【暫時】と【漸次】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文
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似た意味を持つ「暫時」(読み方:ざんじ)と「漸次」(読み方:ぜんじ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分けを参考にしてみてください。

「暫時」と「漸次」という言葉は、どちらも時間を意味するという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。



暫時と漸次の違い

暫時と漸次の違いを分かりやすく言うと、暫時というのは、「しばらくの間」を意味していて、漸次というのは「徐々に」を意味しているという違いです。

意味はまったく異なりますが、書き慣れない漢字が使われているのと、読み方が似ているので、いざ使おうとすると混同してしまう言葉です。

暫時の暫というのは「しばらく」という意味で、文字通り、「しばらくの時」という意味になります。「しばらく」とは、広がりのある一定の時間のことを意味するので、「しばらくの間」ということになります。

この「しばらくの間」がどれだけの長さなのかは、その都度の状況や話者の意図によって異なることになります。

電話口で「しばらくお待ちください」と言われたら、人にもよりますが5分は十分長いです。かと思えば、「しばらく産休に入ります」という表現は、月単位の「しばらく」です。

このように、「しばらく」を意味する暫時は、その都度の状況によって「短くはないが、すぐにではない」ということを表現しています。時代劇や歴史小説など「しばし」という表現を見かけますが、同じ意味です。

次に、漸次というのは、「徐々に」ということです。漢字の成り立ちから考えて理解を深めておきましょう。

漸次の漸というのは、少しずつ進むことを意味しています。次というのは、ある物事の後に別の物事が続くことを意味しています。ここから、Aの次にB、Bの次にC、Cの次に……というように、物事が少しずつ進んでいくことを、漸次という言葉で表現します。

暫時の意味

暫時とは、「しばらくの間」を意味しています。暫時の暫という字は、「暫く」(読み方:しばらく)という意味です。なお「しばらく」という読み方は表外読みです。

「暫く」という言葉は、一続きの時間を切り取る表現です。時間は連綿と流れて続いていきますが、その中の任意の連続した時、つまり時「間」を取り出すのです。布地の切り売りのようです。

「暫く」は時間を任意に切り取ることが出来る言葉なので、ひとくちに「しばらく」と言っても、どれくらいの長さを表現しているかは文脈によったり、話者の意図によって異なります。

レストランなどで「しばらくお待ちください」と言われる時は、「長く待たせるつもりはないが、すぐには対応できない」ということですし、何年も、場合によっては十年単位で会っていない相手に「しばらく見ないうちに」と言われることもあります。

ただし、ある程度長くかかることが分かっていても、それを相手に切り出すことが出来ないから「しばらく」という表現で曖昧に済ませようとする場合もあります。

時代劇などの「しばし暇(読み方:いとま)をいただきたい」という台詞の場合、少なくとも数日、長ければ数年です。逆に「しばし待たれよ」だと10分は長いです。さらには、やや砕けた言い方ですが、「しばらくぶり」というのは「久しぶり」のことを意味します。

このように状況によって「しばらくの間」が具体的にどれぐらいの時間なのかには相当な揺れがありますが、何かをするために「それなりにまとまった長さの時間」という点は押さえておきましょう。

暫時と意味の関連する言葉としては、ほんの僅かの時を意味する「ちっと」「ちいと」、ちょっとの間を意味する「一寸、鳥渡」(読み方:共に「いっすん」)、「一分一秒を争う」の一分一秒に相当する「寸刻」「寸時」などがあります。

暫時の対義語・反対語としては、果てしなく長い時間を意味する「悠久」、仏教で最も長い時のことを意味する言葉で、「亀の甲より年の劫」に使われる「劫」(読み方:こう)などが挙げられます。

ただし、暫の「しばしば」をどれだけの間と取るかによって、対義語と類義語は変化しますので、上記を目安にして自分でも探してみてみてください。

暫時の暫の字を使った別の言葉としては、仮の措置であることを意味する「暫定」があります。この暫定という言葉は、「臨時」とほぼ同一の意味です。

暫時の時の字を使った言葉としては、ちょうど良い時の雨や、秋から冬にかけてのぽつぽつ降る雨を意味する「時雨」、この頃を意味する「時下」、ちょうど良い頃合いを意味する「時宜」などがあります。

