似た意味を持つ「枚挙」(読み方:まいきょ)と「列挙」(読み方:れっきょ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「枚挙」と「列挙」という言葉は、どちらも「一つ一つ数えあげること」を表しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
枚挙と列挙の違い
枚挙と列挙の意味の違い
枚挙と列挙の違いを分かりやすく言うと、枚挙とは一つ一つ数えあげることのみを表し、列挙とは一つ一つ数えあげることだけでなく並べあげることも表すという違いです。
枚挙と列挙の使い方の違い
一つ目の枚挙を使った分かりやすい例としては、「SNSに端を発する炎上事案は枚挙にいとまがない」「春闘に関する論文は枚挙に暇がありません」「ネガティブな要因は枚挙に遑がない」「〇〇ハラスメントと呼ばれる行為は枚挙にいとまがない」などがあります。
二つ目の列挙を使った分かりやすい例としては、「100までの素数を全て列挙せよ」「思い付いたビジネスモデルを列挙する」「類似点をいくつか列挙してみましょう」「これまでの実績を列挙してアピールする」などがあります。
枚挙と列挙の使い分け方
枚挙と列挙という言葉は、どちらも一つ一つ取り上げて数えることを表しますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
枚挙とは、一つ一つ数えあげること、いちいち数えたてることを意味します。主に「枚挙にいとまがない」という表現で用いられ、数え上げるときりが無いことや、数えられないほど沢山あることを表します。「いとま」を漢字にして、「枚挙に遑がない」「枚挙に暇がない」と書くこともあります。
列挙とは、一つ一つ数えて並べあげることを意味します。数多くあるものの中から、一つ一つ取り上げて並べて示すことに使用される言葉です。列挙という言葉には、順序立てて並べていくという意味合いがあり、この点が枚挙という言葉との明確な違いになります。
つまり、枚挙は一つ一つ数えあげることですが、列挙は一つ一つ数えて並べあげることを表します。二つの言葉を比べると、列挙という言葉は枚挙よりも多くの意味を持ち、幅広く使える言葉だと言えるでしょう。
枚挙と列挙の英語表記の違い
枚挙も列挙も英語にすると「enumeration」となり、例えば上記の「枚挙にいとまがない」を英語にすると「be too many to enumerate」となります。
枚挙の意味
枚挙とは
枚挙とは、いちいち数えあげること、一つ一つ数えたてることを意味しています。
枚挙の読み方
枚挙の読み方は「まいきょ」です。あやまって「ばいきょ」「まいしゅ」などと読まないようにしましょう。
枚挙の使い方
枚挙を使った分かりやすい例としては、「リストアップすれば枚挙に暇がない」「こうした例は枚挙にいとまがありません」「名前を上げれば枚挙に暇がないほどです」「枚挙に暇がないので、いちいち数えられません」などがあります。
その他にも、「推論方法の一つに枚挙的帰納法があります」「かれの功績は枚挙に遑がないほどである」「たくさんあって枚挙にいとまがないほどだ」「物価高騰を巡る報道は枚挙にいとまがない」などがあります。
枚挙の「枚」は、紙や板など薄くて平たいものを数える語句であり、一つ一つ数えあげることを表します。「挙」は、数えあげることや並べて示すことを表す漢字です。枚挙とは、ひとつひとつ数えることを意味します。
「枚挙にいとまがない」の意味
枚挙という言葉は、多くは「枚挙にいとまがない」の言い回しで使用されています。「枚挙にいとまがない」とは、たくさんありすぎて、いちいち数えきれないことを意味します。「枚挙に遑がない」「枚挙に暇がない」とも書きます。
「枚挙的帰納法」の意味
枚挙を用いた日本語には「枚挙的帰納法」(読み方:まいきょてききのうほう)があります。枚挙的帰納法とは、ある特殊な命題から一般的な命題を導くという推論方法のことです。
枚挙の対義語
枚挙の対義語・反対語としては、多くの中から目的や条件などに合うものを選び定めることを意味する「選定」などがあります。
枚挙の類語
枚挙の類語・類義語としては、一つ一つ数えることを意味する「数え立てる」、多くの物を次々に並べることや立て並べることを意味する「並べ立てる」、細かいことまで一つ一つ数えあげることを意味する「毛挙」、選び出して一覧表にすることを意味する「リストアップ」などがあります。
列挙の意味
列挙とは
列挙とは、並べあげること、一つ一つ数えあげることを意味しています。
列挙の使い方
列挙を使った分かりやすい例としては、「レポートにいくつかの事例を列挙する」「列挙の接続詞には何がありますか」「履歴書に書くために自分の長所と短所を列挙する」「今日習った英語の単語を列挙する」などがあります。
その他にも、「個々の施策を羅列せずに分類して列挙しなさい」「特徴を列挙すると次の点が挙げられます」「Javaの列挙型はとても便利です」「プログラミングで列挙型を使用するメリットはなんですか」などがあります。
列挙の「列」は、連なることや並び連ねることを表します。並べて示すことを表す「挙」と結び付き、列挙とは、ひとつひとつ並べ挙げることを意味します。また、順序よく並べていくというニュアンスを持つ言葉です。
「列挙型」の意味
上記の例文にある「列挙型」とは、プログラミング言語やデータベース管理システムなどにおけるデータ型の一つで、関連する定数をひとまとめにしておくことができる型のことです。列挙型は「enum」を使って定義します。
「列挙責任主義」の意味
列挙を用いた日本語には「列挙責任主義」があります。列挙責任主義とは、保険契約により保険会社が負担する危険が複数存在する場合に、保険会社が担保する危険を包括的に規定せずに、個別に列挙することを意味します。「限定責任主義」とも言います。
列挙の対義語
列挙の対義語・反対語としては、多くの中からある特定のものを抜き出すことを意味する「抽出」などがあります。
列挙の類語
列挙の類語・類義語としては、 一つ一つ数えることや一つ一つ取り上げて示すことを意味する「数え上げる」、連ね並べることを意味する「羅列」、物の数量または金銭を数えることを意味する「勘定」、数をかぞえることを意味する「カウント」などがあります。
枚挙の例文
この言葉がよく使われる場面としては、一つ一つ数え上げることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、枚挙という言葉は、「枚挙にいとまがない」という慣用句で用いられることがほとんどです。
列挙の例文
この言葉がよく使われる場面としては、ひとつひとつ並べ挙げることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、列挙の慣用的な言い回しには、「列挙する」「列挙せよ」「列挙して」などがあります。
枚挙と列挙という言葉は、どちらも「一つ一つ数えあげること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、一つ一つ数えあげることのみを表現したい時は「枚挙」を、一つ一つ数えあげることだけでなく並べあげることも表現したい時は「列挙」を使うようにしましょう。