似た意味を持つ「ただし」と「しかし」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「ただし」と「しかし」という言葉は、どちらも接続詞のことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「ただし」と「しかし」の違い
「ただし」と「しかし」の意味の違い
「ただし」と「しかし」の違いを分かりやすく言うと、「ただし」は補足の接続詞、「しかし」は逆接の接続詞という違いです。
「ただし」と「しかし」の使い方の違い
一つ目の「ただし」を使った分かりやすい例としては、「外出は自由です。ただし22時までに必ず帰宅するようにしてください」「彼は良い男です。ただし酒癖が悪いのが傷です」「私が喜んで引き受けましょう。ただし健康が許せばです」などがあります。
二つ目の「しかし」を使った分かりやすい例としては、「すばらしいバイクを見つけた。しかし高すぎて買うことができませんでした」「彼女はひどい人です。しかし実は私の姉です」「その船が欲しいです。しかし高すぎる」などがあります。
「ただし」と「しかし」の使い分け方
「ただし」と「しかし」はどちらも接続詞のことを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「ただし」は前述の事柄に対してその条件や例外などを示すことを意味しており、「入場は自由、ただし、保護者同伴の必要があります」のように、前の文に補足する補足の接続詞として使います。
一方、「しかし」は今まで述べてきた事柄を受けてそれと相反することを述べることを意味しており、「言ってることは理解したが、しかし納得はできません」のように、逆接の接続詞として使うというのが違いです。
「ただし」と「しかし」の英語表記の違い
「ただし」を英語にすると「but」「provided that」「however」となり、例えば上記の「私が喜んで引き受けましょう。ただし健康が許せばです」を英語にすると「I will be glad to undertake it, provided that I am well enough」となります。
一方、「しかし」を英語にすると「but」「however」「nevertheless」となり、例えば上記の「その船が欲しいです。しかし高すぎる」を英語にすると「I really want that ship, but it is too expensive」となります。
「ただし」の意味
「ただし」とは
「ただし」とは、前述の事柄に対してその条件や例外などを示すことを意味しています。
「ただし」の漢字表記
「ただし」を漢字にすると、「但し」と表記することができます。
「ただし」の使い方
「ただし」を使った分かりやすい例としては、「来週の試合には出場させます。ただし無理は禁物ですよ」「私も投資します。ただしとある条件があります」「子供は一人500円です。ただし、6歳未満は無料となります」「外出は可能です。ただし門限までには必ず戻ってください」などがあります。
「ただし」は前述の事柄に対してその条件や例外などを示すことを意味する「副詞」ただに、副助詞の「し」が付いた接続詞です。接続詞とは前の文と後ろの文を繋ぐ言葉になります。
「ただし」は前に述べた事柄について条件や制限、例外をつけ加える場合に使用するので補足の接続詞です。
「ただし」の特徴
「ただし」は会話などの話し言葉だけではなく、手紙やメールなどの書き言葉としても使うことができます。また、日常生活とビジネスシーン問わず使うことができるので、とても幅広い場面で使用できる言葉と覚えておきましょう。
「ただし」の類語
「ただし」の類語・類義語としては、現にある物事に付け加えるべきものがあることを意味する「なお」、前の事柄を肯定しつつ例外あるいは一部相反する内容を補足することを意味する「もっとも」などがあります。
「しかし」の意味
「しかし」とは
「しかし」とは、今まで述べてきた事柄を受けてそれと相反することを述べることを意味しています。その他にも、今まで述べてきた事柄を受けて話題を転じることや感情を込めて言い始めることの意味も持っています。
「しかし」の漢字表記
「しかし」を漢字にすると、「然し」や「併し」と表記することができますが、あまり一般的ではありません。特別な理由がない限り、平仮名の「しかし」を使うのが無難でしょう。
「しかし」の使い方
「こんなことは言いたくありません。しかし立場上言わなければならない」「この本は面白い。しかし値段が高いので万人受けしません」などの文中で使われている「しかし」は、「今まで述べてきた事柄を受けてそれと相反することを述べること」の意味で使われています。
一方、「よく仕事を辞めたね。しかしこれからの生活はどうするの」「しかしよくこんな立派な銅像を建てたもんだ」などの文中で使われている「しかし」は、「今まで述べてきた事柄を受けて話題を転じることや感情を込めて言い始めること」の意味で使われています。
「しかし」は複数の意味を持っている言葉ですが、基本的には今まで述べてきた事柄を受けてそれと相反することを述べることの逆接の接続詞として使うのが一般的です。
「しかし」の特徴
「しかし」は逆接の接続詞なので、前の文から考えられる結果に反する内容を広く導く場合によく使われています。
「しかし」は会話などの話し言葉だけではなく、手紙やメールなどの書き言葉としても使うことができます。また、日常生活とビジネスシーン問わず使うことができるので、とても幅広い場面で使用できる言葉と覚えておきましょう。
「しかし」の類語
「しかし」の類語・類義語としては、前に述べた事柄と反対の関係の内容を述べることを意味する「だが」、前の事柄から予想されるものと相反する内容を導くことを意味する「ところが」、そうであってものことを意味する「それでも」などがあります。
「ただし」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、前述の事柄に対してその条件や例外などを示すことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「ただし」は様々な場面で使うことができる言葉です。
「しかし」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、今まで述べてきた事柄を受けてそれと相反することを述べることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、今まで述べてきた事柄を受けて話題を転じることや感情を込めて言い始めることの意味も持っています。
例文1と例文2の「しかし」は今まで述べてきた事柄を受けてそれと相反することを述べること、例文3の「しかし」は今まで述べてきた事柄を受けて話題を転じること、例文4と例文5の「しかし」は感情を込めて言い始めることの意味で使っています。
「ただし」と「しかし」はどちらも接続詞のことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、補足の接続詞のことを表現したい時は「ただし」を、逆接の接続詞を表現したい時は「しかし」を使うと覚えておきましょう。