似た意味を持つ「謀反」(読み方:むほん)と「反逆」(読み方:はんぎゃく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「謀反」と「反逆」という言葉は、どちらも「支配者や体制に背くこと」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
謀反と反逆の違い
謀反と反逆の意味の違い
謀反と反逆の違いを分かりやすく言うと、謀反とは古い表現、反逆とは現代的な表現という違いです。
謀反と反逆の使い方の違い
一つ目の謀反を使った分かりやすい例としては、「なぜ従順だった家臣が謀反を企てたのだろうか」「謀反の罪で失脚させられてしまいました」「国家に対する謀反者とみなされた」「謀反の罪、不問といたす」などがあります。
二つ目の反逆を使った分かりやすい例としては、「彼は時代の流れに逆らう反逆児だ」「国内では国家反逆罪の摘発が相次いでいる」「国家への反逆行為の罪で逮捕された」「公然と反逆する若者たちが現れた」などがあります。
謀反と反逆の使い分け方
謀反と反逆という言葉は、どちらも国家などの体制や君主などの支配者に背くことを表しますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
謀反とは、時の為政者や君主あるいは国家に背くことを意味します。武力を行使して反乱を起こすことを指すことが多い言葉ですが、少人数で主君を暗殺する行為を「謀反」と表現することもあります。現代の事件に対して使用されることは少なく、基本的には前近代の事件を指す言葉です。
反逆とは、国や君主あるいは世間などにそむいて逆らうことを意味します。世間に逆らうという意味もあり、一般社会の習慣に従おうとしない人を「反逆児」と表現するなど、現代では謀反よりも広い意味で用いられています。
つまり、二つの言葉は同義語ですが、謀反は限定的な使い方をする古い表現であり、反逆は謀反よりも広い意味で使用される現代的な言い方なのです。
謀反と反逆の英語表記の違い
謀反も反逆も英語にすると「rebellion」「revolt」「treason」となり、例えば上記の「謀反を企てる」を英語にすると「plot a rebellion」となります。
謀反の意味
謀反とは
謀反とは、時の為政者に反逆すること、国家・朝廷・君主にそむいて兵を挙げることを意味しています。
その他にも、「密かに計画して事を起こすこと」の意味も持っています。
謀反の漢字表記
謀反は「謀叛」とも書きますが、一般的には「謀反」と表記されています。
謀反の読み方
謀反の読み方は「むほん」の他に「ぼうへん」「むへん」があります。「ぼうへん」「むへん」と読む場合、「国家の転覆をはかること」を意味し、「むほん」と読む場合と少しニュアンスが異なります。
表現方法は「謀反を企てる」「謀反の罪」「謀反する」
「謀反を企てる」「謀反の罪」「謀反する」などが、謀反を使った一般的な言い回しです。
謀反の使い方
「いつか家臣の誰かが謀反を起こすだろう」「謀反は歴史を大きく動かします」「謀反の罪に問われている」「謀反人の娘という立場になってしまった」などの文中で使われている謀反は、「時の為政者に反逆すること」の意味で使われています。
一方、「パート社員たちが謀反を起こして全員辞めていった」「英語教師は生徒たちの謀反に気付いた」などの文中で使われている謀反は、「密かに計画して事を起こすこと」の意味で使われています。
謀反の「謀」は訓読みで「はかる」と読み、考えを巡らすことや良くない事をたくらむことを表し、「反」は訓読みで「そむく」と読み、自然の勢いに従わないで逆の方向に進もうとすることを表します。謀反とは、国家や君主あるいは体制や支配者に背くことを意味する言葉です。
「謀反気」の意味
謀反を用いた日本語には「謀反気」(読み方:むほんぎ)があります。謀反気とは、謀反を起こそうとする気持ちや、世間の風潮や人に対して反抗しがちな気質を意味します。
謀反の対義語
謀反の対義語・反対語としては、態度などが素直で人に逆らわないことを意味する「従順」、支配下に入ることを意味する「帰服」などがあります。
謀反の類語
謀反の類語・類義語としては、体制に逆らうことや謀反を起こすことを意味する「造反」、従うべきものにそむくことを意味する「背反」、前の王朝がくつがえって別の王朝がかわって統治者となることを意味する「革命」などがあります。
反逆の意味
反逆とは
反逆とは、権威・権力などに逆らうことを意味しています。
反逆の漢字表記
反逆は「叛逆」とも書きますが、常用漢字を用いた「反逆」と表記することが一般的です。
表現方法は「反逆する」「反逆を起こす」「反逆行為」
「反逆する」「反逆を起こす」「反逆行為」などが、反逆を使った一般的な言い回しです。
反逆の使い方
反逆を使った分かりやすい例としては、「帝より反逆の徒を討つ命を受ける」「国家反逆罪の最高刑を終身刑に引き上げる」「最強の騎士は反逆者として王国で処刑された」「反逆行為に及んだという証拠はないだろう」などがあります。
その他にも、「彼は反対勢力から反逆者とみなされいてる」「反逆児のレッテルを張られている」「世間の目に惑わされることなく反逆精神を持ち続ける」「監督は反逆児として映画界に君臨している」などがあります。
「反逆者」「反逆児」の意味
反逆とは、権力などに逆らって打倒・抵抗などの活動を起こすことを意味し、そのような人のことを「反逆者」「反逆児」と言います。反逆の「反」と「逆」は、目上の人の考えや命令などに従わずに反抗したり反対することを表す漢字です。
「反逆精神」の意味
上記の例文にある「反逆精神」とは、安易に権威や権力に従わず、自分が正しいと思う道に進むことを表す言葉です。似た言葉に「反骨精神」がありますが、こちらは「世の中の不正や、因習などに、果敢に立ち向かって行こうとする気概」を意味し、意味合いに違いがあります。
反逆の対義語
反逆の対義語・反対語としては、他の意志や命令に従うことを意味する「服従」、反逆や抵抗をやめて服従することを意味する「帰順」などがあります。
反逆の類語
反逆の類語・類義語としては、権力や支配者に背いて武力行動を起こすことを意味する「反乱」、群衆が暴徒となって騒動を起こすことを意味する「暴動」、支配勢力の一部が非合法的な武力行使によって政権を奪うことを意味する「クーデター」などがあります。
謀反の例文
この言葉がよく使われる場面としては、国家・君主・主君・時の為政者に背くこと、秘密裏に計画して事を起こすことを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文4にある謀反は、「国家や為政者などに背くことの」意味で用いられています。例文5の謀反は、「秘密裏に計画して事を起こすこと」の意味で用いられています。
反逆の例文
この言葉がよく使われる場面としては、国や世間などに背いて逆らうことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、反逆の慣用的な言い回しには「反逆行為」「反逆児」「反逆の徒」「反逆する」などがあります。例文3の「反逆の徒」(読み方:はんぎゃくのと)の意味は、ある中心人物やその権威や権力に逆らう人です。
謀反と反逆という言葉は、どちらも「支配者や体制に背くこと」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、古い言い方をしたい時は「謀反」を、現代的な言い方をしたい時は「反逆」を使うようにしましょう。