似た意味を持つ「願望」(読み方:がんぼう)と「希望」(読み方:きぼう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「願望」と「希望」という言葉は、どちらも「願いや望み」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
願望と希望の違い
願望と希望の意味の違い
願望と希望の違いを分かりやすく言うと、願望とは強い願いを表し、希望とは願いや将来への期待を表すという違いです。
願望と希望の使い方の違い
一つ目の願望を使った分かりやすい例としては、「彼女の言動から結婚への強い願望を感じる」「異常な痩せ願望は健康を損なうリスクがあります」「願望実現には諦めない心が必須です」「若手社員に出世願望はあるのだろうか」などがあります。
二つ目の希望を使った分かりやすい例としては、「どんな時も希望を持ち続けることが大事です」「借金まみれの生活で将来への希望が持てません」「お客様の希望に沿うことが難しい状況です」などがあります。
願望と希望の使い分け方
願望と希望という言葉は、どちらも心の中で願っていることや望むことを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
願望とは、文字通り「願い望むこと」を意味し、ある事柄の実現を強く願うことを表す言葉です。自分の内面にある強い思いであり、個人的な望みに対して使用されることがほとんどです。「結婚願望」とは、結婚をして家庭を築きたいと強く願う気持ちです。
希望とは、「希望に沿う」のような使い方で、あることが実現することを待ち望むことを意味し、この意味では「願望」とほぼ同義の言葉だと言えます。また、「将来への希望」のような使い方で、将来への明るい見通しも意味し、何か良いことを期待する気持ちを表します。
つまり、願望とは個人的な強い願いを意味し、希望とは願いだけでなく将来への期待も表します。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
願望と希望の英語表記の違い
願望を英語にすると「desire」「wish」「will」となり、例えば上記の「強い願望」を英語にすると「intense desire」となります。一方、希望を英語にすると「hope」「wish」「desire」となり、例えば上記の「希望を持ち続ける」を英語にすると「keep hope alive」となります。
願望の意味
願望とは
願望とは、願い望むことを意味しています。
その他にも、「精神分析で、無意識に心の緊張を解消させようとする動機」の意味も持っています。
願望の使い方
「彼女は願望が叶えられないと機嫌が悪くなってしまう」「誕プレは願望成就のパワーストーンをリクエストしました」「願望夢を見ることは悪いことではありません」などの文中で使われている願望は、「願い望むこと」の意味で使われています。
一方、「夢は願望を幻覚的に充足するものです」「願望を充足する特定の対象はありません」などの文中で使われている願望は、「精神分析で、無意識に心の緊張を解消させようとする動機」の意味で使われています。
願望の読み方
願望の読み方は「がんぼう」の他に「がんもう」とも読みますが、一般的には「がんぼう」と読まれています。
願望とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ちますが、一般的には「願い望むこと」の意味で用いられている言葉です。願望の「願」は訓読みで「ねがう」と読み、こうあってほしいと望み願うことを表し、「望」は訓読みで「のぞむ」と読み、そうありたいと願う事柄を表します。
表現方法は「願望夢」
上記例文にある「願望夢」とは、叶えたいと強く願う欲求を示す夢を意味します。たとえば、「結婚したいな」と思っていると、実際に夢の中で、自分の好みの異性と結婚式を挙げていたり、理想のパートナーと生活しているなどです。
願望の対義語
願望の対義語・反対語としては、自分の希望などをきっぱりと諦めることを意味する「断念」などがあります。
願望の類語
願望の類語・類義語としては、常に心にかけて強く望むことを意味する「念願」、心から願うことを意味する「切願」、熱烈に願うことを意味する「熱願」、ある目的が達成されるように神仏に祈り願うことを意味する「祈願」などがあります。
希望の意味
希望の使い方
希望とは、あることの実現を望み願うことを意味しています。
その他にも、「将来に対する期待、また、明るい見通し」の意味も持っています。
「ビジネスに根拠のない希望的観測はご法度です」「英語の特別レッスンを希望します」「自動車の希望ナンバーをネットで申請する」などの文中で使われている希望は、「あることの実現を望み願うこと」の意味で使われています。
一方、「希望に満ちた人生を送って欲しい」「未来に希望を抱くことができる社会にしよう」「白いアネモネの花言葉は希望です」などの文中で使われている希望は、「将来に対する期待、明るい見通し」の意味で使われています。
希望の漢字表記
希望は「冀望」とも書きますが、一般的には「希望」と表記されています。
希望とは、上の例文にあるように複数の意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。希望の「希」と「望」はどちらも「のぞむ」と読み、こうなってほしいと強く望み請い求めることを表す漢字です。
表現方法は「希望的観測」
希望を用いた日本語には「希望的観測」があります。希望的観測とは、事のなりゆきを希望を交えて都合のよいように推し量ることを意味します。現実を客観的に判断せず、好ましい結果を期待する心理現象です。
希望の対義語
希望の対義語・反対語としては、全く期待できなくなることを意味する「絶望」などがあります。
希望の類語
希望の類語・類義語としては、心から強く望むことを意味する「切望」、熱心に望むことを意味する「熱望」、あかるい見通しや希望を意味する「光明」、物事の前途に見えはじめた明るい兆しを意味する「曙光」(読み方:しょこう)、希望や期待を意味する「ホープ」などがあります。
願望の例文
この言葉がよく使われる場面としては、願い望むことやその願い、心理学で意識された欲望、精神分析で目的を意識するしないに関係なく心の中の緊張を解消しようとする傾向を表現したい時などが挙げられます。
例文4にある「変身願望」とは、今の自分と全く異なる外見や内面に変わりたいという欲求を意味する四字熟語です。
希望の例文
この言葉がよく使われる場面としては、願い求めること、将来への明るい見通し、可能性を表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「希望を持つ」とは、将来に良い結果が訪れるという信念を持ち、それに向けて行動する意欲や能力を育むことを意味する慣用句です。
願望と希望という言葉は、どちらも「願いや望み」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、強い願いを表現したい時は「願望」を、願いや将来への期待を表現したい時は「希望」を使うようにしましょう。