
検挙を使った分かりやすい例としては、「交通違反は現行犯で検挙されることが多い」「検挙されましたが起訴されませんでした」「検挙だけでは前科はつきません」「検挙率とはどのように算出されていますか」などがあります。
その他にも、「都道府県別の検挙率ランキング一位はどこでしょう」「日本の検挙率は世界と比べて高いのだろうか」「検挙と逮捕の違いをわかりやすく説明する」「薬物犯罪の検挙人員は昨年度より増加しています」などがあります。
検挙とは、警察などの捜査機関が罪を犯した人物を特定する行為であり、犯罪行為について被疑者を取り調べることを意味します。また、容疑者を捕まえて警察に連れて行くことも「検挙」と言います。検挙の「検」は取り調べることや取り締まること、「挙」は捕らえることを表す漢字です。
「検挙人員」の意味
上記の例文にある「検挙人員」とは、警察などが検挙した事件の被疑者の数のことです。これに対して「検挙件数」とは、警察などが検挙した事件の数のことを言います。
検挙の対義語
検挙の対義語・反対語としては、受刑者や被告人などの身柄の拘束を解くことを意味する「釈放」、無罪とわかった被疑者や被告人を釈放することを意味する「放免」などがあります。
検挙の類語
検挙の類語・類義語としては、捜査機関が令状で被疑者を引致し抑留するための強制手段を意味する「逮捕」、官命により罪人などを捕まえることを意味する「召し取る」、犯人を捕らえることを意味する「取り押える」、警察官が犯人などを警察署へ連れて行くことを意味する「連行」などがあります。
摘発の意味
摘発とは
摘発とは、悪事などをあばいて世間に発表することを意味しています。
表現方法は「摘発される」「摘発する」「摘発件数」
「摘発される」「摘発する」「摘発件数」などが、摘発を使った一般的な言い回しです。
摘発の使い方
摘発を使った分かりやすい例としては、「風俗店が摘発され男ら6人が逮捕されました」「密輸入事件を摘発するのが税関の仕事です」「英語教室を脱税で摘発する」「大阪の裏カジノ店が摘発されました」などがあります。
その他にも、「脱税犯を摘発する目的で強制調査が行われる」「所得税法違反罪で摘発された」「中国語講師が酒気帯び運転で摘発された」「警察組織が犯罪者を摘発する」「児童虐待の摘発件数は過去最多となった」などがあります。
摘発の「摘」は悪事をあばき出すこと、「発」は外部や世間に向けて出すことを表す漢字です。摘発とは、法律などに背いた悪い行為をあばき出して、世に公表することを意味します。「特殊詐欺グループを摘発」「脱税を摘発」のように、社会的な不正行為について使用されています。
「隠退蔵物資摘発」の意味
摘発を用いた日本語には「隠退蔵物資摘発」があります。隠退蔵物資摘発とは、第2次大戦の敗戦時に隠された旧軍関係物資の調査や摘発を指す言葉です。1946年の1月、板橋区では住民が大豆や木炭などの隠退蔵物資を摘発しました。
摘発の対義語
摘発の対義語・反対語としては、あることを目にしていながらそのまま放っておくことを意味する「看過」、咎めるはずのことをわざと見逃すことを意味する「目溢し」(読み方:めこぼし)などがあります。
摘発の類語
摘発の類語・類義語としては、悪事や秘密などをあばいて明るみに出すことを意味する「暴露」、秘密や悪事など隠していたことが表に現れることを意味する「露見」、隠していた悪事や陰謀などが明るみに出ることを意味する「発覚」などがあります。
検挙の例文
この言葉がよく使われる場面としては、犯罪の被疑者を逮捕するなど、司法警察機関が捜査手続きを行なうことを表現したい時などが挙げられます。
例文4の「検挙率」とは、警察が被疑者を特定して事件を捜査した件数に対して、実際に検察官に事件を送致した件数の割合を示すものです。
摘発の例文
この言葉がよく使われる場面としては、隠している悪事などをあばいて公表することを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、摘発という言葉は、犯罪行為を世間に公表することを表す際に使用されることがほとんどです。
検挙と摘発という言葉は、どちらも「犯罪を明らかにすること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、犯罪者を特定することを表現したい時は「検挙」を、犯罪の事実を公表することを表現したい時は「摘発」を使うようにしましょう。