似た意味を持つ「重油」(読み方:じゅうゆ)と「軽油」(読み方:けいゆ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「重油」と「軽油」という言葉は、どちらも「石油製品」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
重油と軽油の違い
重油と軽油の意味の違い
重油と軽油の違いを分かりやすく言うと、重油とは沸点と粘度が高い石油製品、軽油とは沸点と粘度が低い石油製品という違いです。
重油と軽油の使い方の違い
一つ目の重油を使った分かりやすい例としては、「重油組成物の製造方法について学ぶ」「重油の発熱量はどれぐらいですか」「データセンターから重油が流出した」「ビニールハウスに重油タンクを設置する」などがあります。
二つ目の軽油を使った分かりやすい例としては、「この車の走行には軽油を使用します」「軽油価格の推移をグラフにする」「ガソリンと比べて軽油の引火点は高い」「軽油引取税の暫定税率廃止が決まりました」などがあります。
重油と軽油の使い分け方
重油と軽油という言葉は、どちらも原油を蒸留して作られる石油製品を表しますが、意味や使い方には違いがあります。
重油とは、原油を蒸留する際に最後に残る高沸点の石油製品です。黒色で粘度が高く、工業用のボイラー、加熱炉その他の燃料として用いられるものです。品質や用途によって便宜上、A重油・B重油・C重油の3種類に分けられています。
軽油とは、原油の蒸留で、灯油と重油の間に留出する石油製品です。重油に比べて沸点が低いことから「軽油」と呼ばれています。淡黄色または赤褐色の液体で、粘度が低めです。主な用途は自動車など小型高速のディーゼルエンジンの燃料です。
つまり、重油と軽油の大きな違いは、沸点と粘性にあります。重油の沸点と粘性は高く、軽油の沸点と粘性は低いという特徴があります。また、この違いから製造方法や用途も異なる石油製品です。
重油と軽油の英語表記の違い
重油を英語にすると「heavy oil」「fuel oil」となり、例えば上記の「重油組成物」を英語にすると「heavy oil composition」となります。
一方、軽油を英語にすると「light oil」「diesel fuel」「gas oil」となり、例えば上記の「軽油を使用する」を英語にすると「use diesel fuel」となります。
重油の意味
重油とは
重油とは、原油から揮発油・灯油・軽油などを分留したあとの、残りの高沸点の油を意味しています。
その他にも、「コールタールから得られるクレオソート油」の意味も持っています。
重油の使い方
「重油の種類と特徴を調べる」「重油はガソリンよりも比重が重い」「C重油価格は前月から上昇しています」「指定数量を超えて重油を貯蔵するには許可が必要です」などの文中で使われている重油は、「原油から揮発油や軽油などを分留したあとの、残りの高沸点の油」の意味で使われています。
一方、「重油は木材防腐剤として使われています」「タール重油は染料や爆薬の原料になります」「このラーメンスープは重油のようにねっとりしている」などの文中で使われている重油は、「コールタールから得られるクレオソート油」の意味で使われています。
重油とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。重油の「重」は目方がおもいこと、「油」は液状のあぶらを表す漢字です。
重油の分類
重油は、粘度の違いにより「A重油」「B重油」「C重油」の三つに分類されています。A重油は重油の中では最も動粘度が低く、工場の小型ボイラ類やビル暖房に利用されています。C重油は最も粘度が高く、工場の大型ボイラや大型船舶の燃料などに使われています。
重油の対義語
重油の対義語・反対語としては、粘度が低く沸点が比較的低い石油製品を意味する「軽油」などがあります。
重油の類語
重油の類語・類義語としては、種々の炭化水素の混合物を主成分とする液状の物質を意味する「石油」、原油を蒸留したときにセ氏150~250度で留出する油を意味する「灯油」、燃料用や食用あるいは機械用などの油を意味する「オイル」などがあります。
軽油の意味
軽油とは
軽油とは、原油を蒸留したとき、灯油と重油の間、セ氏約250~400度の範囲で留出する油を意味しています。
その他にも、「コールタールの蒸留で、セ氏約80~180度の範囲で留出する油」の意味も持っています。
軽油の使い方
「軽油で走るディーゼル車に載っています」「軽油税の計算方法を教えてください」などの文中で使われている軽油は、「原油を蒸留したときのセ氏約250~400度の範囲で留出する油」の意味で使われています。
一方、「軽油はコールタール成分として発見されました」「ベンゼンは軽油の一種です」「軽油は溶剤としても用いられています」などの文中で使われている軽油は、「コールタールの蒸留で、セ氏約80~180度の範囲で留出する油」の意味で使われています。
軽油とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ちますが、一般的には「原油を蒸留したときのセ氏約250~400度の範囲で留出する油」を指す言葉です。軽油の「軽」は訓読みで「かるい」と読み、目方が少ないことや抵抗が小さいことを表します。
表現方法は「ガス軽油」
軽油を用いた日本語には「ガス軽油」があります。ガス軽油とは、石炭を加熱分解した際に、石炭ガス中に副産物として含まれる揮発性の油のことです。水より軽くさらさらした黄色の油であり、主成分はベンゼン系芳香族炭化水素です。
軽油の対義語
軽油の対義語・反対語としては、粘度が高く沸点がさらに高い石油製品を意味する「重油」などがあります。
軽油の類語
軽油の類語・類義語としては、原油を分別蒸留する際に低沸点で得られる油を意味する「揮発油」、植物から得られる芳香のある揮発性の油を意味する「精油」、鉱油に金属石鹸せっけんまたは黒鉛などを混合したものを意味する「グリース」などがあります。
重油の例文
この言葉がよく使われる場面としては、原油から揮発油・灯油・軽油などを分留したを表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「重油の沸点」とは、重油が気化する温度の目安を意味します。実際には重油に単一の沸点はなく、300℃以上という沸騰範囲を指します。
軽油の例文
この言葉がよく使われる場面としては、原油を蒸留したときを表現したい時などが挙げられます。
例文5にある「軽油引取税」とは、トラックやバスなどディーゼルエンジン車の燃料となる軽油に課せられる地方税です。税収を道路整備に充てる目的税として1956年に創設されました。
重油と軽油という言葉は、どちらも「原油を蒸留して作られる石油製品」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、粘度と沸点が高い石油製品を表現したい時は「重油」を、粘度と沸点が低い石油製品を表現したい時は「軽油」を使うようにしましょう。