【違法】と【不法】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「違法」(読み方:いほう)と「不法」(読み方:ふほう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「違法」と「不法」という言葉は、どちらも「法律に違反する行為」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




違法と不法の違い

違法と不法の違いを分かりやすく言うと、違法とは法律に違反する行為のみを表し、不法とは法律に違反する行為だけでなく道理に反する行為も表すという違いです。

一つ目の違法を使った分かりやすい例としては、「花街で違法行為が横行しています」「違法薬物に関連する事件が多発している」「違法漫画サイトの危険性について解説する」「違法ダウンロードによる検挙数は減少傾向にあります」などがあります。

二つ目の不法を使った分かりやすい例としては、「不法無線局の取締りを実施しています」「不法行為に基づく損害賠償請求権には時効があります」「不法滞在者と思われる外国人を通報しました」「職場で不法な扱いを受けています」などがあります。

違法と不法という言葉は、どちらも法令に反することを表しますが、意味や使い方には違いがあります。

違法とは、法律に反することを意味し、ある行為が法秩序に違反することと関連して論ぜられることが多い言葉です。損害賠償を負うなど、何らかの法律上の制裁が課せられる行為を「違法行為」と言います。

不法とは、「不法滞在」のような使い方で、法にはずれることを意味し、「違法」と同じような意味で使用されています。また、「不法な扱いを受ける」のような使い方で、道理や倫理に反することの意味も持つ言葉です。

つまり、違法とは法律に違反する行為のみを意味しますが、不法とは法律に違反することだけでなく道理に反することも意味します。二つの言葉を比べると、違法よりも不法の方が、広い意味を持ち汎用性のある言葉だと言えるでしょう。

違法も不法も英語にすると「illegality」「illicitly」「unlawful」となり、例えば上記の「違法行為」を英語にすると「an illegal action」となります。

違法の意味

違法とは、法律や規定などにそむくこと、その行為を意味しています。

違法を使った分かりやすい例としては、「違法サイトの利用は危険です」「違法建築に関する罰則規定を調べています」「行政庁が違法性や不当性の判断を行います」「違法性阻却事由の錯誤が生じることがあります」などがあります。

その他にも、「違法漫画サイトを閲覧だけでも逮捕されますか」「違法ROMを配布するサイトにアクセスする」「実は違法駐車で通報されたことがあります」「違法にアップロードされたコンテンツを視聴する」などがあります。

違法とは、法に違反することであり、「適法」と対になる概念です。刑事責任はもとより、民法上の不法行為責任においても、ある行為が違法であると考えられれば法的責任を問うことができます。日本のように実定法主義をたてまえとする国では、何が違法かはおおむね法規により示されます。

違法を用いた日本語には「違法性阻却」(読み方:いほうせいそきゃく)があります。違法性阻却とは、違法と推定される行為について、特別の事情があるために違法性がないとすることを意味します。正当防衛や手術行為などに適用されるものです。

違法の対義語・反対語としては、ある事柄が法規範に適していることを意味する「適法」などがあります。

違法の類語・類義語としては、成文憲法の規定に違反することを意味する「違憲」、法規や契約などにそむくことを意味する「違反」、法を犯してひそかに輸出入するこを意味する「密輸」、法を犯し商売などを行うことを意味する「もぐり」などがあります。

不法の意味

不法とは、法に違反していること、そのさまを意味しています。

その他にも、「道理や道義に背くこと、無法、理不尽」の意味も持っています。

「家屋ではなく敷地に不法侵入したようだ」「不法投棄を見かけたら通報しましょう」「本件は民事上の不法行為ですが犯罪にはなりません」などの文中で使われている不法は、「法に違反していること」の意味で使われています。

一方、「不法な現実に心が折れそうです」「生きていると不法だと思うことがたくさんあります」などの文中で使われている不法は、「道理や道義に背くこと、理不尽」の意味で使われています。

不法とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。不法の「不」は打ち消しや否定する意を表す接頭語であり、「法」は秩序を維持するために必要とされる規範を表します。

不法を用いた日本語には「不法就労」があります。不法就労とは、不法に入国したり在留期間を超えて不法に残留したりするなど、正規の在留資格を持たない外国人が職業に従事することを意味します。不法就労の稼働実態をみると、男子は建設作業員や工員、女子はホステスが多くなっています。

不法の対義語・反対語としては、ある事柄が法規範に適合していることを意味する「合法」などがあります。

不法の類語・類義語としては、法律に定めていることに違反することを意味する「非合法」、法律に触れないような方法で法律で禁止していることを行うことを意味する「脱法」、正規の手続きによらない取引や思慮分別がつかないことを意味する「闇」などがあります。

違法の例文

1.中古物件を購入する際は、その建物が既存不適格や違法建築ではないか確認しましょう。
2.ビザを持たない外国人を英語教室で働かせることは、れっきとした違法になります。
3.刑法における違法と民法における違法は性質が異なりますが、法律に違反していることに変わりはありません。
4.アニメ漫画の違法サイトは著作権法違反に抵触する犯罪であり、利用者も法律に触れる可能性があります。
5.海外のオンラインカジノ自体が合法か違法かに関わらず、日本からアクセスして賭博を行うことは犯罪になります。

この言葉がよく使われる場面としては、法律や定めにはずれていることを表現したい時などが挙げられます。

例文1にある「違法建築」とは、建築基準法や都市計画法などの法律に適合しない建物をつくることを意味し、「違反建築」とも呼ばれています。

不法の例文

1.産業廃棄物の不法投棄を発見したら、自治体の窓口に連絡してください。
2.法学部の友人に、不法行為とは何かをわかりやすく教えてもらいました。
3.不法行為の成立には4つの要件が必要であり、1つでも当てはまらなければ成り立ちません。
4.このテキストは、民法典のうち不法行為法を中心とした法定債権について扱っています。
5.大切なお客様であっても、不法な要求や振る舞いはカスハラにあたります。

この言葉がよく使われる場面としては、法に違反していること、道理にそむくこと、仏法にそむき道にはずれた行ないをすることを表現したい時などが挙げられます。

例文1にある「不法投棄」とは、法令に違反した処分方法で廃棄物を捨てることを意味します。処理施設以外の山林や空き地、農地などにみだりに捨てたり埋めたりする行為を指します。

違法と不法という言葉は、どちらも「法律に違反する行為」を表します。さらに、不法という言葉には、「道理や倫理に反すること」の意味もあることを覚えておきましょう。

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