似た意味を持つ「絶望」(読み方:ぜつぼう)と「失望」(読み方:しつぼう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「絶望」と「失望」という言葉は、どちらも「希望を失った状態」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
絶望と失望の違い
絶望と失望の違いを分かりやすく言うと、失望よりも絶望の方が、希望を失っている度合いが大きいという違いです。です。
一つ目の絶望を使った分かりやすい例としては、「絶望的な状況だからこそ希望を捨ててはいけない」「絶望的な気持ちになり涙があふれ出た」「絶望の淵に立つ人々を救いたい」「末期がんと診断されて絶望しています」などがあります。
二つ目の失望を使った分かりやすい例としては、「戦時下の人々は大きな失望を抱えていた」「人生に失望しました」「長引く不況は多くの若者に失望感をもたらした」「期待していたのに、あなたには失望しました」などがあります。
絶望と失望という言葉は、どちらも期待や望みがなくなってしまった様子を表しますが、意味や使い方には違いがあります。
絶望とは、望みが絶たれることを意味し、希望や期待がすべて消えてしまった状態を表します。例えば、「人生に絶望する」と言えば、人生の希望をすべて失っていることであり、生きる希望がないという極限的な状態を表現します。
失望とは、望みを失うことを意味し、期待が裏切られた状態を表します。例えば、「人生に失望する」と言えば、人生にがっかりしているさまを表現し、希望を失っているのは一時的であるニュアンスがあります。
つまり、絶望とは希望がすべて消えてしまったさまを表しますが、失望とは希望が一時的にきえてしまったさまを表現します。二つの言葉を比べると、失望よりも絶望の方が、希望を失っている程度が大きいと言えるでしょう。
絶望を英語にすると「hopelessness」「despair」となり、例えば上記の「絶望的な状況」を英語にすると「a hopeless situation」となります。
一方、失望を英語にすると「disappointment」「despair」となり、例えば上記の「大きな失望」を英語にすると「gigantic disappointment」となります。
絶望の意味
絶望とは、希望を失うこと、全く期待できなくなることを意味しています。
絶望を使った分かりやすい例としては、「結婚生活に絶望して離婚を決意する」「英語のテストの手ごたえは絶望的でした」「人生に絶望してる人にしかわからない事があります」「生きていれば絶望を味わうことがあります」などがあります。
その他にも、「クマに遭遇して絶望的な状況になる」「朝起きてすぐに絶望感を覚える」「マリーゴールドの花言葉は絶望です」「余命宣告を受けて絶望の淵に立たされる」「強い精神力で絶望の淵から這い上がる」などがあります。
絶望の「絶」は訓読みで「たえる」と読み、連続しているものや関係が切れることを表します。「望」は訓読みで「のぞむ」と読み、そうありたいと願う事柄や将来よくなりそうな見込みを表す漢字です。絶望とは、望みを絶つこと、希望や期待がなくなることを意味します。
絶望を用いた言い回しには「絶望の淵」(読み方:ぜつぼうのふち)があります。「絶望の淵」とは、とてつもなく酷い状況や希望が全く持てない事態を意味する表現です。悪い出来事が起こったことにより陥る苦境を表します。「淵」は、容易に抜け出られない苦しい境遇を意味します。
絶望の対義語・反対語としては、あることの実現をのぞみ願うことを意味する「希望」などがあります。
絶望の類語・類義語としては、幻想から覚めて現実にかえってがっかりすることを意味する「幻滅」、張り合いがなくなることを意味する「拍子抜け」、当てが外れたりして気力をなくすさまを意味する「がっかり」などがあります。
失望の意味
失望とは、期待が外れてがっかりすること、また、その結果として希望を持てなくなることを意味しています。
失望を使った分かりやすい例としては、「せっかく目をかけてやったのに、お前には失望したぞ」「予選に通過できず失望落胆していました」「生徒を失望させるような英語教師にはなりたくない」などがあります。
その他にも、「そんな意地悪するなんて君には失望したよ」「失望しましたからファンやめます」「改めて自分の英語力の無さに失望する」「猫が失望した様子をイラストにする」「人生に失望した時に読むべき本を紹介します」などがあります。
失望の「失」は訓読みで「うしなう」と読み、今まで持っていたり備わっていたりした大事なものをなくすことを表します。願いや希望を表す「望」と結び付き、失望とは、期待していたことが外れてがっかりすること、その結果、将来に対する望みを失うことを意味します。
失望を用いた四字熟語には「失望落胆」(読み方:しつぼうらくたん)があります。失望落胆とは、夢や希望がなくなって、がっかりして力を失うさまを表します。意味が似ている四字熟語には「意気消沈」「意気阻喪」(読み方:いきそそう)があります。
失望の対義語・反対語としては、将来に望みのあることを意味する「有望」などがあります。
失望の類語・類義語としては、当てが外れたりしてがっかりすることを意味する「失意」、期待や希望どおりにならずがっかりすることを意味する「落胆」、意気込みがすっかり衰えることを意味する「意気消沈」などがあります。
絶望の例文
この言葉がよく使われる場面としては、希望や期待がまったく失われること、望みを捨ててあきらめることを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「絶望的」とは、まったく希望がもてないほど悪くなっているさま、希望や期待がすべて失われそうなさまを意味します。
失望の例文
この言葉がよく使われる場面としては、期待していたことが外れてがっかりすること、特に、ある人の能力が思っていたより低いことがわかってがっかりすることを表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「失望売り」とは、投資家が保有する投資対象について相場が上昇する見込みはないと判断し、投資対象を売却することを意味します。
絶望と失望という言葉は、どちらも「希望がなくなった状態」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、希望がすべて消えてしまった状態を表現したい時は「絶望」を、期待外れでがっかりした状態を表現したい時は「失望」を使うようにしましょう。