【過ごす】と【過す】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

同じ「すごす」という読み方の「過ごす」と「過す」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「過ごす」と「過す」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。




「過ごす」と「過す」の違い

「過ごす」と「過す」の意味の違い

「過ごす」と「過す」の違いを分かりやすく言うと、「過ごす」は公用文で使える、「過す」は公用文で使えないという違いです。

「過ごす」と「過す」の使い方の違い

一つ目の「過ごす」を使った分かりやすい例としては、「今日はゲームだけして一日過ごす」「彼氏の家で楽しい時間を過ごす」「彼女はしばしば酒を過ごす」「夜更かしをしたせいで寝過ごす」「テレビを観ながら時を過ごす」などがあります。

二つ目の「過す」を使った分かりやすい例としては、「最近は毎日を無為に過す」「夏休みは別荘で過すことにしています」「今年のお正月は祖母の家で過す」「三年間沖縄で過す」「老後は田舎で気ままに過すつもりです」などがあります。

「過ごす」と「過す」の使い分け方

「過ごす」と「過す」は同音同義語ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。

「過ごす」と「過す」は送り仮名の原則として定められている表現になります。公用文の送り仮名は本則、例外、許容から成り立っています。

本則とは送り仮名の付け方に関する基本的な法則のこと、例外とは習慣的に世間に広く知れ渡っているため読み間違う恐れがない使い方のこと、許容は例外的な事項又は許容的な事項のことで読み間違う恐れがない使い方ことです。

この原則に「過ごす」と「過す」を当てはめると、「過ごす」は本則、「過す」は許容となります。したがって、基本的な法則である「尽くす」を使うのが一般的であると覚えておきましょう。

したがって、本則である「過ごす」は公用文で使えるのに対して、許容である「過す」は公用文では使えないというのが違いになります。

また、「過す」には動詞の連用形に付いてその動作を度を過ごして熱心にする意を表すことを意味する「そす」という言葉もあるので、読み間違えないように注意も促す意味もあると覚えておきましょう。

「過ごす」と「過す」の英語表記の違い

「過ごす」も「過す」も英語にすると「spend」「pass」となり、例えば上記の「テレビを観ながら時を過ごす」を英語にすると「I spend my time watching television」となります。

「過ごす」の意味

「過ごす」とは

「過ごす」とは、何かをして時間を費やすことを意味しています。その他にも、月日を送ること、物事の程度を越すこと、適当な程度を越して事をすること、そのままにしておくことの意味も持っています。

「過ごす」の使い方

「明日はお休みなので息子と過ごす予定です」「その後はいかがお過ごしですか」などの文中で使われている「過ごす」は、「何かをして時間を費やすことや月日を送ること」の意味で使われています。

一方、「冗談も度を過ごすと不愉快です」「電車を寝過ごしてしまい大変なことになりました」などの文中で使われている「過ごす」は、「物事の程度を越すことや適当な程度を越して事をすること」の意味で使われています。

「過ごす」は複数の意味を持つ動詞です。基本的には何かをして時間を費やすことの意味で使われますが、「酒を過ごす」の言い回しで酒を飲み過ぎるという意味で使うこともできます。

「過ごす」は大昔は「すぐす」の形で使うのが一般的で、「すごす」の言い回しはほとんど見られませんでした。また、平安時代には両者が併用され、中世末期ごろから「すごす」が一般的になったと言われています。

「過ごす」は公用文で使える

「過ごす」はは送り仮名の原則において本則されているので、公用文や新聞などの公的な文章においても使うことができます。

「過ごす」の類語

「過ごす」の類語・類義語としては、日が暮れるまで時間を過ごすことを意味する「暮らす」、あることをなしとげるために金銭や時間などを使うことを意味する「費やす」などがあります。

「過す」の意味

「過す」とは

「過す」とは、何かをして時間を費やすことを意味しています。その他にも、月日を送ること、物事の程度を越すこと、適当な程度を越して事をすること、そのままにしておくことの意味も持っています。

「過す」の使い方

「彼女とデートして楽しい時間を過すことができました」「酒を過して失敗したことがあります」などの文中で使われている「過す」は、「何かをして時間を費やすことや物事の程度を越すこと」の意味で使われています。

一方、「彼は一日中遊び過す」「この件を見過すわけにはいきません」などの文中で使われている「過す」は、「適当な程度を越して事をすることやそのままにしておくこと」の意味で使われています。

「過す」は複数の意味を持つ動詞です。基本的には何かをして時間を費やすことの意味で使われますが、「酒を過す」の言い回しで酒を飲み過ぎるという意味で使うこともできます。

「過す」の注意点

「過す」を使う上で注意しなければならないのは、公用文や新聞などの公的な場面において使うことができないという点です。なぜなら、送り仮名の原則において許容の表現というのが理由になります。

したがって、基本的には「過す」ではなく、広く一般的に使われている「過ごす」の方を使えば問題ないでしょう。

「過す」の類語

「過す」の類語・類義語としては、時間が経過することを意味する「流れる」、使ってなくすことを意味する「消費する」などがあります。

「過ごす」の例文

1.私は週末はお出かけするよりも、家でゆっくり過ごす方が好きです。
2.定年退職後は都会ではなく、田舎に家を買って大自然の中で過ごすのが夢です。
3.上司に勧められてついつい過ごしてしまったので、明日の二日酔いが怖いです。
4.寝過ごして遅刻してしまったので、友人に謝罪を込めてアイスを奢りました。
5.自分に被害が及ぶのが嫌なので、その場は適当にやり過ごすことにしました。

この言葉がよく使われる場面としては、何かをして時間を費やすことを表現したい時などが挙げられます。その他にも、月日を送ること、物事の程度を越すこと、適当な程度を越して事をすること、そのままにしておくことを表現したい時にも使います。

例文1は何かをして時間を費やすこと、例文2は月日を送ること、例文3は物事の程度を越すこと、例文4は適当な程度を越して事をすること、例文5はそのままにしておくことの意味で使っています。

「過す」の例文

1.今年のゴールデンウィークは、日本ではなく海外で過す予定です。
2.人生を振り返ってみると、何もない平凡な一生を過したなと思います。
3.冗談も度を過すと不愉快なので、他人へのイジりは気をつけた方がいいだろう。
4.今日はお休みなので、午前中いっぱいは寝て過すことにしました。
5.上司の不正を見過すことはできないので、しかるべき場所に報告することにしました。

この言葉がよく使われる場面としては、何かをして時間を費やすことを表現したい時などが挙げられます。その他にも、月日を送ること、物事の程度を越すこと、適当な程度を越して事をすること、そのままにしておくことを表現したい時にも使います。

例文1は何かをして時間を費やすこと、例文2は月日を送ること、例文3は物事の程度を越すこと、例文4は適当な程度を越して事をすること、例文5はそのままにしておくことの意味で使っています。

「過ごす」と「過す」は同音同義語ですが意味は異なっています。。どちらの言葉を使うか迷った場合、公用文で使えるのが「過ごす」、公用文で使えないのが「過す」と覚えておきましょう。

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