似た意味を持つ「健全」(読み方:けんぜん)と「健康」(読み方:けんこう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「健全」と「健康」という言葉は、どちらも心身ともに良好な状態を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
健全と健康の違い
健全と健康の意味の違い
健全と健康の違いを分かりやすく言うと、健全は人間にも人間以外にも使われ、健康は人間だけに使われるという違いです。
健全と健康の使い方の違い
一つ目の健全を使った分かりやすい例としては、「健全な生活を送るように意識する」「青少年の健全育成を明確化する」「健全な企業活動を推進する」「とても健全な財政状況ではない」「健全な組織運営を目指す」「財政の健全化に関する法律」などがあります。
二つ目の健康を使った分かりやすい例としては、「来月は必ず健康診断を受ける」「健康食品店で食材を買う」「健康寿命と平均寿命の違い」「健康維持のためのウォーキング」「健康的な生活を心がけている」「健康長寿の秘訣を聞くテレビ番組が大好きだ」などがあります。
「健全な財政状況」と「健康な財政状況」の違い
健全と健康という言葉は、どちらも心身ともに良好な状態を意味する言葉なのですが、さらに健全には物事が正常に機能している状態にあることの意味もあります。これが健全と健康の明確な違いになります。上記の「健全な財政状況」は「健康な財政状況」と言い換えられません。
「健康診断」と「健全診断」の違い
また、健全はどちらかと言えば内面の状態を表す時に用いられることが多く、健康はどちらかと言えば身体の状態を表す時に用いられることが多くあります。例えば上記の「健康診断」は身体の状態をチェックするものであり、「健全診断」と言い換えることはできません。
健全と健康の英語表記の違い
健全を英語にすると「healthy」「healthiness」となり、例えば上記の「健全な生活を送る」を英語にすると「live a healthy」となります。一方、健康を英語にすると「health」となり、例えば上記の「健康食品店」を英語にすると「health food store」となります。
健全の意味
健全とは
健全とは、身心が正常に働き、健やかであることを意味しています。
他にも、物事が正常に機能している状態にあることの意味も持っています。
表現方法は「健全な生活」「健全な判断」「健全な精神状態」
「健全な生活」「健全な判断」「健全な精神状態」などが、健全を使った一般的な表現方法です。
健全の使い方
「健全育成のための活動プログラム」「健全な精神状態を取り戻す」「これからは健全な人生を送る」「健全に育つだけで満足だ」「健全な生活を維持する」などの文中で使われている健全は「身心が正常に働き、健やかであること」の意味で使われています。
一方、「財務の健全性を分析する」「都市の健全な発展を図る」「健全な考え方が大事である」「不良資産と健全資産を分ける」「コンクリート構造物の健全度診断」などの文中で使われている健全は、「物事が正常に機能している状態にあること」の意味で使われています。
健全という言葉は心身の状態だけでなく物事の状態も表す言葉のため、日常生活でもビジネスシーンでもよく使われる言葉です。
「健全なる精神は健全なる身体に宿る」の意味
健全という言葉を用いたことわざには「健全なる精神は健全なる身体に宿る」があり、肉体が健康であれば精神もこれに伴って健康であることを表しています。ここで使われている健全は心身の健康を意味しています。
「財務の健全性」「健全資産」「健全経営」の意味
ビジネスシシーンで使われる健全としては、「財務の健全性」「健全資産」「健全経営」などがあります。これらで使われている健全は、財務状況が正常に機能して安定していることの意味で使われています。
健全の対義語
健全の対義語・反対語としては、心身が健やかでないことや物事の状態などが正しくないことを意味する「不健全」などがあります。
健全の類語
健全の類語・類義語としては、心身が健全であるさまを意味する「健やか」、好ましい状態であることを意味する「良好」、堅実な調子であることを意味する「堅調」などがあります。
健全の全の字を使った別の言葉としては、欠点や不足しているところが全くないことを意味する「完全」、危険がなく安心なことを意味する「安全」、ある物事の全体を意味する「全面」などがあります。
健康の意味
健康とは
健康とは、からだに悪いところがなく、心身ともに正常であることを意味しています。
表現方法は「健康に良い」「健康に過ごす」「不健康な生活」
「健康に良い」「健康に過ごす」「不健康な生活」などが、健康を使った一般的な表現方法です。
健康の使い方
健康を使った分かりやすい例としては、「健康で文化的な生活を送る」「笑うと健康になるらしい」「健康に良い食べ物を調べる」「大気汚染による健康被害」「健康への意識の高まっている」「健康増進法が改正された」などがあります。
その他にも、「社会と人々の健康が第一だ」「父は健康オタクだ」「近年は健康志向が高まる傾向がある」「健康なからだづくりをしましょう」「健康に過ごすための習慣」「健康に欠かせない要素である」「不健康な生活を送っていると将来後悔することになる」などがあります。
健康という言葉は、からだに悪いところがなく状態が良いことを意味しており、日常生活でよく使われる馴染みのある言葉です。
「健康で文化的な最低限度の生活」の意味
健康という言葉を用いた有名な言葉には「健康で文化的な最低限度の生活」があり、これは日本国憲法第25条に明記されている文言です。ここで使われている健康は心身ともに正常であることを意味しており、国民の生存権を保障した条文です。
健康の対義語
健康の対義語・反対語としては、からだが弱く病気がちであることを意味する「病弱」、生理機能や精神機能に障害を起こし健康な日常生活を営めない状態を意味する「病気」などがあります。
健康の類語
健康の類語・類義語としては、健康で元気なことを意味する「壮健」、からだが丈夫で健康なさまを意味する「達者」、からだが丈夫で元気なさまを意味する「健勝」などがあります。
健康の康の字を使った別の言葉としては、事態がしばらく収まっていることを意味する「小康」、平和で安らかなことを意味する「安康」などがあります。
健全の例文
この言葉がよく使われる場面としては、身心あるいは物事が正常に機能していることを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文3で使われている健全は、身心が正常に働き健やかであることを意味しています。例文4や例文5で使われている健全は、物事が正常に機能している状態にあることを意味しています。健全は人間だけでなく、物事にも使われる言葉です。
健康の例文
この言葉がよく使われる場面としては、心身ともに正常であることを表現したい時などが挙げられます。
健康という言葉は、心身ともに正常であることを意味していますが、どちらかと言えば身体の状態を表すことが多くあります。例文1のように、内面の状態を表す時には「こころの健康」と表現することがあります。
例文4にある「健康第一」とは、大切にすべきものはたくさんあるが何よりも健康を確保しなければ始まらない、という意味の四字熟語でよく使われる言葉です。
健全と健康は同じような意味を持ちますが、健全は人間にも人間以外にも使われ、健康は人間だけに使われるという違いがあります。また、健全は内面の状態を、健康は身体の状態を表す時に多く用いられることを覚えておくと間違いないでしょう。