漸次の意味

漸次とは、「徐々に、次第に、だんだん」を意味しています。漸次の漸という字は、少しずつ進むという意味です。

漸次の漸という字は、未来の目標や状況への向かい方や過ごし方を表現しています。一歩一歩少しずつ進むことから、目指す目標や状況への到達には長い時間がかかります。そのため、「ようやく」は漢字交じりで「漸く」、「やっと」は「漸と」と書きます。

ただし、漸を「ようやく」や「やっと」という読むのは表音外です。また、「ようやく」は副詞ですが、副詞は一部の例外を除いて、公的な文書ではひらがなで表記するという方針を国が打ち出しています。

漸次の類語・類義語としては、「一秒ごとに徐々に」を意味する「刻々」「時々刻々」、「一日ごとに徐々に」を意味する「日に日に」「逐日」、「一年ごとに徐々に」を意味する「年一年」「逐年」、「地に足をつけて着実に」を意味する「歩一歩」などがあります。

漸次の対義語・反対語としては、「一度にすべて」を意味する「一挙に」「いっぺんに」「一息に」、物事の順番に従わず急いで行うことを意味する「一足飛びに」、多くのものが同時に行われることや、多くの人で同時に行うことを意味する「一斉に」などがあります。

漸次の漸の字を使った言葉としては、順序通りに徐々に行うことを意味する「漸進」、少しずつ増えることを意味する「漸増」、少しずつ落ちることを意味する「漸落」などがあります。

暫時の例文

1.今日は気温が高いので、各自の判断で暫時休憩していいと顧問の先生が言った。
2.前を行く彼の速足についていくことばかりに必死で、足元の石に気づけずに転倒したはずみに、暫時、気を失っていたようだった。
3.暫時は呼吸をする必要さえ忘れてしまうほど、私は彼女の演奏にくぎ付けになっていた。
4.少し涼しくなってきたものなのか、道行く猫たちも元気を取り戻し、ふとした拍子に暫時にらみ合いをしていた。
5.仕事に集中していたので、暫時の間、私は妻の呼びかけにまったく気づかなかった。

この言葉がよく使われる場面としては、短くはないが長くもない、ある一定の時間を表現したい時などが挙げられます。

日常会話ではあまり使われることのない表現ですが、小説などでは、それでも使われる頻度は少なくなりましたが、地の文で情景を描写する際にしばしば使われる言葉です。「暫時、息をのんだ」や「暫時愕然とした」などです。

この言葉を目にしたら、それがどれくらいいの間のことかを考えるようにするとよいでしょう。そうすると、その文が何をどのように描写しているかについてイメージが湧きやすくなりますし、自分で文章を書く時にも使えるようになります。

漸次の例文

1.計画については、会議を経て漸次修正し、来月の頭までには完成させたいと考えております。
2.社会の中の高齢者の割合が漸次高くなってゆくことに、危機感を覚える。
3.彼の中でその問題が漸次に深まるのを確信した僕は、これは良いものが出来上がってくるぞと直感した。
4.時代の変化の潮流が、この街にも漸次、押し寄せてきているのを感じる。
5.線香花火が漸次に消えゆく様子は、夏の終わりを打ち明けるようだった。

この言葉がよく使われる場面としては、ある物事の進展がゆっくりと着実に行われることを表現したい時などが挙げられます。例文1のように一つ一つの段階が明白な時もありますが、大抵の場合、漸次とは連続的な変化のことを、漸次的変化のことを意味してます。

漸次的な変化は、少しずつの変化であって、変わったことに気づくのは後になってからのことが多いです。例文4のような少しずつ気づかれずに変わっていく社会を、歴史学などが目に見える形で記すことが出来るのは、それが事後的な営みだからです。

漸次的な変化の中にあって、その僅かな変化の積み重ねに気づける人は繊細な人で、その数はとても少ないです。毎日繰り返される日常風景でも、昨日とどこか違うか考えるようにすると、必ず何か発見があります。漸次とはそんなことを教えてくれる言葉です。

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