似た意味を持つ「あざとい」と「小賢しい」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「あざとい」と「小賢しい」という言葉は、どちらも厚かましく、差し出がましい様子を表すという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「あざとい」と「小賢しい」の違い
「あざとい」と「小賢しい」の意味の違い
あざといと小賢しいの違いを分かりやすく言うと、あざといは物事のやり方が図々しくて考えが浅はかであることで、小賢しいは利口ぶって生意気であったり、悪い方向に要領よく振舞うことであるという違いです。
「あざとい」と「小賢しい」の使い分け方
あざといという言葉は、図々しい、厚かましいなどの意味が含まれる言葉であり、態度が大きく物事を自分の有利になるように押し通す様子などを示す言葉です。また子供のように考えが浅い様子などを指して、あざといと表現したりすることもあります。
近年では、ワザと考えが浅い振りをしたり、子供っぽい仕草をしたりして、相手の庇護欲をくすぐったりすることを「あざとい仕草」などと表現する場合もあります。また、それらの仕草が可愛いと評判である場合は、良い意味で使用される場合もあります。
このような行動や仕草は、ワザと行われているものであり、本当にその人が考えが浅い人であるかは定かではありません。アイドルや漫画のキャラクター、小動物などについて「あざと可愛い」などの表現で使用されることもあります。
対する小賢しいという表現は、良い意味で使用されることはありません。腹黒いやずる賢いなどと同じような意味を持ち、利口ぶって生意気である様子を示します。あざといが「浅はか」であるのに対し、小賢しいは「抜け目ない」という意味です。
小賢しいという表現には「賢い」という漢字が含まれます。これは少し賢いという意味ではなく、小さな範囲で賢い、悪い方向にだけ賢い、卑怯なことにだけ頭が良く回るなどの意味を持つものです。
あざといと違い、小賢しいは、何かにつけて自分だけが得をするように要領よく振舞ったり、利口ぶって抜け目なく立ち振る舞ったりするような人のことを表現しています。悪知恵が働くというような意味だと考えると分かりやすいでしょう。
「あざとい」も「小賢しい」も、両方ともあまり良い印象を与えない言葉であることを覚えておくようにしましょう。また、使用する際には、不用意に他人を傷つけないような配慮が必要です。
「あざとい」の意味
「あざとい」とは
あざといとは、物事のやり方が図々しくて抜け目ない様子や、考えが浅はかであることを意味しています。また、物事のやり方があくどいこと、質が悪いこと、思慮が足りないことなどについても「あざとい」と表現します。
「あざとい」の使い方
例えば、商売などを行う際に利益ばかり追求して相手のことを考えず、図々しいやり方をすることなどを「あざとい商法を使う」などと表現することもあります。抜かりなくズルい様子や、考えが浅はかで呆れるような状態のことを示す言葉です。
また、近年では、この「浅はか」「考えが浅い」などの意味から派生して、子供っぽい振りをすること、浅はかで思慮に欠ける振りをすること、賢くない振りをすることなどについても「あざとい」と表現します。
例えば、本当はとても仕事が出来る頭の良い女性が、好みの異性の前でわざと子供っぽい仕草をしてみたり、仕事ができない振りをしてみたりすることを「あざとい態度」などと呼んだりします。
その他にも、はじめから「このような発言をすると可愛いと思ってもらえる」とわかっている状態で物事を言ったり、本心は異なっているのに、相手に気に入られるために抜け目ない発言をすることも「あざとい」と表現されます。
計算ずくであり、利口に頭を働かせて、ワザと行う物事について「あざとい」と表現するのだと考えると分かりやすいでしょう。
その他にも、あざとい仕草だと分かった上で、それでもその仕草を可愛らしいと思ってしまう現象などについて「あざと可愛い」などと表現されることもあります。これは、主にアイドルや漫画のキャラクターなどに対して使われる表現です。
