【遍く】と【普く】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

同じ「あまねく」という読み方、似た意味を持つ「遍く」と「普く」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「遍く」と「普く」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。




「遍く」と「普く」の違い

「遍く」と「普く」の意味の違い

遍くと普くの違いを分かりやすく言うと、遍くはもれなく全てに及んでいるということを表現している言葉で、普くは遍くと全く同じ意味を持ちながら、明治時代以降の文学でよく使用される表現であるという違いです。

「遍く」と「普く」の使い分け方

遍くと普くという言葉は、漢字の表記は異なりますが、意味は全く同じものです。「普遍」(読み方:ふへん)という言葉があるように、「遍」と「普」は、ほとんど同じ意味を持つ漢字であるとされています。

遍くという言葉は、本来は仏教用語としても使用されていたものでした。そのため、仏教用語に関する表現をする場合や、古典文学などでは「遍く」という字で書かれることが多いものであるとされています。

対する普くという漢字表現は、明治時代以降の文学でよく使用されるものです。近代の文学作品などでは「普く」と書かれることが多いものだと覚えておくようにしましょう。しかし、意味はどちらも同じなので、どちらを使っても間違いではありません。

遍くも普くも、どちらも副詞に含まれる言葉です。副詞とは、品詞の一つであり、他の言葉を修飾して説明を加えるという役割を担っています。「あまねく」という言葉は、「もれなく」「全てに及んで」という意味であると覚えておくようにしましょう。

「遍く」の意味

「遍く」とは

遍くとは、もれなく全てに及んでいる様子、一般的な様子を意味しています。「満遍なく」という言葉の「遍」という字だと考えるとその意味が分かりやすくなります。この遍くという言葉は副詞に含まれる言葉です。

副詞とは、品詞の一つで「添え言葉」とも呼ばれるものです。主語にならない言葉で、他の名詞などを修飾し説明をする意味を持つ言葉であると覚えておくようにしましょう。遍くも他の言葉を飾る働きをする言葉であるということです。

「遍く」の語源

遍くは、元々の形は「あまねし」です。「あまねし」を連用形活用させたものが「あまねく」という言葉であると考えます。また、遍くの「遍」は常用漢字に含まれていますが、「遍」と書いて「あまねく」と読む読み方は常用漢字表外の読み方です。

この遍くという漢字表記は、古典文学などで書かれることの多いものです。また、仏教用語として、寺社などに参拝する回数を数える際に「遍」という字を使うことから、宗教的な観点での言葉には「遍く」の字を使用する傾向にあります。

しかし、違いの項目でも述べたように、「あまねく」という言葉は「遍く」と書いても「普く」と書いても間違いではありません。どちらの言葉も同じ意味を持つものですので、個々人の好みによって好きな方の漢字を選択することが出来ます。

どちらの漢字で表記した場合にも、広く一般的な様子や、隅々まで広く行き渡っている様子、残されている場所がない様子などを示す言葉であると覚えておくようにしましょう。

表現方法は「遍く全ての」「天に遍く」「遍く照らす」

「遍く全ての」「天に遍く」「遍く照らす」などが、遍くを使った一般的な言い回しです。

「遍く」の使い方

遍くを使った分かりやすい例としては、「太陽は遍く全ての星々を照らす」「この高校球児は160kmのスピードボールを投げたことでその名が全国に遍く知れ渡ることとなった」などがあります。

「遍く」の類語

遍くの類語・類義語としては、広がっていることを意味する「広く」「手広く」、隅々まで行き届いていることを意味する「くまなく」「万遍なく」などがあります。

遍くという言葉の「遍」という字を使った別の単語としては、広くあちこちにゆきわたって存在することを意味する「偏在」、広くいっぱいに行き渡ることを意味する「遍満」、広く各地を巡り歩くことを意味する「遍歴」などがあります。

「普く」の意味

「普く」とは

普くとは、遍くと同じく、全体に行き渡っている様子や、広く行き渡っている様子などを意味しています。「普及する」という言葉の「普」という字だと考えるとその意味が分かりやすくなります。

