【強化】と【増強】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「強化」(読み方:きょうか)と「増強」(読み方:ぞうきょう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「強化」と「増強」という言葉は、どちらも「強くすること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




強化と増強の違い

強化と増強の意味の違い

強化と増強の違いを分かりやすく言うと、強化とは何かを強くすること、増強とは何かを増やして強くすることという違いです。

強化と増強の使い方の違い

一つ目の強化を使った分かりやすい例としては、「食器は強化ガラス製で揃えています」「海上保安能力を強化する」「イラスト作成アプリの機能が強化されました」「強化学習の報酬の決め方を教えてもらえませんか」などがあります。

二つ目の増強を使った分かりやすい例としては、「有事に備えて軍隊を増強するべきだ」「ネットワーク設備の増強を継続的に実施する」「需要拡大を見据えて生産能力を増強します」「資本増強のために株式を発行する」などがあります。

強化と増強の使い分け方

強化と増強という言葉は、どちらも力や技などを強くして優れた状態にすることを表しますが、意味や使い方には違いがあります。

強化とは、強くすること、十分でない点を補って全体的に強くすることを意味します。「強化ガラス」とは、通常のガラスに熱処理などを施すことによって衝撃に強くしたガラスのことです。その強度と安全性を活かして、窓ガラスや食器などに用いられています。

増強とは、ある程度の強さのあるものに、人員や設備あるいは能力などを増やして更に強くすることを意味します。「資本増強」とは、企業が資本金を増やして、財務状況を向上させたり信用度を高めることです。

つまり、強化とは何かを強めて優れた状態にすることを表し、増強とは何かを増やして更に強めることを表現する言葉です。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。

強化と増強の英語表記の違い

強化を英語にすると「strengthening」「intensification」となり、例えば上記の「強化ガラス」を英語にすると「strengthened glass」となります。

一方、増強を英語にすると「reinforcement」「augmentation」となり、例えば上記の「軍隊を増強する」を英語にすると「reinforce an army」となります。

強化の意味

強化とは

強化とは、強くすること、さらに強くすることを意味しています。

強化の読み方

強化の読み方は「きょうか」です。同じ読み方をする熟語に「教化」や「教科」がありますが、意味が異なるため書き間違いに注意しましょう。

強化の使い方

強化を使った分かりやすい例としては、「サッカーの強化合宿に参加しました」「スマホの画面に強化ガラスフィルムを貼る」「強化ガラスが割れることはありますか」「心理学の授業で負の強化について習いました」「強化学習は機械学習における学習アルゴリズムの一種です」などがあります。

その他にも、「英語教員の指導力を強化する」「強化クラッチの寿命はどれぐらいですか」「強化段ボールの耐荷重を確認する」「強化石膏ボードは耐火性能に優れています」「ホームセンターでモルタル接着強化剤を買いました」などがあります。

強化の「強」は訓読みで「つよい」と読み、力や技がすぐれていて他に負けないこと、物事に耐える力があることを表します。そのような物や状態に変えることを表す「化」と組み合わさり、強化とは、強めることや一層強めることを意味します。

表現方法は「強化学習」

強化を用いた日本語には「強化学習」があります。強化学習とは、人工知能におけるコンピューターによる機械学習の一種です。AIが処理した結果に対して報酬を与え、報酬が最大になる処理方法を学習させます。

強化の対義語

強化の対義語・反対語としては、勢力や強度などがしだいに弱くなることを意味する「弱化」などがあります。

強化の類語

強化の類語・類義語としては、弱い部分や足りないところを補って強くすることを意味する「補強」、物事の度合がはげしくなることを意味する「亢進」、しだいに勢いが増してくることを意味する「強まる」などがあります。

増強の意味

増強とは

増強とは、人員や設備などを増やして機能を強化することを意味しています。

増強の読み方

増強の読み方は「ぞうきょう」です。誤って「ぞうごう」「そうきょう」などと読まないようにしましょう。

増強の使い方

増強を使った分かりやすい例としては、「自衛隊の医療部隊を増強する」「生産能力を二倍に増強する予定です」「このテキストで英語の語彙を増強しました」「安易に筋肉増強剤を服用しないでください」などがあります。

その他にも、「痛みの増強因子を取り除く」「英語力を増強するために通信教育を始めました」「うつ病に対する増強療法について医師から説明を受ける」「お客様のご要望にこたえてサーバーを増強いたしました」などがあります。

増強の「増」は訓読みで「ふえる」「ふやす」と読み、数や量が多くなることや数量が多くなるようにすることを表します。力や勢いがあることを表す「強」と組み合わさり、増強とは、ますます強くすることや人員や設備などをふやして働きを強めることを意味します。

表現方法は「筋肉増強剤」

増強を用いた日本語には「筋肉増強剤」があります。筋肉増強剤とは、筋肉を増強させるための薬剤であり、本来は未熟児や栄養失調者の治療に使われるものです。しかし、スポーツ選手が体力をつけるために使用して問題となり、国際オリンピック委員会は使用を禁止しています。

増強の類語

増強の類語・類義語としては、物の数量が増えることを意味する「増加」、増えて大きくなることを意味する「増大」、人員や定員を増やすことを意味する「増員」、急に増えることや急に増やすことを意味する「急増」などがあります。

強化の例文

1.日本の企業は、情報資産を守るためにサイバーセキュリティ対策を強化しています。
2.競争力を強化するためには、ビジネスモデルイノベーションが不可欠です。
3.経済産業省は、生成AIの開発力を強化するためのプロジェクトチームを立ち上げました。
4.私は大学で心理学を専攻し、強化の原因と応用について研究しました。
5.数学の基礎固めと英語の応用力強化のため、週に三日ほど予備校に通っています。

この言葉がよく使われる場面としては、 強くすること、強めることを表現したい時などが挙げられます。

例文4にある強化は、心理学用語として使用されています。心理学の強化とは、行動の頻度を高める原理や手続きを意味します。望ましい行動の自発確率を高めるために応用することができます。

増強の例文

1.半導体材料の設備増強を発表したメーカーの株価が急騰しています。
2.英語力を増強するために、例文の音声を聞きながら復唱する練習をしています。
3.政府は、軍事費の予算を増大させ軍備を増強することを明らかにしました。
4.病棟看護師は、入院患者の痛みが増強していないか常に気を配っています。
5.医療の進歩により、短期間に効率よく筋肉を増強することができるようになりました。

この言葉がよく使われる場面としては、人員や設備などを増やして強化することを表現したい時などが挙げられます。

例文3にある増強と増大の違いは、増強は働きが強まる意味合いが強く、増大は数量や程度が大きくなる意味合いが強い点にあります。

強化と増強という言葉は、どちらも「強めること、強まること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、何かを強力にしたり優れた状態にすることを表現したい時は「強化」を、何かを増やしてさらに強めることを表現したい時は「増強」を使うようにしましょう。

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