似た意味を持つ「テロップ」と「字幕」(読み方:じまく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「テロップ」と「字幕」という言葉は、「映像につけられる文字情報」という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
テロップと字幕の違い
テロップと字幕の意味の違い
テロップと字幕の違いを分かりやすく言うと、テロップは簡潔かつ強調された文字情報を表現する時に使い、字幕は出演者の言葉を全て文字情報にしたものを表現する時に使うという違いです。
テロップと字幕の使い方の違い
一つ目のテロップを使った分かりやすい例としては、「カラオケでは歌詞テロップの表示を小さくすることもできる」「テロップ入れにも時間が掛かるため動画を短時間で作る人を尊敬する」「テロップのフォントにも工夫が見られる」などがあります。
二つ目の字幕を使った分かりやすい例としては、「日本語字幕つきでいつも映画を見ている」「字幕スーパーという言葉が死語と考える人もいるようだ」「字幕のおかげで無音でも動画の内容を確認することができる」などがあります。
テロップと字幕の使い分け方
テロップと字幕はどちらも、映像につけられる文字情報を指す言葉ですが、性質が若干異なります。
テロップは、テレビカメラを通さずに画面上に映し出された情報で、図や写真などの情報も含まれますが、一般的には文字情報を指して使われる言葉です。視聴者の注意を引くようなフォントデザインで、簡潔な文章のものがほとんどです。
一方の字幕は、その映像に出演している人の言葉を一言一句違わずに文字に起こしたものを指す言葉です。ただし、英語を日本語字幕に起こしたものなどは元のニュアンスとは異なる言葉が使われることもあります。
つまり、テロップは必要とされる文字情報を指し、字幕は出演者の発言内容を文字に起こしたものを指し、字幕はテロップに含まれます。そのため、「字幕テロップ」と二つの語を組み合わせて使うこともあります。
テロップと字幕の英語表記の違い
テロップを英語にすると「telop」となり、例えば上記の「歌詞テロップ」を英語にすると「the lyrics telop」となります。一方、字幕を英語にすると「subtitles」となり、例えば上記の「日本語字幕」を英語にすると「Japanese subtitles」となります。
テロップの意味
テロップとは
テロップとは、カメラを通さずに画面上に映し出された情報を意味しています。
表現方法は「テロップを入れる」「テロップを消す」「テロップが流れる」
「テロップを入れる」「テロップを消す」「テロップが流れる」などが、テロップを使った一般的な言い回しです。
テロップの使い方
テロップを使った分かりやすい例としては、「テロップデザインのコツはまず見てすぐに情報が分かるようにすることだと思う」「効果的なテロップのためにフリーの効果音もつけておきたい」「テロップの表示時間が短いと読めないだろう」などがあります。
その他にも、「かつての手書きされていたテロップ集を見た時はもはや芸術だと思った」「今日ではテロップベースとなる素材が配布されていることもある」「無料の画像加工アプリのおかげでテロップ作成のハードルも下がった」などがあります。
テロップは英語で「telop」と表記されますが、「television opaque projector」の略称であり、アメリカで実用化されたテレビ放送用装置の商標名です。映像ではなく静止画を表示させるものでしたが、コンピューター技術の発展により用いられなくなりました。
1960年代、日本でもテロップが使われるようになった頃には、画面に表示された静止画、その技術を応用して表示される字幕、そしてその字幕技術を指すものとして、テロップという言葉が使われるようになりました。
具体的には、テレビ放送における提供の表示、タイトルロゴ、スタッフロール、気象やニュースに関する速報など文字や図を指し、これらは当初手書きで作られていました。今では技術が発展し、パソコンで誰でも簡単にテロップを作ることができます。
1980年代頃からはバラエティー番組が増え、様々な番組が作られたことで文字テロップの演出も大きな効果を持つようになり、今日では動画投稿サイトの普及で動画作成者も増えたことから、テロップの質も量も大きく変化しました。
テロップの類語
テロップの類語・類義語としては、映画やテレビなど、二つの画面を重ねて一つの画面を作ることを意味する「スーパーインポーズ」があります。
字幕の意味
字幕とは
字幕とは、映像上に表示される文字情報を意味しています。
表現方法は「字幕起こし」「字幕をつける」「字幕がない」
「字幕起こし」「字幕をつける」「字幕がない」などが、字幕を使った一般的な言い回しです。
字幕の使い方
字幕を使った分かりやすい例としては、「字幕スーパーを消す方法がわからず困っている」「日本語字幕の作成にはルールがあり、1秒間に4文字と言われている」「動画サイトの字幕機能は文字起こし機能とも呼ばれている」などがあります。
その他にも、「中間字幕が長い場合は一度再生を停止しなければ読めない」「動画の字幕設定によっては外国人でも動画を楽しむことができる」「祖母はニュースを見る時に字幕放送を利用している」などがあります。
字幕は、映画で使われたのを皮切りに、テレビ放送やインターネット上の映像など利用範囲も広がっていきます。
映像冒頭で行われるストーリーの説明や、外国語を翻訳したものの表示はもちろん、テロップとも呼ばれるスタッフや関係者の表示も字幕という言葉で表すことができます。
1931年、外国映画が日本で上映される時に初めて字幕がつくようになり、1983年には日本のテレビ番組で字幕放送が開始されました。当時は試験段階で東京と大阪のみでしたが、後々全国的なものになり、聴覚に障がいを持つ人でもテレビを楽しめるようになります。
「字幕スーパー」の意味
上記例文の「字幕スーパー」のスーパーは、「スーパーインポーズ」という映像編集の手法を指す言葉の一部で、複数の画像を重ねたものを表します。映画業界では「スーパー」と省略され、そのうち字幕のものを「字幕スーパー」と呼びます。
「中間字幕」の意味
また、上記例文の「中間字幕」とは、映像を中断して暗転させた後の画面に表示される文字で、登場人物の台詞や終幕後の登場人物らの説明などに使われています。
字幕の類語
字幕の類語・類義語としては、映画やテレビ番組で出演者やスタッフ、スポンサーなどを示す字幕を意味する「クレジットタイトル」、映画の字幕を意味する「キャプション」などがあります。
テロップの例文
この言葉がよく使われる場面としては、カメラを通さずに画面上に映し出された情報を意味する時などが挙げられます。
テロップは図を表すこともありますが文字であることがほとんどであるため、例文3のように「字幕テロップ」という表現が使われることもあります。
字幕の例文
この言葉がよく使われる場面としては、映像上に表示される文字情報を意味する時などが挙げられます。
例文2の「字幕付きCM」は2010年に放送されたものが初めてで、その後徐々に拡大し、2022年にはすべての放送枠において字幕付きCMが放送できるようになりました。
テロップと字幕は、どちらも「映像につけられる文字情報」を表します。どちらを使うか迷った場合は、簡潔かつ強調された文字情報を表す場合は「テロップ」を、出演者の言葉を全て文字情報にしたものを表す場合は「字幕」を使うと覚えておけば間違いありません。