【蔑視】と【軽視】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「蔑視」(読み方:べっし)と「軽視」(読み方:けいし)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「蔑視」と「軽視」という言葉は、どちらも価値の低いものとみなすことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




蔑視と軽視の違い

蔑視と軽視の意味の違い

蔑視と軽視の違いを分かりやすく言うと、蔑視とは見下すことを意味し、軽視とは軽く考えることを意味するという違いです。

蔑視と軽視の使い方の違い

一つ目の蔑視を使った分かりやすい例としては、「女性蔑視も甚だしい発言だ」「出生地で蔑視されるのはおかしい」「潜在的に特定の職業が蔑視されている」「蔑視発言に抗議の声が殺到する」などがあります。

二つ目の軽視を使った分かりやすい例としては、「諸外国もマスクの効用を軽視しなくなった」「友人の忠告を軽視する」「健康診断の軽視は禁物です」「環境問題を軽視する国だ」「女性を軽視して重用しない」などがあります。

「女性蔑視」と「女性軽視」の違い

蔑視と軽視という言葉は、どちらも人の価値を低いものとみなすことを意味するマイナスイメージの言葉です。「女性蔑視」「女性軽視」など似た表現をする言葉ですが、意味は異なるので注意が必要です。

蔑視という言葉は、相手をあなどって見下すことを意味します。上記の例文の「女性蔑視」とは、男性と女性を比較した時に、女性の人格や能力を価値がないものとして馬鹿にしたり、さげすむことを表します。

一方、軽視という言葉は、その価値や影響力を認めないことを意味します。「女性軽視」とは、女性の存在を軽く視て、女性の能力を認めなかったり、重要な存在ではないと考えることを表します。ただし、軽視には蔑視のような馬鹿にする意味合いはありません。

二つの言葉はどちらもネガティブな意味で用いられる言葉ですが、蔑視と軽視を比較すると、人を馬鹿にしたり見下す意味を含む蔑視のほうが、より悪質な言葉と言えるでしょう。

蔑視と軽視の英語表記の違い

蔑視を英語にすると「contempt」「slight」「disdain」となり、例えば上記の「女性蔑視」を英語にすると「female disdain」となります。

一方、軽視を英語にすると「neglect」「belittling」「contempt」となり、例えば上記の「効用を軽視」を英語にすると「contempt for utility」となります。

蔑視の意味

蔑視とは

蔑視とは、相手をあなどって見下すことを意味しています。

表現方法は「蔑視する」「蔑視される」「蔑視発言」

「蔑視する」「蔑視される」「蔑視発言」などが、蔑視を使った一般的な言い回しです。

蔑視の使い方

蔑視を使った分かりやすい例としては、「会長が女性蔑視とも受け取れる発言をした」「外国人蔑視的な行動は許されない」「馬鹿なやつだと蔑視する」「政治家が女性蔑視発言で批判を受けている」などがあります。

その他にも、「蔑視的な表現に批判が殺到した」「欧米はアジアに対して蔑視感情を持っていた」「取引先から女性蔑視されることもある」「黒人を蔑視する内容の記事であった」「職業蔑視などあってはならない」などがあります。

蔑視という言葉の「蔑」とは訓読みで「さげすむ」「ないがしろ」と読み、馬鹿にすることを表します。みなすことを表す「視」と結びついて、蔑視とは、相手をあなどって見下すことを意味する言葉です。対象の価値そのものを判断するだけでなく、なんとなく低く見るような場合にも用いられます。

蔑視の対義語

蔑視の対義語・反対語としては、その人の行為や業績などを優れたものと認めてその人を敬うことを意味する「尊敬」、尊いものとしてあがめることを意味する「尊ぶ」、相手を尊んで礼を尽くすことや尊敬することを意味する「敬う」などがあります。

蔑視の類語

蔑視の類語・類義語としては、卑しいもの劣ったものなどとみなして馬鹿にすることを意味する「軽蔑」、見下しさげすむことを意味する「侮蔑」、軽んじあなどることや人を見下して馬鹿にすることを意味する「軽侮」などがあります。

軽視の意味

軽視とは

軽視とは、軽くみること、軽く考えてその価値や影響力を認めないことを意味しています。

表現方法は「軽視する」「軽視している」「軽視される」

「軽視する」「軽視している」「軽視される」などが、軽視を使った一般的な言い回しです。

軽視の使い方

軽視を使った分かりやすい例としては、「人権を軽視する時代があった」「うがい手洗いを軽視してはいけません」「スタッフを軽視する発言があった」「周囲の人に軽視される存在だ」「生徒間の問題が軽視された」などがあります。

その他にも、「昔から軽視される人だ」「個人情報を軽視する時代だった」「芸人が女性軽視発言を撤回する」「客を軽視するような接客態度だった」「私の仕事を軽視される」「クリエイターを軽視する風潮があった」などがあります。

