【労働】と【仕事】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「労働」(読み方:ろうどう)と「仕事」(読み方:しごと)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「労働」と「仕事」という言葉は、どちらも「生計を立てるための活動」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




労働と仕事の違い

労働と仕事の意味の違い

労働と仕事の違いを分かりやすく言うと、労働とは労苦を伴うニュアンスがある、仕事とは積極的に取り組むニュアンスがあるという違いです。

労働と仕事の使い方の違い

一つ目の労働を使った分かりやすい例としては、「労働条件を書面で提示してもらう」「労働安全衛生法について調べました」「労働条件通知書は労使間のトラブル防止につながります」「労働組合法の三原則を知っていますか」などがあります。

二つ目の仕事を使った分かりやすい例としては、「心配事が多くて仕事が手につかない」「夫は今どき珍しい仕事人間です」「仕事を辞めたいと思う時があります」「仕事中は死ぬほど眠いです」「仕事ができない人と思われたくない」などがあります。

労働と仕事の使い分け方

労働と仕事という言葉は、どちらも生活を維持するための活動を表しますが、意味や使い方には違いがあります。

労働とは、もともと身体を使って働くことを意味し、人間が生きていくための必要から行わねばならない肉体的な活動を指す言葉でした。労働は、古代の「苦役」から近代の「工場労働」を経て、現在のような多様な働き方へと変化しています。

仕事とは、本来は何かを作り出すこと、成し遂げるための行動を意味します。転じて、「体を動かして行う作業」や「生計を立てるための職」などの意味に発展しましたが、積極的に行うニュアンスを伴う言葉です。

つまり、労働とは労苦を伴うニュアンスがありますが、仕事とは積極的に取り組むニュアンスがある言葉です。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。

労働と仕事の英語表記の違い

労働を英語にすると「labor」「work」「toil」となり、例えば上記の「労働条件」を英語にすると「labor conditions」となります。

一方、仕事を英語にすると「business」「work」「job」となり、例えば上記の「仕事が手につかない」を英語にすると「be unable to settle down to work」となります。

労働の意味

労働とは

労働とは、身体を使って働くこと、特に、収入を得る目的で身体や知能を使って働くことを意味しています。

その他にも、「経済学で、生産に向けられる人間の努力ないし活動、生産手段や生活手段をつくりだす人間の活動、労働力の使用や消費」の意味も持っています。

労働の使い方

「缶詰工場での労働は意外と楽です」「労働基準法の概要をわかりやすく紹介します」「賃金未払いについて労働基準監督署に相談する」などの文中で使われている労働は、「収入を得る目的で身体や知能を使って働くこと」の意味で使われています。

一方、「肉体労働の精神労働化が進展している」「労働者は二重の意味で自由だと言われている」「無形労働を通じてお金を稼ぐ」などの文中で使われている労働は、「経済学で、生産に向けられる人間の努力ないし活動」の意味で使われています。

労働とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ちますが、一般的には「収入を得る目的で身体や知能を使って働くこと」の意味で用いられています。労働の「労」は精を尽くして働くこと、「働」は生計を維持するために一定の職に就くことを表す漢字です。

表現方法は「労働安全衛生規則」

労働を用いた日本語には「労働安全衛生規則」があります。労働安全衛生規則とは、厚生労働省が「労働安全衛生法」にもとづいて制定した省令です。労働者の安全と衛生を確保し、快適な作業環境をつくることを目的としています。

労働の対義語

労働の対義語・反対語としては、職務から解放された自由な時間を意味する「休暇」、仕事や勉学の余暇にする遊びや楽しみを意味する「娯楽」などがあります。

労働の類語

労働の類語・類義語としては、賃金をもらって一定の仕事に従事することを意味する「勤労」、骨を折って働くことを意味する「労作」、会社などにつとめて仕事をすることを意味する「勤務」などがあります。

仕事の意味

仕事とは

仕事とは、何かを作り出す、または、成し遂げるための行動を意味しています。

その他にも、「生計を立てる手段として従事する事柄、職業」「したこと、行動の結果、業績」「悪事をしたり、たくらんだりすること、しわざ、所業」「縫い物、裁縫」「力学で、物体が外力の作用で移動したときの、移動方向への力の成分と移動距離との積」の意味も持っています。

仕事の使い方

「やりかけの仕事に取りかかる」の文中で使われている仕事は「何かを作り出す行動」の意味で、「今日は仕事に行きたくない」の文中で使われている仕事は「職業」の意味で、「いい仕事をして認められたい」の文中で使われている仕事は「業績」の意味で使われています。

一方、「犯行グループの仕事が明らかになる」の文中で使われている仕事は「しわざ」の意味で、「針仕事は得意な方です」の文中で使われている仕事は「裁縫」の意味で、「仕事量の向上に取り組む」の文中で使われている仕事は「力学」の意味で使われています。

仕事とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。仕事の「仕」は目上の人のそばにいて奉仕すること、「事」は用件や仕業を表します。

仕事の語源

仕事という言葉の語源は諸説ありますが、一説には「為事」に由来すると言われています。「為事」は本来「すること」の意味しかありませんでしたが、次第に「職業」や「しわざ」なども表すようになりました。現在の表記となっている仕事の「仕」は、「為」の当て字です。

仕事の対義語

仕事の対義語・反対語としては、喜びや楽しみのための自由な自発的行動を意味する「遊び」、仕事ではなく個人が楽しみとしてしている事柄を意味する「趣味」などがあります。

仕事の類語

仕事の類語・類義語としては、生活を営むための仕事を意味する「なりわい」、身体または知能を使ってする仕事を意味する「作業」、利益の追求のみを目的として進める仕事を意味する「ビジネス」などがあります。

労働の例文

1.労働組合がない会社は、労務トラブルが発生する危険性が高いです。
2.弁護士をしている友人に、無料で労働相談ができる窓口を教えてもらいました。
3.上司のパワハラに耐えかねて、労働相談センターに駆け込みました。
4.労働相談をメールやLINEで24時間受け付けている窓口もあります。
5.マルクスは精神労働と肉体労働をどのように規定していたかを詳しく解説いたします。

この言葉がよく使われる場面としては、身体を使って働くこと、器官や機能などを働かせること、経済学で人が生存に必要な物資を得るために働きかけることを表現したい時などが挙げられます。

例文1にある「労働組合」とは、労働者が賃金や労働時間といった労働条件を良くするために結成する組織を意味します。略して「労組」と呼ばれ、企業別・職業別・産業別・一般組合などの形態があります。

仕事の例文

1.大学を卒業したら、自分の英語力を活かせる仕事に就きたいです。
2.生活費を稼ぐために、求人サイトで正社員の仕事を探しています。
3.人手不足とは言われていますが、高齢になってからの仕事探しは難しいかもしれません。
4.マザーズハローワークは、子育て中に仕事探しをする女性にぴったりです。
5.仕事関数の求め方が理解できなくて、物理の先生に教えてもらいました。

この言葉がよく使われる場面としては、することや作業、職業や業務、悪事を働いたりたくらんだりすること、針仕事、力学である物体に力を作用させその位置を移動させることを表現したい時などが挙げられます。

例文5にある「仕事関数」とは、物質表面において、電子を固体内部から放出させるのに必要な最小のエネルギーを意味します。

労働と仕事という言葉は、どちらも「生計を立てるための活動」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、労苦を伴うニュアンスを表現したい時は「労働」を、積極的に取り組むニュアンスを表現したい時は「仕事」を使うようにしましょう。

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