【被害を被る】と【被害を受ける】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た日本語の「被害を被る」(読み方:ひがいをこうむる)と「被害を受ける」(読み方:ひがいをうける)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「被害を被る」と「被害を受ける」という言葉は、間違えやすい日本語なのでご注意下さい。




「被害を被る」と「被害を受ける」の違い

「被害を被る」は「被害を受ける」の間違い

「被害を被る」と「被害を受ける」の違いを分かりやすく言うと、「被害を被る」とは「被害を受ける」の間違った使い方、「被害を受ける」とは危害や災難などを経験することです。

「被害を被る」は誤字

一般的には「被害を被る」という言葉は存在しません。漢字の成り立ちや読み方が似ていることから、「被害を受ける」のことを間違えて「被害を被る」を使っている人がほとんどです。

「被害を受ける」は正しい日本語

正しい言葉である「被害を受ける」を使った分かりやすい例としては、「第三次世界大戦が起きれば全人類が被害を受けるだろう」「地震により多くの国民が被害を受ける」「作物が洪水の被害を受ける」「私たちの家は台風の被害を受けました」などがあります。

「被害を受ける」という言葉はあっても、「被害を被る」という言葉は存在しません。同時に「被害を受ける」という単語の意味について「危害や災難などを経験すること」と覚えておきましょう。

「被害を受ける」の英語表記

「被害を受ける」を英語にすると「to receive damage」「to cause damage」「be damage」 となり、例えば上記の「私たちの家は台風の被害を受けました」を英語にすると「Our home was damaged by the typhoon」となります。

「被害を被る」の意味

「被害を被る」とは

「被害を被る」とは、「被害を受ける」の間違った使われ方です。

「被害を被る」が間違っている理由

「被害を被る」という言葉は存在せず、間違った言葉として広まっています。読み方が似ているため、「被害を受ける」と混同してしまう人が多いようですが、間違った言葉なので使わないように気を付けましょう。

「被害を被る」と「被害を受ける」を間違ってしまう理由としては、「被る」と「受ける」の表現が似ているのが原因です。ただし、「被害を被る」は間違った日本語なので、使わないよう注意が必要です。

ではなぜ「被害を被る」が間違った言葉かというと、損害や危害を受けることを意味する「被害」に、災いなどを身に受けることを意味する「被る」が合わさった言葉なので、同じ意味を重ねてしまう重言に当てはまるからです。

重言とは同じ意味の語を重ねた言い方ことを意味しています。重言の多くは誤用と見なされるが、意味を強調したり語調を整えるため、あるいは理解を確実にさせるために、修辞技法として用いられる場合もあります。

「被害を被る」以外の重言

重言は「被害を被る」の他に、「頭痛が痛い」「馬から落馬する」「日本に来日する」「未だに未解決」「受注を受ける」「雪辱を晴らす」「全てを一任する」「予め予定していた」などがあります。

「被害を受ける」の意味

「被害を受ける」とは

「被害を受ける」とは、危害や災難などを経験することを意味しています。

「被害を受ける」の使い方

「被害を受ける」を使った分かりやすい例としては、「上司からセクハラの被害を受ける」「震度6の地震が起きたので道路が被害を受ける」「社会保障増税で被害を受けるのは現役世代です」「地域住民は原発事故の被害を受ける」などがあります。

「被害を受ける」は損害や危害を受けることを意味する「被害」に、 他からの働きや作用が身に加えられることを意味する「受ける」が合わさり、危害や災難などを経験することを意味する言葉です。

「被害を受ける」も一見重言のように感じるのですが、多くの辞書で容認されているので使用しても問題ない日本語となっています。

「被害を受ける」の特徴

「被害を受ける」の「被害」はネガティブな言葉なので、基本的にはマイナスのイメージでしか使わないと覚えておきましょう。

「被害を受ける」は物理的にと抽象的どちらでも使うことができるというのが特徴です。例えば、「台風の被害を受ける」「地震の被害を受ける」とした場合は、物理的な表現になります。

一方、「セクラハラの被害を受ける」「パワハラの被害を受ける」などは、精神的に苦痛を与えられるので、抽象的な表現になると覚えておきましょう。

「被害を受ける」の類語

「被害を受ける」の類語・類義語としては、思いがけなく被害を被ることを意味する「被害に遭う」があります。

「被害を被る」の例文

1.「被害を被る」という言葉は存在しないので、おそらく「被害を受ける」の言い間違いだろう。
2.「被害を受ける」という言葉は危害や災難などを経験することで、「被害を被る」という言葉はない。
3.「被害を被る」という言葉は、今のところ間違いだとされているが、多くの人が使うようになれば馴染んでくるのかもしれない。
4.同僚男性からセクハラの被害を被るという言葉を使う人はいるが、正しくは同僚男性からセクハラの被害を受けるです。
5.作物が冷夏の被害を受けるという言葉はあるが、作物が冷夏の被害を被るという言葉はない。

この言葉がよく使われる場面としては、「被害を受ける」という言葉を間違えて「被害を被る」と表現している時などが挙げられます。

「被害を被る」という言葉は辞書にも載っていませんし、広く使われている言葉ではなく、「被害を受ける」を間違えて使っている可能性が高いです。

「被害を被る」という言葉の意味を理解した上で、あえて使っている場合以外は、「被害を被る」ではなく、「被害を受ける」と表現するのが正しい使い方になります。

「被害を受ける」の例文

1.私たちは被害を受けた子供たちのカウンセリングを担当しています。
2.何かが切っ掛けで核戦争が起きれば、全世界が被害を受けるだろう。
3.今年は雨が全然降らないので、多くの農作物が被害を受けています。
4.震度7の地震が起こると、多くの人々が被害を受けることになるはずです。
5.パワハラの被害を受けたので、労働基準監督署に報告することにしました。

この言葉がよく使われる場面としては、危害や災難などを経験することを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、「被害を受ける」はマイナスのイメージで使われている言葉です。

「被害を被る」と「被害を受ける」どちらを使うか迷った場合は、「被害を被る」は辞書にない言葉なので、辞書に載っている言葉の「被害を受ける」を使うようにしましょう。

言葉の使い方の例文
編集者
株式会社セラーバンク/例文買取センター運営
例文買取センター