似た意味を持つ「存外」(読み方:ぞんがい)と「案外」(読み方:あんがい)と「意外」(読み方:いがい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「存外」と「案外」と「意外」という言葉は、予想していたことが実際とは違う様子という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
存外と案外と意外の違い
存外と案外と意外の意味の違い
存外と案外と意外の違いを分かりやすく言うと、存外は予想よりも良い結果である時に使い、案外は予想が外れそうな時に使い、意外は予想と違っていた時に使うという違いです。
存外と案外と意外の使い方の違い
存外という言葉は、「友人は存外フットワークが軽く、どこにでも行ってしまう」「ゲームをやるのではなく見るのも勉強になり存外楽しい」などの使い方で、予想よりも良い結果であることを意味します。
案外という言葉は、「案外疲れが溜まっていたようだ」「大きな建物などでも案外簡単に燃えてしまう」などの使い方で、予想が外れそうな時や、冷静に予想との違いを受け止めることを意味します。
意外という言葉は、「そのドラマは意外な展開を迎えていた」「意外な結末を迎えた事件が気になる」などの使い方で、予想とは違っていたことを意味します。
存外と案外と意外の使い分け方
基本的には、どの言葉も意外という言葉で表現して問題ありませんし、実際にしっかりと区別して使っている方はほとんどいないでしょう。
強いて言うのであれば、存外という言葉は良い結果と共に使うことが多いという点は、案外や意外という言葉にはありません。
また、案外と意外は、前者が予想と違う状態になる可能性を含んでおり、後者は予想と違うことが確定している言葉となります。
他にも、案外という言葉より意外という言葉には感情を表す意味があるため、「意外です」などの感嘆詞の使い方で自身が驚いたことを表します。
これらが、存外、案外、意外の明確な違いです。
存外の意味
存外とは
存外とは、物事の程度などが予想と異なることを意味しています。
存外の読み方
存外は「ぞんがい」という読み方をしますが、「そんがい」や「ぞんと」などの読み方はしません。
存外の使い方
存外を使った表現として、「存外公平」「存外困難」「存外わけがない」などがあります。存外という言葉は、ビジネスシーンなどでは使われることがありますが、日常生活ではあまり使われず、意外という言葉を使って表現することが多いです。
「存外わけがない」の意味
「存外わけがない」のわけがないとは、難しくはないということを意味する言葉です。そのため、存外わけがないという表現は、案外難しくないのかもしれないということを意味する言葉になります。
「存外に扱う」「存外の喜び」は間違い
また、存外を使った誤った言葉として、「存外に扱う」「存外の喜び」があります。
一つ目の「存外に扱う」は、乱暴に扱うという意味で使われていますが、本来の正しい表記は「ぞんざいに扱う」です。人に対してであれば、冷たく接するなどの意味も含む言葉です。
二つ目の「存外の喜び」は、これ以上ないほどの喜びという意味で使われますが、本来は「望外の喜び」と表現されます。存外は良い結果に対して使う言葉ではありますが、マイナスの出来事にも使うことはできます。望外はプラスの出来事にしか使いません。
存外の類語
存外の類語・類義語としては、予想と違った成り行きとなることを意味する「予想外」、様子が普通でないさまを意味する「異様」、思いがけないことを意味する「不意」、だしぬけであることを意味する「唐突」があります。
案外の意味
案外とは
案外とは、思いのほかを意味しています。
案外の使い方
案外を使った表現として、「案外大丈夫かもしれない」「案外できる」「案外と知らない」「案外人は見ていない」「案外売れるもの」などがあります。ビジネス間から日常生活まで、幅広く使うことができる表現です。
ほとんど「意外」という言葉に置き換えて使うことができますが、予想と違う可能性を含んでいるものとして使っている場合は置き換えることはできませんので、文脈から判断する必要があります。
また、意外に置き換えて使う場合は、存外や案外よりも砕けた表現となるため、目上の人に使う場合や、ビジネス間で使う場合は注意する必要があります。
案外の対義語
案外の対義語・反対語としては、予想していた通りに事が運ぶ様子を意味する「案の定」があります。
案外の類語
案外の類語・類義語としては、思いがけないことを意味する「慮外」、まったく考えていなかったことを意味する「意表」があります。
意外の意味
意外とは
意外とは、考えていた状態と非常に違っていることを意味しています。
表現方法は「意外に思う」「意外でした」「意外にも」
「意外に思う」「意外でした」「意外にも」などが、意外を使った一般的な言い回しです。
意外の使い方
意外は「いがい」という読み方をし、「以外」と同音の言葉ですが意味は大きく違います。以外は、ある範囲の外側やそれを除く他の物事を意味する言葉です。そのため置き換えて使うことはできません。
「意外性」の意味
意外を使った言葉として「意外性」があります。これは、思いがけない驚きや予想外の仕掛けなどがあることを意味する言葉です。
仕事中とプライベートでは纏っている雰囲気が違うなど、人の態度や性格の大きなズレのことをギャップと言いますが、人に対して意外性を使う場合はギャップと同じ使い方をすることがあります。
意外の意味を持つことわざ
また、意外の意味を含んだ言葉として「風吹けば桶屋が儲かる」ということわざがあります。ある出来事が影響し、めぐりめぐって意外なことが起こることを意味する言葉で、あてにならないことを期待する様子を意味します。
意外の対義語
意外の対義語・反対語としては、そうなるのが当たり前であることを意味する「当然」、心の中に思っていることを意味する「意中」があります。
意外の類語
意外の類語・類義語としては、予期しないことが急に起こる様子を意味する「突然」、望んでいた以上に良い結果であることを意味する「望外」、思いもよらないことを意味する「心外」があります。
存外の例文
この言葉がよく使われる場面としては、予想していた結果よりも良い結果であることを意味する時などが挙げられます。
どの例文の存外も、「意外に」「意外と」などに置き換えて使うことができます。
案外の例文
この言葉がよく使われる場面としては、思いのほかを意味する時などが挙げられます。
予想が外れそうな場合に多く使われる言葉ですが、過去形で使う場合は予想が外れたことを意味するので、例文1のような文章では、意外という言葉に置き換えて使うことができます。
意外の例文
この言葉がよく使われる場面としては、予想していたものとは違っていることを意味する時などが挙げられます。
意外という言葉は、存外や案外と比べて感情が表される言葉で、感嘆語になることもあります。そのため、例文2のように「驚く」といった言葉と共に使う場合は、意外という言葉を他の言葉に置き換えて使うことはできません。
存外と案外と意外どれを使うか迷った場合は、予想よりも良い結果であった場合は「存外」を、予想が外れそうな場合は「案外」を、予想と違っていた場合は「意外」を使うと覚えておけば間違いありません。