似た意味を持つ「業界規模」(読み方:ぎょうかいきぼ)と「市場規模」(読み方:しじょうきぼ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「業界規模」と「市場規模」という言葉は、どちらも「商取引の規模」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
業界規模と市場規模の違い
業界規模と市場規模の意味の違い
業界規模と市場規模の違いを分かりやすく言うと、業界規模とは業界単位のみの商取引の規模を表し、市場規模とは業界単位だけでなく商品やサービス単位の商取引の規模も表すという違いです。
業界規模と市場規模の使い方の違い
一つ目の業界規模を使った分かりやすい例としては、「データをもとに業界規模を予測する」「業界規模と成長率が一目でわかるようにする」「美容業の売上は増加しており業界規模は拡大しています」などがあります。
二つ目の市場規模を使った分かりやすい例としては、「販売エリアを拡げて市場規模を拡大させる」「市場規模の計算方法をご存知でしょうか」「市場規模の調べ方にはいくつか方法があります」などがあります。
業界規模と市場規模の使い分け方
業界規模と市場規模という言葉は、どちらも商業上の売買行為の規模を表す経済用語ですが、意味や使い方には違いがあります。
業界規模とは、特定の業界における取引額や販売数量といった、その業界全体の商取引における規模を意味します。建設業・不動産業・金融業などの業種に区切って、年間の業界全体の総売上を算出したものを指す言葉です。
市場規模とは、特定の市場における年間の商取引の規模を意味します。市場は業界単位の場合もあれば特定の商品やサービス単位の場合もあり、「デジタルコンテンツの市場規模」と言えば、ゲーム業界だけでなくアニメ業界や通信業界なども関わってきます。
つまり、業界規模とはある業界に特化した売上げの規模を表し、市場規模とは業界だけでなく商品という切り口での売上げの規模も表します。二つの言葉を比べると、業界規模よりも市場規模の方が広い意味を持ち、汎用性のある言葉だと言えるでしょう。
業界規模と市場規模の英語表記の違い
業界規模を英語にすると「industry size」「the size of the industry」となり、例えば上記の「業界規模を予測する」を英語にすると「estimate the size of the industry」となります。
一方、市場規模を英語にすると「market size」「market scale」となり、例えば上記の「市場規模を拡大する」を英語にすると「expand the market scale」となります。
業界規模の意味
業界規模とは
業界規模とは、ある業界での販売数や取引額などの大きさを意味しています。
業界規模の使い方
業界規模を使った分かりやすい例としては、「簡単な業界規模の調べ方が知りたいです」「投資先は業界規模マップを参考にしています」「日本の業界規模ランキングをグラフ化しました」などがあります。
その他にも、「建設業の業界規模はどれぐらいですか」「ゲーム市場の業界規模を調べています」「業界規模を一覧にして資料に入れました」「就活では業界規模と社員の平均年収を重視しました」などがあります。
業界規模の「業界」は、同業者の世界を意味し、同じ産業や商業に関係する人々の社会を表します。物事が持つ大きさを表す「規模」と組み合わさり、業界規模とは、ある業界においての経済活動の大きさを意味します。一般的には、その業界における主要対象企業の売上高の合計を表したものを指します。
業界規模の調べ方
業界規模の調べ方には、官公庁や業界団体が発行する資料から調べる方法や、調査会社の市場レポートを調べる方法などがあります。知りたい業界規模に関する調査レポートがない場合は、市場調査会社に新たに調査を依頼することもできます。
業界規模の類語
業界規模の類語・類義語としては、経済対策の金額的規模を表す概念の一つを意味する「事業規模」、商業上の取引行為を意味する「商取引」、商取引を行った際にやり取りした金額を意味する「取引高」などがあります。
市場規模の意味
市場規模とは
市場規模とは、ある事業分野での販売数や取引額などの大きさを意味しています。
市場規模の読み方
市場規模の読み方は「しじょうきぼ」です。誤って「いちばきぼ」などと読まないようにしましょう。
市場規模の使い方
市場規模を使った分かりやすい例としては、「世界各国の市場規模ランキングをチェックする」「英語教育産業の市場規模はどれぐらいですか」「一目でわかる市場規模マップは便利ですね」などがあります。
その他にも、「市場規模の算出方法を教えてください」「フェルミ推定を利用して市場規模を導き出す」「2023年の日本の市場規模ランキングを発表します」「産業別実質市場規模の推移をグラフにする」どがあります。
市場規模の「市場」とは、財貨やサービスなどの需要と供給との間にある関係を総合的にとらえた言葉です。物事の大きさを表す「規模」と結びつき、市場規模とは、特定の事業分野における取引額や販売数量を意味します。一般的には、業界全体の年間売上高がその業界の市場規模とされています。
市場規模の算出方法
市場規模の算出方法はいくつかありますが、その一つにフェルミ推定から算出する方法があります。
フェルミ推定とは、実際に調査することが難しいような数量を、論理的思考能力を頼りに概算することです。このフェルミ推定は、市場の推計でも有効な手立てになっています。
市場規模の類語
市場規模の類語・類義語としては、企業から産出される出荷額または販売量などを意味する「販売規模」、市場において消費者に購入される商品やサービスの販売総額を意味する「流通取引総額」、ある事業分野での市場の規模を意味する「マーケットサイズ」などがあります。
業界規模の例文と使い方
この言葉がよく使われる場面としては、特定の業界全体における売上高の合計を表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、業界規模という言葉は、主にビジネスシーンで用いられています。
市場規模の例文と使い方
この言葉がよく使われる場面としては、ある特定の市場における年間の商取引の総額、その市場で商取引が行われる見込みの総額を表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、市場規模という言葉は、ビジネスシーンで使用されることがほとんどです。
業界規模と市場規模という言葉は、どちらも「商取引の規模」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、ある業界における商取引の規模を表現したい時は「業界規模」を、特定の業界や商品における商取引の規模を表現したい時は「市場規模」を使うようにしましょう。