似た意味を持つ「秘境」(読み方:ひきょう)と「魔境」(読み方:まきょう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「秘境」と「魔境」という言葉は、どちらも「知られていない場所」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
秘境と魔境の違い
秘境と魔境の意味の違い
秘境と魔境の違いを分かりやすく言うと、秘境とは神秘的な場所、魔境とは恐ろしい場所という違いです。
秘境と魔境の使い方の違い
一つ目の秘境を使った分かりやすい例としては、「一度は訪れて欲しい日本の秘境を紹介します」「人気の秘境ツアーに申し込みました」「とんでもない秘境に住む人々に密着しました」「交通の便が悪い秘境だからこそ自然が残っています」などがあります。
二つ目の魔境を使った分かりやすい例としては、「人々から魔境と呼ばれる山に踏み入れる」「この山間部は未開の魔境として知られています」「瞑想から魔境に落ちる人もいます」「オンラインゲームの世界観が魔境すぎる」などがあります。
秘境と魔境の使い分け方
秘境と魔境という言葉は、どちらも世間に知られていない場所を表しますが、意味や使い方には違いがあります。
秘境とは、人が足を踏み入れたことがほとんどなく、よく知られていない地域を意味します。未開の土地であったり、交通の便が悪く行きづらい場所だったりして、人がほとんど訪れないところを指します。そのため、美しい景色が残っている場合が多く、神秘的なニュアンスのある言葉です。
魔境とは、悪魔や魔物の住む世界を意味し、恐ろしい場所を表します。小説やアニメなどのフィクションの設定だけでなく、密林など危険をはらんだ恐ろしい土地も指す言葉です。また、ネットスラングとしても用いられ、物事が常識を超えているさまも表します。
秘境と魔境の英語表記の違い
秘境を英語にすると「land of mystery」「unexplored region」「place off the beaten track」となり、例えば上記の「日本の秘境」を英語にすると「mysterious lands of Japan」となります。
一方、魔境を英語にすると「Makyō」「place infested with demons」「den of iniquity」となり、例えば上記の「魔境と呼ばれる山」を英語にすると「the mountain called Makyō」となります。
秘境の意味
秘境とは
秘境とは、外部の人が足を踏み入れたことがほとんどなく、まだ一般に知られていない地域を意味しています。
秘境の使い方
秘境を使った分かりやすい例としては、「いつかチベットの秘境に行ってみたいです」「秘境の湯で疲れを癒す」「めったに行けない秘境の温泉宿に泊まりました」「最新の秘境駅ランキングを紹介します」などがあります。
その他にも、「断崖絶壁の秘境にある神社を取材する」「長期休暇に秘境を探検しています」「飯田線秘境駅号のイベントに参加しました」「世界の秘境を巡る旅をしてみませんか」「秘境ハンターとして動画を配信しています」などがあります。
秘境の「秘」は人知では知りがたいほど奥深いこと、はかり知れない奥深いところを表します。「境」は地域と地域との区切り目や、物事や人などの置かれている環境を表す漢字です。秘境とは、人が足を踏み入れたことがほとんどなく、どのようなところか世間に知られていない土地を意味します。
表現方法は「秘境駅」
秘境を用いた日本語には「秘境駅」があります。秘境駅とは、山間部などにあり、乗降客がほとんどいない鉄道駅のことです。開業時にあった近隣集落や炭坑などが廃れ、駅だけが存続している場合が多くあります。
秘境の対義語
秘境の対義語・反対語としては、商店や飲食店が集中していてにぎやかな通りを意味する「繁華街」などがあります。
秘境の類語
秘境の類語・類義語としては、中央から遠く離れた国ざかいや地域を意味する「辺境」、都会から遠く離れた土地を意味する「僻地」、世俗を離れた仙郷や別天地を意味する「桃源郷」、へんぴな地方や都を遠く離れた土地を意味する「片田舎」などがあります。
魔境の意味
魔境とは
魔境とは、悪魔や魔物の住む世界、魔界を意味しています。
その他にも、「どんな危険が潜むかわからない人跡まれな地域」「遊里や賭博場など、人を誘惑して逃れられなくさせる場所」の意味も持っています。
魔境の使い方
「異世界に転生して魔境の住人となった」「薄暗い洞窟の先におぞましい魔境が広がっている」「瞑想で魔境に陥ってしまった」などの文中で使われている魔境は、「悪魔や魔物の住む世界」の意味で使われています。
一方、「この山の奥地に魔境があります」「過酷な魔境生活をレポートします」の文中で使われている魔境は「危険が潜む人跡まれな地域」の意味で、「新宿の魔境に入り込む」「やっとの思いで魔境から抜け出した」の文中で使われている魔境は「人を逃れられなくさせる場所」の意味で使われています。
魔境の読み方
魔境の読み方は「まきょう」です。同じ読み方をする熟語に「魔鏡」がありますが、意味が異なるため書き間違いに注意しましょう。
魔境の特徴
魔境とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。魔境の「魔」は人を惑わし災いをもたらすものや、仏道修行を妨げる悪神を表します。
魔境という言葉は、仏教、特に禅宗において用いられています。禅宗では、修行する者の意識に欲望や死への恐怖などの煩悩が生じる瞑想状態を「魔境」と呼びます。魔鏡に陥ると、禅病などの精神的苦痛につながる可能性があります。
魔境の対義語
魔境の対義語・反対語としては、神や天使などがいる天上の理想世界を意味する「天国」などがあります。
魔境の類語
魔境の類語・類義語としては、悪魔の住んでいる場所や麻薬売買などの行われる場所を意味する「魔窟」、悪党のすみかや悪人の隠れ家を意味する「巣窟」、非合法運動や犯罪者の隠れ家を意味する「アジト」などがあります。
秘境の例文
この言葉がよく使われる場面としては、世間の人々に知られていないところを表現したい時などが挙げられます。
例文3や例文4にある「日本三大秘境」とは、一般に岐阜県の白川郷、徳島県の祖谷、宮崎県の椎葉村の3つを指します。
魔境の例文
この言葉がよく使われる場面としては、悪魔の住む所や恐ろしい世界、人跡まれで生命に危険のある恐ろしい土地、遊里など人が誘惑される所を表現したい時などが挙げられます。
例文5にある「魔鏡」はネットスラングで、一般のプレイヤーがたどり着けない境地を表しています。
秘境と魔境という言葉は、どちらも「人に知られていない場所」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、神秘的な場所を表現したい時は「秘境」を、恐ろしい場所を表現したい時は「魔境」を使うようにしましょう。