似た意味を持つ「法廷」(読み方:ほうてい)と「裁判所」(読み方:さいばんしょ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「法廷」と「裁判所」という言葉は、どちらも「裁判をするところ」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
法廷と裁判所の違い
法廷と裁判所の意味の違い
法廷と裁判所の違いを分かりやすく言うと、法廷とは裁判所の中の審理を行う部屋、裁判所とは裁判を行うための機関という違いです。
法廷と裁判所の使い方の違い
一つ目の法廷を使った分かりやすい例としては、「相続問題について兄と法廷で争う」「被告の母親が法廷で証言する」「大法廷が裁判員制度の合憲性を認める」「特別法廷で死刑判決を受けました」などがあります。
二つ目の裁判所を使った分かりやすい例としては、「損害賠償を裁判所へ訴える」「最高裁判所が上告を棄却しました」「裁判所の管轄区域を確認する」「家庭裁判所に離婚調停を申し立てる」「裁判所事務官の年収について調べる」などがあります。
法廷と裁判所の使い分け方
法廷と裁判所という言葉は、どちらも司法権を行使して裁判をするところを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
法廷とは、訴訟手続の審理および裁判をする場所を意味します。実際に裁判官が事件の審理や判決を行うところであり、裁判所またはその支部で開かれることを原則としています。法廷は原則として公開され、国民は自由に傍聴することができます。
裁判所とは、司法権を有する国家機関を意味し、一人もしくは複数の裁判官により構成される裁判機関の単位を指す言葉です。最高裁判所と下級裁判所があり、下級裁判所として高等裁判所・地方裁判所・家庭裁判所・簡易裁判所が設置されています。
つまり、法廷とは審理を行う裁判所の部屋であり、裁判所とは裁判を行うための機関全体を指す言葉です。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
法廷と裁判所の英語表記の違い
法廷を英語にすると「law‐court」「court of law」「court」となり、例えば上記の「法廷で争う」を英語にすると「take somebody to court」となります。
一方、裁判所を英語にすると「court of justice」「courthouse」となり、例えば上記の「裁判所へ訴える」を英語にすると「sue at a court」となります。
法廷の意味
法廷とは
法廷とは、裁判の行われる場所を意味しています。
法廷の使い方
法廷を使った分かりやすい例としては、「法廷侮辱罪で有罪判決を言い渡した」「テロリストが法廷を占拠した」「法廷を舞台にした映画が公開されました」「法廷における弁護人の立ち位置は決まっていません」などがあります。
その他にも、「将来は法廷画家になりたいです」「法廷をテーマにしたドラマが面白い」「法廷の内部を写真で確認する」「法廷のイラストを無料でダウンロードする」「民事法廷や刑事法廷を傍聴することが趣味です」などがあります。
法廷の読み方
法廷の読み方は「ほうてい」です。同じ読み方をする熟語に「法定」や「奉呈」がありますが、意味が異なるので書き間違いに注意しましょう。
法廷の「法」は秩序を維持するための規範を表し、「廷」は政治や裁判を行う所を表します。法廷とは、裁判所が審理や裁判を行なう場所を意味し、地理的な場所や部屋などを指します。また、審理や裁判を行なう機構が備わっている状態を含めていうこともある言葉です。
表現方法は「法廷侮辱罪」
法廷を用いた日本語には「法廷侮辱罪」(読み方:ほうていぶじょくざい)があります。法廷侮辱罪とは、裁判所の権威を侵害することによって成立する罪です。裁判所の規則や命令に従わなかったり、裁判官の職務の執行を妨害したりする行為で、「法廷等の秩序維持に関する法律」が適用されます。
法廷の類語
法廷の類語・類義語としては、最高裁判所の全員の裁判官の合議体を意味する「大法廷」、最高裁判所の15人の裁判官のうちの5人によって構成される合議体を意味する「小法廷」、国家の統治作用のうち法を適用して争訟を解決する作用を意味する「司法」などがあります。
裁判所の意味
裁判所とは
裁判所とは、司法権を行使する国家機関を意味しています。
裁判所の使い方
裁判所を使った分かりやすい例としては、「裁判所のホームページで判例を検索する」「裁判所共済組合に加入しています」「裁判所からの特別送達に身に覚えがない」「下級裁判所として4種類の裁判所を設けています」などがあります。
その他にも、「裁判所書記官の業務内容を確認する」「裁判を傍聴するために裁判所に行きます」「裁判所の地図記号を描けますか」「裁判所職員の採用試験にチャレンジする」「司法制度改革により裁判所法が改正されました」などがあります。
裁判所とは、裁判を行うために設置された国家機関を意味します。具体的事件について公権的な判断を下す権限を持ち、憲法の設置する最高裁判所と、法律の定めるところにより設置する下級裁判所とから成ります。
表現方法は「家庭裁判所」
裁判所を用いた日本語には「家庭裁判所」があります。家庭裁判所とは、家庭や少年に関する事件を専門に扱う下級裁判所のことです。少年審判所と家事審判所とを統合して設置されたもので、離婚調停・相続放棄・成年後見などを扱います。
裁判所の対義語
裁判所の対義語・反対語としては、日本国憲法に基づく国の立法機関を意味する「国会」、国家の行政権を担当する最高の合議機関を意味する「内閣」などがあります。
裁判所の類語
裁判所の類語・類義語としては、司法権の最高国家機関を意味する「最高裁判所」、最高裁判所以外の裁判所の総称を意味する「下級裁判所」、特別な事件についてだけ裁判権を有する裁判所を意味する「特別裁判所」などがあります。
法廷の例文
この言葉がよく使われる場面としては、裁判所が審理や裁判を行なう場所を表現したい時などが挙げられます。
例文5にある「法廷画」とは、法廷内部を描いた絵のことで、特に、裁判中の被告などの様子を描いたものを指します。日本では法廷内の写真撮影が禁止されているため、便宜的に用いられています。
裁判所の例文
この言葉がよく使われる場面としては、事件に対して公権的に法律的裁判を下す機関を表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「地方裁判所」とは、下級裁判所の一つです。原則として第一審を担当し、判事と判事補とで構成されます。略して「地裁」と呼ばれています。
法廷と裁判所という言葉は、どちらも「裁判をするところ」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、裁判所の中の審理を行う部屋を表現したい時は「法廷」を、裁判を行うための機関を表現したい時は「裁判所」を使うようにしましょう。