似た意味を持つ「おいとまする」と「帰る」(読み方:かえる)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「おいとまする」と「帰る」という言葉は、どちらも今居る場所を離れて去ることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「おいとまする」と「帰る」の違い
「おいとまする」と「帰る」の意味の違い
「おいとまする」と「帰る」の違いを分かりやすく言うと、「おいとまする」は目上の人に使える、「帰る」は目上の人に使えないという違いです。
「おいとまする」と「帰る」の使い方の違い
一つ目の「おいとまする」を使った分かりやすい例としては、「そろそろおいとまするつもりです」「本日はありがとうございました、これでおいとまします」「お茶を勧められたのでおいとますることを伝えました」などがあります。
二つ目の「帰る」を使った分かりやすい例としては、「終電前には帰るつもりです」「お正月は実家に帰る予定です」「出先から会社へ帰る」「同点のランナーがホームへ帰る」「今日はいつもより早く帰るよ」などがあります。
「おいとまする」と「帰る」の使い分け方
「おいとまする」と「帰る」はどちらも今居る場所を離れて去ることを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「おいとまする」は謙譲語なので、ビジネスシーンにおいて上司や取引先などの目上の人に対して使うことができます。
一方、「帰る」はただの動詞で敬語表現ではないので、ビジネスシーンにおいて目上の人に対しては使えないというのが違いです。
「おいとまする」と「帰る」の英語表記の違い
「おいとまする」も「帰る」も英語にすると「return」「come back」「leave」となり、例えば上記の「今日はいつもより早く帰るよ」を英語にすると「I’llcome back earlier than usual today」となります。
「おいとまする」の意味
「おいとまする」とは
「おいとまする」とは、訪問先から退出することを意味しています。
「おいとまする」の漢字表記
「おいとまする」を漢字にすると、「お暇する」と表記することができます。
「おいとまする」の使い方
「おいとまする」を使った分かりやすい例としては、「そろそろおいとまする時間です」「随分長い時間居ましたのでそろそろお暇しなければなりません」「家内に怒られてしまいますのでそろそろお暇します」などがあります。
「おいとまする」は「いとま」を動詞化し、さらに謙譲語にした表現になります。謙譲語とは、自分の行動を相手よりも下の立場として表現することにより相手への敬意を示すことを意味しています。
「おいとまする」は謙譲語表現なので、ビジネスシーンにおいて上司や取引先の方などの目上の人に対しても使うことができます。例えば、打ち合わせ後に目上の人より先に立ち去る場合に、「そろそろおいとまします」などのような言い回しで使います。
「おいとまする」の注意点
「おいとまする」を使う上で注意しなければならないのは、謙譲語なので目上の人の行動に対しては使えないという点です。したがって、「部長がおいとまする」などのような言い回しは使わないように気をつけましょう。
「おいとまする」の類語
「おいとまする」の類語・類義語としては、別れのあいさつをして立ち去ることを意味する「辞去する」があります。
「帰る」の意味
「帰る」とは
「帰る」とは、今居る場所を離れて去ることを意味しています。その他にも、自分の家や元いた場所に戻ること、野球で走者が本塁を踏んで得点になることの意味も持っています。
「帰る」の使い方
「お客さんが帰るので玄関先まで見送る」「終電が近いので帰るつもりです」などの文中で使われている「帰る」は、「今居る場所を離れて去ること」の意味で使われています。
一方、「自宅に帰る途中で本屋に立ち寄る」「サヨナラのランナーがホームに帰る」などの文中で使われている「帰る」は、「自分の家や元いた場所に戻ること、野球で走者が本塁を踏んで得点になること」の意味で使われています。
「帰る」は複数の意味を持つ動詞なので、日常生活、ビジネスシーン、スポーツシーンなどの様々な場面において使われている言葉です。
人が本来居るべき場所に行ったり、訪れた人が去る場合にも使います。したがって、基本的に人に対して使う言葉であると覚えておきましょう。
スポーツシーンで使う「帰る」は基本的に野球についてのみ使用されており、走者が本塁を踏んで得点になる場合に使います。
「帰る」の注意点
「帰る」を使う上で注意しなければならないのは、敬語表現ではないので目上の人に対して使えないという点です。もし、目上の人に対して使いたいのであれば、「おいとまする」や「失礼します」などを使うようにしましょう。
「帰る」の対義語
「帰る」の対義語・反対語としては、目的地へ向かって進むことを意味する「行く」があります。
「帰る」の類語
「帰る」の類語・類義語としては、進んできた道をもとへ戻ることを意味する「引き返す」、元の場所に帰ることを意味する「戻る」、前の状態や場所に帰ることを意味する「立ち戻る」、元の位置や状態に戻ることを意味する「復帰」などがあります。
「おいとまする」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、訪問先から退出することを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「おいとまする」は目上の人に対しても使うことができる言葉です。
「帰る」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、今居る場所を離れて去ることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、自分の家や元いた場所に戻ること、野球で走者が本塁を踏んで得点になることを表現したい時にも使います。
例文1と例文2は今居る場所を離れて去ること、例文3と4は分の家や元いた場所に戻ること、例文5は野球で走者が本塁を踏んで得点になることの意味で使っています。
「おいとまする」と「帰る」はどちらも今居る場所を離れて去ることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、目上の人に対して使えるのが「おいとまする」、目上の人に対して使えないのが「帰る」と覚えておきましょう。