軽視という言葉は、文字通り「軽く視ること」であり、軽く考えてその価値や影響力を認めないことや、物事を軽く考えることを意味します。

「トレンド軽視型企業」の意味

軽視という言葉を用いたケーティング用語には「トレンド軽視型企業」があります。流行や経済変動の動向に気付かなかったり、動向を一時的流行と軽んじたりして、トレンドに対応しない企業のことです。

軽視の対義語

軽視の対義語・反対語としては、重要なものとして注目することを意味する「重視」、価値のあるものとして重くみる事を意味する「重んずる」、価値あるもの尊いものとして大切に扱うことを意味する「尊重」などがあります。

軽視の類語

軽視の類語・類義語としては、あっても無いもののように軽んじることを意味する「蔑ろ」、いい加減にすませたり軽く扱ったりして真面目に取り組まないさまを意味する「疎か」、いい加減にしておくさまを意味する「等閑」、いい加減に放っておくことを意味する「閑却」などがあります。

蔑視の例文

1.性被害者を蔑視するような発言をした国会議員は、国内外からの批判を受け発言を撤回し謝罪した。
2.女性が蔑視される時代は終わったと思っていたが、いまだに女性蔑視発言をする政治家がいて驚いた。
3.弊社のポリシーにより、不快な言葉遣いや表現を含む蔑視的な広告コンテンツは掲載できません。
4.昔はセクシャルマイノリティを蔑視する風潮があったが、今はその権利や尊厳は守られるべきものとなっている。
5.女性や女らしさに対する嫌悪や蔑視であるミソジニーは、女性が同性に対して持つこともあるのです。
6.女性蔑視の問題は、それが余りにも普遍的に深層心理に染み込んでいて、些細な言葉なり態度なりに蔑視が現れていることに気付けない点にある。
7.社会における女性蔑視が問題になっているが、男性社会に長く浸ってきた世代が時代に流れから取り残されているのがかえって際立つ結果となった。
8.特定の人種や民族を蔑視することはあってはならないとするのは今では世界の常識だが、少し昔に遡ればそういう差別などが横行していたのだった。
9.特定の職業を蔑視するのはよくないとされるが、現実としてそのような風潮はまだまだあるようなので、少しでも偏見が解消されることを望んでいる。
10.蔑視発言というのはいいものではないし、聞いた人間は不快に思うが、言う側は気持ちよくなってしまうので、そこが怖いところだなと思った次第である。
11.わたしは日本人として誇りを持って生きているが、欧米に行った際、アジア人に蔑視感情を持っていることを目の当たりにしショックを受けたこともある。

この言葉がよく使われる場面としては、さげすんで見ること、軽んじあなどること、見下すことを表現したい時などが挙げられます。

例文3にある「蔑視的」とは、軽んじあなどる性質をもつさまを意味します。蔑視的な広告とは、ある人や集団の特性をさげすむような内容の広告のことであり、一般的に人種差別や性差別などの差別を促すような内容を指します。

軽視の例文

1.以前は発音や会話を軽視するような英語教育であったが、今では学校の英語授業もすっかり様変わりしている。
2.女性管理職の少なさからも、女性が軽視される日本企業の実態がうかがい知れる。
3.小テストを軽視していると定期テストで痛い目に合うよ、と塾の先生が言っていた。
4.世界のカルチャーとなっているのに、なぜ日本では漫画やゲームが軽視されるのか。
5.会社の社内でも取引先でも名前を間違えられると、自分は軽視されていると感じてしまう。
6.主婦の家事労働はとかく軽視されがちであるが、それが家庭円満のためにどれどけ重要で且つ重労働なのかは見直されるべきである。
7.子供の頃はハローページに世帯主の名前、住所、電話番号が載っていたことが当たり前だったが、今考えてみると個人情報保護が軽視されていたとも思える。
8.工場内などの現場では指呼点検を徹底して行うなどして、ひとりひとりの意識から安全を軽視する要素を減らしていくことが日々実践されている。
9.これから人口減少するのは確実で、労働人口も減っていくのだから女性を軽視する社会は何のプラスにもならないのだが、頭が固い人が多すぎるのだ。
10.もしこれから日本の人口が減少していくにしたがって経済力が低下していけば、日本を軽視する国が増えて私たちは生き残れないのではと懸念している。
11.ながらく日本ではハードウェアを重視する一方で、ソフトウェアを軽視する風潮があり、昨今の世界のIT競争に大きく遅れを取ってしまっている。

この言葉がよく使われる場面としては、軽んじ見さげること、物事を軽く考えることを表現したい時などが挙げられます。

軽視という言葉は、人に対しても物事に対しても使われる言葉です。例文1から例文4では、物事の価値を軽んじる意味で軽視という言葉が使われています。例文5では、人に対して軽んじ見下げることを軽視という言葉で表現しています。

蔑視と軽視という言葉は、どちらも価値を認めないことを表す言葉です。どちらの言葉を使うか迷った場合、相手をあなどって見下すことを表現したい時は「蔑視」を、人を軽くみることや物事を軽く扱うことを表現したい時は「軽視」を使うようにしましょう。

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