表現方法は「あざとい女」「あざといやり方」「あざといキャラクター」
上記以外では「あざとい女」「あざといやり方」「あざといキャラクター」などが、あざといを使った一般的な言い回しです。
「あざとい」の類語
あざといの類語・類義語としては、可愛い子ぶることを意味する「ぶりっ子」、ズルく悪賢いことを意味する「狡猾」(読み方:こうかつ)、悪いことに大して頭が回ることを意味する「悪知恵が回る」などがあります。
「小賢しい」の意味
「小賢しい」とは
小賢しいとは、何かにつけて要領よく振舞い、利口ぶっていて差し出がましい様子を意味しています。悪賢くて抜け目がない様子なども含めて「小賢しい」と表現され、これはマイナスの意味で使われる言葉です。
小賢しいという言葉は、賢いに「小」という字が加わって出来上がっています。これは少し賢いという意味ではなく、賢さの範囲が限定的で小さい、悪いことに対してのみ賢さが働くという意味を持っています。
また、本当は利口ではない可能性があるのを自分でも自覚しているのにも関わらず、さも自分は利口であるかのように振舞い、必要以上に他人に関与したり、口出ししたりすることも小賢しいと表現することがあります。
「おせっかい」という言葉とも似ていますが、おせっかいのように、善意からの口出しではなく、周囲をかき乱そうとするような意地の悪い意図を持っている際に「小賢しい」と表現します。
小賢しい人というのは、善人のような振りをして相手を悪い方向へと導こうとしたり、自分が得をするような方向に動かそうとしたりする人のことを指すのだと覚えておくようにしましょう。
表現方法は「小賢しい人」「小賢しい男」「小賢しい女」
「小賢しい人」「小賢しい男」「小賢しい女」などが、小賢しいを使った一般的な言い回しです。
「小賢しい」の使い方
小賢しいを使った分かりやすい例としては、「日本の会社では仕事ができない小賢しい人が出世している」「小賢しい男は当たり前だがモテない」「私の姉は損得勘定だけで動く小賢しい女である」などがあります。
「小賢しい」の類語
小賢しいの類語としては、心に何か悪だくみをもっているという意味の「腹黒い」や、悪知恵が働くという意味の「ずる賢い」、ずるく悪賢いことを意味する「狡猾」(読み方:こうかつ)などがあります。いずれもマイナスの意味を持つ言葉です。
小賢しいの「賢」という字を使った別の単語としては、賢者と愚者を意味する「賢愚」、物事の判断が適切であることを意味する「賢明」、聖人に次いで徳のある人を意味する「賢人」などがあります。
「あざとい」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事のやり方が厚かましかったり、考え方が浅はかである様子を表現したい時などが挙げられます。あざというという言葉は、現在では、本来の意味と少し違った使われ方をしています。
本来の意味としては、上記のように、物事を厚かましく、質が悪いやり方で行うことを「あざとい」と表現していました。しかし、現在では、考えが浅はかであるという意味を拡く解釈し、子供っぽい仕草をすることを「あざとい」とすることもあります。
そこから転じて、可愛い仕草であると分かった上で、あえてそういった行動をすることを「あざとい」と表現したり、それでも可愛いと思えることを「あざと可愛い」と表現したりします。
「小賢しい」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、利口ぶって差し出がましく、生意気で抜け目がない人のことを表現したい時などが挙げられます。小賢しいという言葉はマイナスの意味を持つ言葉であり、決して良い意味ではありません。
小賢しい態度というのは、知恵を使って自分に得があるように要領よく振舞うことを意味しています。その際に、周囲への迷惑などは考えません。自分だけ得が出来ればそれで良いというような考え方のもとで行動するのが小賢しいということです。
また、生意気で必要以上に出過ぎた発言をすることを「小賢しい口をきく」などと表現することもあります。行動だけではなく、言動について表現する際にも使える言葉であると覚えておくようにしましょう。