似た意味を持つ「噛ませ犬」(読み方:かませいぬ)と「当て馬」(読み方:あてうま)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「噛ませ犬」と「当て馬」という言葉は、どちらも本命や主人公を引き立てるために存在する役割のことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「噛ませ犬」と「当て馬」の違い
「噛ませ犬」と「当て馬」の違いを分かりやすく言うと、「噛ませ犬」は実力差を際立たせるために弱者として使われる、「当て馬」は本命を引き立てるために比較対象や犠牲役として使われるという違いです。
一つ目の「噛ませ犬」を使った分かりやすい例としては、「彼は物語の中で噛ませ犬のような存在だった」「噛ませ犬は屈辱的だが物語には必要な役割だ」「噛ませ犬にされることを彼は望んでいなかった」「彼は噛ませ犬にされてしまった試合だった」などがあります。
二つ目の「当て馬」を使った分かりやすい例としては、「物語を盛り上げるには当て馬が欠かせない」「当て馬役の彼の心情に共感する人も多い」「当て馬は主人公の魅力を際立たせる存在だ」「彼は物語の当て馬として登場した」などがあります。
「噛ませ犬」と「当て馬」はどちらも本命や主人公を引き立てるために存在する役割のことを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「噛ませ犬」は格上の選手を強く見せるためにわざと弱い相手を当てて勝たせるといった場面で使われる言葉です。例えば、「この試合は実力差がありすぎて彼は噛ませ犬にされただけだった」のように、力量差が明らかで相手を引き立てるために利用される存在を指します。
一方、「当て馬」は本命を際立たせるために別の候補や人物をあえて登場させるといった場面で使います。例えば、「彼はヒロインと主人公を結びつけるための当て馬の役割を担っていた」のように、恋愛や人間関係の中で、本命を引き立てるための比較対象や犠牲役を意味します。
つまり、実力差を際立たせるために弱者として利用されるのが「噛ませ犬」、本命を引き立てるために比較対象や犠牲役として使われるのが「当て馬」と覚えておきましょう。
「噛ませ犬」を英語にすると「underdog set up to lose」「sacrificial opponent」となり、例えば上記の「彼は噛ませ犬にされてしまった試合だった」を英語にすると「He was just a sacrificial opponent in that match」となります。
一方、「当て馬」を英語にすると「foil」「decoy」「red herring」となり、例えば上記の「彼は物語の当て馬として登場した」を英語にすると「He appeared as a foil in the story」となります。
「噛ませ犬」の意味
「噛ませ犬」とは、引き立て役として対戦させる弱い相手のことを意味しています。
「噛ませ犬キャラ」「噛ませ犬に抜擢」などが、「噛ませ犬」を使った一般的な言い回しになります。
「噛ませ犬」を使った分かりやすい例としては、「彼はチャンピオンを強く見せるための噛ませ犬にされた」「試合前から彼が噛ませ犬扱いされるのは予想できた」「噛ませ犬の役割を果たすことで主役が輝いた」「実力差がありすぎて完全に噛ませ犬だった」などがあります。
「噛ませ犬」とは、勝負や物語の展開において、あえて負け役や引き立て役を担う存在を表す言葉です。簡単に言うならば、主役や格上の相手をより強く見せるために、わざと敗北する役割を与えられた者を指します。
例えば、格闘技の試合で実力の差が歴然としているのに組まれたカードや、ドラマや漫画で主人公を強く描くために簡単に倒される敵キャラクターなどがあります。
「噛ませ犬」という言葉には、しばしばネガティブな響きも伴います。現実のスポーツや格闘技の場面で「噛ませ犬」と言われると、「実力を軽視された」「最初から負け役にされている」という侮辱的なニュアンスになるのです。
したがって、マイナスのイメージを伴っていると覚えておきましょう。
「噛ませ犬」の由来は犬同士を戦わせる闘犬の世界です。強い犬に弱い犬をわざと噛ませて勢いをつけたり、闘志を刺激したりすることが背景となっています。これが転じて、スポーツやフィクションにおいての引き立て役の意味として使われるようになりました。
「噛ませ犬」の類語・類義語としては、やられ役を指すことを意味する「負け役」などがあります。
「当て馬」の意味
「当て馬」とは、相手の反応やようすを探るために仮の者を表面に出してみることを意味しています。
「当て馬にされる」「当て馬キャラ」などが、「当て馬」を使った一般的な言い回しになります。
「当て馬」を使った分かりやすい例としては、「彼は主人公を引き立てるための当て馬だった」「恋愛小説における当て馬の存在は重要だ」「当て馬は視聴者に切なさを感じさせる役割を持つ」「彼の登場は単なる当て馬に過ぎなかった」などがあります。
「当て馬」とは、本来の目的や相手を引き立たせるために、比較対象や仮の役割として用いられる存在を表す言葉です。簡単に言うならば、最初から選ばれることを期待されていないのに候補にされる人や、誰かの本命を引き立てるために利用される立場を指します。
例えば、恋愛の場面で本命相手の気持ちを確かめるために意図的に別の人と交際するケースや、競馬において本命馬の力を引き出すために走らされる馬の存在などがあります。
「当て馬」は本命を際立たせるため、あるいは本心や状況を確かめるために仮に利用される存在を指すのが一般的です。そのため、マイナスのイメージを伴って使われる言葉と覚えておきましょう。
「当て馬」の語源は競馬や種付けです。例えば繁殖牝馬に本命の種牡馬を近づける前に、別の牡馬を「当て馬」として近づけ、牝馬が受け入れる状態かどうかを確かめる習慣がありました。これが転じて本命ではないが、比較や確認のために使われる存在という意味で使われるようになりました。
「当て馬」の類語・類義語としては、他の人を目立つようにする役のことを意味する「引き立て役」があります。
「噛ませ犬」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、引き立て役として対戦させる弱い相手のことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「噛ませ犬」は実力差を際立たせるために弱者として利用される時に使う言葉です。
「当て馬」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、相手の反応やようすを探るために仮の者を表面に出してみることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「当て馬」は本命を引き立てるために比較対象や犠牲役として使われる言葉です。
「噛ませ犬」と「当て馬」はどちらも本命や主人公を引き立てるために存在する役割のことを表します。
どちらの言葉を使うか迷った場合、実力差を際立たせるために弱者として利用されるのが「噛ませ犬」、本命を引き立てるために比較対象や犠牲役として使われるのが「当て馬」と覚えておきましょう。