この普くという言葉は副詞に含まれる言葉です。副詞とは、前述の通り、主語にならずに他の言葉を修飾して説明する意味を持つ表現です。

「普く」の語源

普くの元々の形も、遍くと同じく「あまねし」という言葉であり、それを連用形活用させたものが「普く」です。

普くの「普」は常用漢字に含まれていますが、「普」と書いて「あまねく」と読む読み方は常用漢字表外の読み方です。普くの「普」という字が「普及」「普通」などの「普」という字であると覚えておくようにしましょう。

「普く」の使い方

この普くという字は、明治時代以降の文学作品で多く使用されている表記です。ごく普通に一般的なものとして行き渡っている物事のことを「普く」と表現するものです。「普く」と「遍く」は表記が違いますが同じ意味を持つ言葉です。

「普く」と書いても「遍く」と書いても間違いではなく、明確な使い分け方についても特に決まりはないので、個々人の好みによって好きな方の漢字を選択することが出来ます。どちらの漢字であっても、意味は同じであることを覚えておきましょう。

「普く」の類語

普くの類語・類義語としては、広がっていることを意味する「広く」「手広く」、隅々まで行き届いていることを意味する「くまなく」「万遍なく」などがあります。

普くという言葉の「普」という字を使った別の単語としては、特に変わっていないことや、ごくありふれたものであることを意味する「普通」、広く行き渡ることや、行き渡らせることを意味する「普及」などがあります。

「遍く」の例文

1.彼はこの業界では遍く知られているプロフェッショナルだ。
2.春になり、桜が遍く空をピンク色に染めている。
3.今や貨幣は遍く国内に知れ渡っているものと言えるだろう。
4.子供達は遍く充実した教育を受けるべきであると考える。
5.この世界に遍く行き渡っている常識なんてあるのだろうか?
6.日光東照宮に家康の墓があることは遍く知られているが、静岡県の久能山東照宮にも墓があり、実は家康公の遺言によりこちらに亡骸が埋葬されているといわれている。
7.あなたの知恵は、光のように世界を遍く照らし、人類の発展に貢献することでしょう。
8.近代化によって高度な教育を遍く教えようとなると、学校での集団教育が必要となります。
9.私が職場に行くと、例の噂はすでに遍く広がっていて、すでに居場所がありませんでした。
10.現状において資本主義は万国に遍く利益と恩恵をもたらすと、最善とは言わないまでも、ベターなシステムだと考える。

この言葉がよく使われる場面としては、もれなく隅々まで行き渡っている様子や、広く一般的であるとされている様子などを表現したい時などが挙げられます。遍くの「遍」という字は常用漢字ですが、この漢字を「あまねく」と読むのは常用外の読み方です。

遍くという言葉は副詞に含まれるもので、他の品詞に添えられて意味を付け加えるような役割をするものです。遍くと書いても普くと書いても同じ意味ですが、遍くと書く場合には、古典文学や仏教用語として使用されることが多い傾向にあります。

「普く」の例文

1.いつかこの世界を普く巡ってみたいものだと夢見ている。
2.彼の知識はあまりにも広く、普く全てのジャンルに精通しているように見える。
3.社会保障というのは、普く国民に行き渡るべきものです。
4.太陽の光が、普く世界を照らし続けている。
5.いつの間にか、この国では遍く携帯電話が広まっている。
6.政府はマイナンバーカードを普く普及させたいと必死のようだが、正直私の周囲で関心を持っている人はほとんどいない。
7.自分が年齢を重ねるに連れて、普く知られているはずだと信じていることが、若い世代にまったく知られていないことに気づく。
8.インターネットによって情報を世界に普く伝えられると思っていたが、情報過多により埋もれてしまうことを知った。
9.普くスマートフォンが広がった現代では、それがなかった時代よりも、情報のスピードに格段の違いがあると思う。
10.世界に食糧が普く行き渡るためには、一体どうしたら良いのか、現状の経済システムの欠点を踏まえて考えてみたい。

この言葉がよく使われる場面としては、全体に行き渡っている様子や、広く一般的に行き渡っている様子を表現したい時などが挙げられます。普くの「普」という字は常用漢字ですが、この漢字を「あまねく」と読むのは常用外の読み方です。

普くという言葉は、遍くと同じく副詞に含まれるもので、他の品詞を修飾する意味を持ちます。普くと書いても遍くと書いても同じ意味ですが、普くと書く場合には、明治時代以降の文学表現であることが多いものです。

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