【安全】と【無事】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「安全」(読み方:あんぜん)と「無事」(読み方:ぶじ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「安全」と「無事」という言葉は、どちらも「安らかなさま」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




安全と無事の違い

安全と無事の意味の違い

安全と無事の違いを分かりやすく言うと、安全とは危害などを受ける心配がないさまを表し、無事とは病気や事故がなく過ごすさまを表すという違いです。

安全と無事の使い方の違い

一つ目の安全を使った分かりやすい例としては、「いつも安全運転を心掛けています」「安全衛生推進者の講習を受ける」「安全衛生管理者の資格を取得しました」「安全衛生ポスターのスローガンを考えています」などがあります。

二つ目の無事を使った分かりやすい例としては、「お蔭さまで無事に暮らしております」「行方不明者が無事発見されました」「私の座右の銘は無事これ名馬です」「無事是貴人と言うのだから、あるがままに生きよう」などがあります。

安全と無事の使い分け方

安全と無事という言葉は、どちらも穏やかで何事もなく乱れのない様子を表しますが、意味や使い方には違いがあります。

安全とは、危なくないことを意味し、人が危険や災害などにさらされる心配がないことや、物の盗難や破損の心配がないことを表現する言葉です。上記例文にある「安全衛生管理者」とは国家資格であり、職場における安全と従業員の健康を管理する業務を担います。

無事とは、「無事に暮らす」のような使い方で、何事もなく普段と変わりないことを意味し、暮らしなどに乱れや事故などがないさまを表します。また、「行方不明者が無事に発見された」のような使い方で、危険にさらされても被害をうけなかったときにも使用される言葉です。

つまり、安全とは危険がなく安心なことを意味し、無事とは病気や怪我がなく暮らすことを表現する言葉です。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。

安全と無事の英語表記の違い

安全を英語にすると「safety」「security」「surety」となり、例えば上記の「安全運転」を英語にすると「safe driving」となります。

一方、無事を英語にすると「peace」「safety」「good health」となり、例えば上記の「無事に暮らす」を英語にすると「live in peace」となります。

安全の意味

安全とは

安全とは、危険がなく安心なこと、傷病などの生命にかかわる心配や物の盗難・破損などの心配のないことを意味しています。

安全の使い方

安全を使った分かりやすい例としては、「くれぐれも安全運転でね」「ゼブラゾーンと安全地帯の違いを知っていますか」「安全運転管理者に関する届出書を提出する」「安全ピンを使ってズボンの裾上げをする」などがあります。

その他にも、「労働安全衛生法が2024年に改正されます」「日米安全保障条約を英語の原文で読む」「今月の安全日はいつか計算する」「ワークマンでおしゃれな安全靴を買いました」 「体に害のない安全なフライパンを探しています」などがあります。

安全の「安」は訓読みで「やすい」と読み、変わったことがなく穏やかに落ち着いていることを表します。完全にその状態であるさまを表す「全」と結びつき、安全とは、危険や災害などによって損なわれる恐れがない安らかな状態を意味します。

表現方法は「安全地帯」

安全を用いた日本語には「安全地帯」があります。安全地帯とは、路面電車に乗り降りする乗客や、道路を横断する歩行者の安全確保のために道路上の交通を規制している場所を意味します。安全地帯のそばをクルマで通る際、歩行者がいる場合は徐行しなければなりません。

安全の対義語

安全の対義語・反対語としては、損害や災害などが生じる可能性のあることを意味する「危険」などがあります。

安全の類語

安全の類語・類義語としては、変わったこともなく穏やかなことを意味する「平穏」、安らかで変わったことのないことを意味する「平安」、静かでのどかなさまを意味する「穏やか」、あぶなげがなく安心できるさまを意味する「大丈夫」などがあります。

無事の意味

無事とは

無事とは、普段と変わりないことを意味しています。

その他にも、「過失や事故のないこと」「健康で元気なこと」「なすべき事がないこと、ひまな状態」「なすべき事がないこと、ひまな状態、何もしないこと」の意味も持っています。

無事の使い方

「平穏無事に過ごしております」「ご無事で何よりです」の文中で使われている無事は「普段と変わりないこと」の意味で、「ビジネススーツが無事に届いてよかった」「お土産は無事カエルのお守りにしました」の文中で使われている無事は「過失や事故のないこと」の意味で使われています。

一方、「娘が英語留学を終えて無事に帰国しました」「メールで家族の無事を知らせる」の文中で使われている無事は「健康で元気なこと」の意味で、「無事でつまらない夏休みを過ごしています」の文中で使われている無事は「なすべき事がないこと」の意味で使われています。

無事とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。無事の「無」は存在しないこと、「事」は社会や身のまわりに起こる事柄を表す漢字です。

表現方法は「無事これ名馬」

無事を用いた格言には「無事これ名馬」があります。「無事これ名馬」とは、「無事之名馬」「無事是名馬」とも書き、病気や怪我がなく活躍し続ける馬こそが名馬であることを意味します。競馬ファンであった作家の菊池寛が、禅宗の名言「無事是貴人」をもじったことに由来する言葉です。

無事の対義語

無事の対義語・反対語としては、戦争や事変など非常事態が起こることを意味する「有事」などがあります。

無事の類語

無事の類語・類義語としては、心静かに落ち着いていることを意味する「安穏」、無事でやすらかなことを意味する「安寧」、病気をしないで元気なことを意味する「息災」、病気や災難などがなく日を送ることを意味する「つつがなく」などがあります。

安全の例文と使い方

1.暮らしの安心安全とは、一人ひとりの防災対策や防犯意識によって成り立つものです。
2.従業員から安全衛生の標語を募集するなど、当社は安全で快適な職場づくりを推進しています。
3.職場の安全サイトからダウンロードしたリスクアセスメントの実施事項一覧を、職場の掲示板に貼り付けています。
4.職場の安全対策について、業種別に事例を挙げながら詳しく解説いたします。
5.製造工場における職場安全の3原則とは何か、あなたはご存知でしょうか。

この言葉がよく使われる場面としては、危険のないこと、傷ついたり盗まれたりする心配がないこと、気持ちを安らかにすることを表現したい時などが挙げられます。

例文2にある「安全衛生」とは、簡単にいうと、従業員が心身ともに安全かつ健康に業務を行えるよう、労働環境を整えるための考え方です。

無事の例文と使い方

1.飛行機のeチケットの使い方も知らなかった母が、無事に海外旅行から帰ってきて安心しました。
2.今年も家族みんなが平穏無事に過ごせますよう、初詣でお祈りしました。
3.無事に英語のスピーキングテストが終わったので、ほっとしています。
4.禅語でいうところの無事は、当然のことを造作なくやる心の持ちようだと思います。
5.このビジネスのプロジェクトが無事に終わるまで、あと一踏ん張りだから頑張ろう。

この言葉がよく使われる場面としては、とりたてて事のないこと、無病で健康なこと、無難であること、するべき事がないことを表現したい時などが挙げられます。

例文2にある「平穏無事」とは、穏やかで何も変わったこともなく安らかであることを意味する四字熟語です。無事を用いた四字熟語には「平穏無事」の他に「安穏無事」「無事息災」などがあります。

安全と無事という言葉は、どちらも「安らかで乱れていないさま」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、危害や損害などを受ける心配がないさまを表現したい時は「安全」を、病気や事故がなく過ごすさまを表現したい時は「無事」を使うようにしましょう。

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