似た意味を持つ「悪戦苦闘」(読み方:あくせんくとう)と「四苦八苦」(読み方:しくはっく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「悪戦苦闘」と「四苦八苦」という言葉は、どちらも苦しむことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
悪戦苦闘と四苦八苦の違い
悪戦苦闘と四苦八苦の意味の違い
悪戦苦闘と四苦八苦の違いを分かりやすく言うと、悪戦苦闘とは苦しみながら努力すること、四苦八苦とはただ苦しむことという違いです。
悪戦苦闘と四苦八苦の使い方の違い
一つ目の悪戦苦闘を使った分かりやすい例としては、「子育てに悪戦苦闘しています」「悪戦苦闘の末ようやくコツが分かってきた」「初めての体験に生徒達は悪戦死闘しなが頑張っています」「フランスに引っ越してきたばかりの頃フランス語に悪戦苦闘していた」などがあります。
二つ目の四苦八苦を使った分かりやすい例としては、「借金に追われて四苦八苦している」「会社に資金繰りに四苦八苦している」「落とした鍵が見つからず四苦八苦した」「四苦八苦しながら想いを伝えました」「家賃を払うのに四苦八苦する」などがあります。
悪戦苦闘と四苦八苦の使い分け方
悪戦苦闘と四苦八苦は、どちらも苦しむという似た意味を持つ四字熟語ですが、使い方に少し違いがあります。悪戦苦闘は、困難な状況の中で、苦しみながら努力したり戦ったりすることに対して、四苦八苦はただ苦労したり苦悩しているということです。
違いとしては、苦しみながら戦ったり努力しているかしていないかと覚えておきましょう。また、四苦八苦は仏教用語というのも違いの一つです。
悪戦苦闘と四苦八苦の英語表記の違い
悪戦苦闘を英語にすると「struggle」「fight desperately 」となり、例えば上記の「フランスに引っ越してきたばかりの頃フランス語に悪戦苦闘していた」を英語にすると「When I just moved to France, I struggled very much with French」となります。
一方、四苦八苦を英語にすると「struggle」「flounder」となり、例えば上記の「家賃を払うのに四苦八苦する」を英語にすると「struggle to pay one’s rent」となります。
悪戦苦闘の意味
悪戦苦闘とは
悪戦苦闘とは、強敵に対して非常に苦しい戦いをすることを意味しています。その他にも、苦しみながら努力することの意味も持っています。
悪戦苦闘の使い方
悪戦苦闘を使った分かりやすい例としては、「悪戦苦闘しながら毎日頑張ってます」「仕事と子育てを悪戦苦闘しながら両立している」「悪戦苦闘の末成功を勝ち取った」「強敵を相手に悪戦苦闘している」「ならない役職で悪戦苦闘の毎日だけど充実している」などがあります。
悪戦苦闘の由来
悪戦苦闘は、不利な苦しい戦いのことを意味する悪戦と、苦しみに耐えながら戦うことを意味する苦闘が合わさった四字熟語です。
また、悪戦苦闘は元々、強敵に対して非常に苦しい戦いをするという意味で使われていた言葉でしたが、それが転じて、苦しみながら努力することの意味でも使われるようになりました。
悪戦苦闘は、育児、試験、仕事、恋愛など、苦労しながら努力する様々な場面で使うことができます。
表現方法は「悪戦苦闘しがならも」「悪戦苦闘の末」「悪戦苦闘の毎日」
「悪戦苦闘しがならも」「悪戦苦闘の末」「悪戦苦闘の毎日」「悪戦苦闘する」「悪戦苦闘です」などが、悪戦苦闘を使った一般的な言い回しになります。
悪戦苦闘の類語
悪戦苦闘の類語・類義語としては、相手が強く不利な状況で戦いをすることを意味する「苦戦」、苦労することを意味する「骨折り」、あることを成し遂げようと心をくだくことを意味する「腐心」、苦しんで呻くことを意味する「呻吟」(読み方:しんぎん)などがあります。
四苦八苦の意味
四苦八苦とは
四苦八苦とは、非常に苦労したり苦悩することを意味しています。その他にも、仏教用語で人間のあらゆる苦しみのことの意味も持っています。
四苦八苦の使い方
四苦八苦を使った分かりやすい例としては、「お金稼ぎに四苦八苦する」「人生の四苦八苦を乗り越える」「彼はプライドが高いので体裁を保つために四苦八苦していた」「去年は足を骨折して四苦八苦した」「無理な仕事を頼まれて四苦八苦する」などがあります。
四苦八苦は仏教用語が由来
四苦八苦は元々仏教用語で、人間のありとあらゆる苦しみのことを意味していました。
四苦八苦の四苦とは、生、老、病、死の四つの苦しみのことです。八苦とはこの四苦に、愛別離苦(読み方:あいべつりく)、怨憎会苦(読み方:おんぞうえく)、求不得苦(読み方:ぐふとくく)、五陰盛苦(読み方:ごおんじょうく)を加えたものになります。
愛別離苦(読み方:あいべつりく)とは、愛するものと別れる辛さのこと、怨憎会苦(読み方:おんぞうえく)とは、憎む者にも会わなければならない苦しみのことです。
また、求不得苦(読み方:ぐふとくく)とは、求めることが得られない苦しみのこと、五陰盛苦(読み方:ごおんじょうく)とは、人間の体や心を形成する五つの要素から生じる苦痛のことです。
四苦八苦の似た四字熟語に、七難八苦(読み方:しちなんはっく)があります。七難八苦とは、ありとあらゆる苦しみや災難のことを意味しています。
表現方法は「四苦八苦しながら」「四苦八苦する」「四苦八苦を乗り越える」
「四苦八苦しながら」「四苦八苦する」「四苦八苦を乗り越える」などが、四苦八苦を使った一般的な言い回しになります。
四苦八苦の類語
四苦八苦の類語・類義語としては、心身が疲れ苦しい思いをすることを意味する「労苦」、ひとしきりかなりの苦労をすることを意味する「一苦労」、困難に出会って苦しみ悩むことを意味する「艱難」(読み方:かんなん)などがあります。
四苦八苦の苦の字を使った別の言葉としては、非常に苦労することを意味する「勤苦」(読み方:きんく)、苦労を重ねて学問をすることを意味する「苦学」、苦しい境遇のことを意味する「苦境」、苦しみ悩むことを意味する「苦渋」などがあります。
悪戦苦闘の例文
この言葉がよく使われる場面としては、強敵に対して非常に苦しい戦いをすることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、苦しみながら努力することを表現したい時にも使います。
上記の例文のように、強敵や難敵に立ち向かって苦しみながら努力している場合に使う言葉です。
四苦八苦の例文
この言葉がよく使われる場面としては、非常に苦労したり苦悩することを表現したい時などが挙げられます。その他にも、仏教用語で人間のあらゆる苦しみのことを表現したい時にも使います。
上記の例文のような、「四苦八苦しながらも」という表現はよく使われています。
悪戦苦闘と四苦八苦どちらを使う迷った場合は、苦しみながら戦ったり努力していることを表現したい時は悪戦苦闘を、ただ苦しんでいることを表現したい時は四苦八苦を使うようにしましょう。