同じ「かてい」という読み方の「過程」と「課程」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「過程」と「課程」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。
過程と課程の違い
過程と課程の違いを分かりやすく言うと、過程とは結果に達するまでのプロセス、課程とは割り当てられた学習の順序や内容という違いです。
一つ目の過程を使った分かりやすい例としては、「生成AI市場は未だ成長過程にあります」「結果よりも過程を大切にすべきです」「人間の進化の過程を分かりやすく解説します」「ビジネスに欠かせない確率過程の入門書です」などがあります。
二つ目の課程を使った分かりやすい例としては、「中学校の教育課程をバランスよく編成する」「博士課程を修了して博士号を取得しました」「修士課程に在籍する大学院生対象の奨学金制度を利用する」などがあります。
過程と課程という言葉は、どちらも「かてい」と読みますが、意味や使い方には大きな違いがあります。
過程とは、物事が変化してゆくプロセス、経過の道筋を意味します。すでに起きた事柄が経過してきた一連の変化の状態を指す言葉であり、「成長過程」とは成熟に至る途中の段階であるさまを表現しています。
課程とは、教育機関において、ある期間に所定の学習や研究を修得するために配分された内容や順序を意味します。「教職課程」とは、大学において教員養成を行うために編成された教育課程です。教育職員免許法に基づき、教員免許状の取得に必要な科目や単位が修得できるように編成されています。
つまり、過程とは結果に達するまでのプロセスを意味し、過程とは割り当てられた学習の内容や順序を表す言葉です。二つの言葉は同じ読み方をしますが、意味が全く違う同音異義語なので互いに置き換えて使うことはできません。
過程も課程も英語にすると「process」となり、例えば上記の「成長過程」を英語にすると「growth process」となります。
過程の意味
過程とは、物事が変化し進行して、ある結果に達するまでの道筋、プロセスを意味しています。
過程を使った分かりやすい例としては、「受精卵がふ化するまでの過程を観察しよう」「一番になれるなら過程や方法などどうでもいい」「製造過程を把握したうえで製造工程をチェックする」などがあります。
その他にも、「英語を身に付ける過程で苦手意識が芽生えました」「経験の積み重ねという過程を経る」「ゴールから逆算して段階的な過程を踏む」「製造過程で金属線が混入してしまいました」などがあります。
過程の読み方は「かてい」です。同じ読み方をする熟語に「課程」や「家庭」などがありますが、意味が異なるので書き間違いに注意しましょう。
過程の「過」は訓読みで「すぎる」と読み、すぎ去ることや時間が経つことを表し、「程」は訓読みで「ほど」「のり」と読み、道のりや通っていく道を表します。過程とは、物事の進行や変化してゆく途中の段階、経過の道筋を意味します。
過程を用いた日本語には「確率過程」があります。確率過程とは、時間の経過とともにランダムに変化する事象を、確率変数を用いて数学的に記述したものです。ブラウン運動を数学的にモデル化したウィーナー過程をはじめ、株価や為替相場、感染症の流行などの現象を表現する数理モデルとなります。
過程の対義語・反対語としては、ある原因や行為から生じた結末や状態を意味する「結果」などがあります。
過程の類語・類義語としては、物事の筋道や顛末を意味する「経緯」、事件の経過を意味する「いきさつ」、事の最初から最後までの事情を意味する「顛末」、成り行きの初めから終わりまでを意味する「一部始終」などがあります。
課程の意味
課程とは、学校などで、一定期間に割り当ててさせる学習・作業の範囲・順序を意味しています。
課程を使った分かりやすい例としては、「教職課程認定申請の手引きを確認してください」「学科制から課程制へ移行する大学が増えています」「課程主義にはメリットだけでなくデメリットもあります」などがあります。
その他にも、「私は課程博士ではなく論文博士を取得しました」「自分の課程区分コードが分かりません」「小学校教育課程においても英語は重視されています」「もうすぐ高校の課程を修了する予定です」などがあります。
課程の「課」は訓読みで「わりあてる」と読み、割り当てられた仕事や勉強を表す漢字です。道のりや道筋を表す「程」と結びつき、課程とは、教育や訓練において、一定期間に割り当てて行わせる学習や作業の範囲、あるいは順序を意味します。
課程を用いた日本語には「課程博士」があります。課程博士とは、大学院の博士課程に入学し、コースワークや論文作成、あるいは試験を経て授与される学位のことです。学院の課程課程に在籍しないで、学位請求論文を提出して合格することで授与される学位の「論文博士」と対になる言葉です。
課程の対義語・反対語としては、自分で学習することを意味する「自習」などがあります。
課程の類語・類義語としては、学習段階に応じて割当てされた学習すべき事柄を意味する「学課」、教授する段階や方法を意味する「教程」、教育内容を学習段階に応じて配列したものを意味する「カリキュラム」、教育や訓練などの課程を意味する「コース」などがあります。
過程の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事の変化や展の進行しつつある様相、また、経過する一連の道筋や現象を表現したい時などが挙げられます。
例文4にある過程と工程の違いは、過程は作業の道筋全体を表すことに対し、工程は作業の各段階を表現する点にあります。
課程の例文
この言葉がよく使われる場面としては、学校などである期間に割り当ててさせる学習の順序や内容、大学などにおける教授や研究のための専門別コースを表現したい時などが挙げられます。
例文3にある教育課程とは、 学校教育の目的を達成するため、児童、生徒の発達段階に応じて順序だてて編成した教育の計画を意味します。「教科課程」「カリキュラム」とも言います。
過程と課程という言葉は、どちらも「かてい」と読む同音異義語です。どちらの言葉を使うか迷った場合、ある結果に達するまでのプロセスを表現したい時は「過程」を、割り当てられた学習の順序や内容を表現したい時は「課程」を使うようにしましょう。