似た意味を持つ「自業自得」(読み方:じごうじとく)と「因果応報」(読み方:いんがおうほう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「自業自得」と「因果応報」という言葉は、どちらも自分の行為の報いを受けることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
自業自得と因果応報の違い
自業自得と因果応報の意味の違い
自業自得と因果応報の違いを分かりやすく言うと、自業自得とは悪いことにしか使えない、因果応報とは良いことにも悪いことにも使えるという違いです。
自業自得と因果応報の使い方の違い
一つ目の自業自得を使った分かりやすい例としては、「浮気がばれて別れることになったなんて彼は自業自得だね」「歩きスマホしていて事故に遭うなんて自業自得です」「熱があるのに遊びに行って悪化させたらしい自業自得だ」などがあります。
二つ目の因果応報を使った分かりやすい例としては、「いつも優しくしていた後輩から結婚を前提にお付き合いを申し込まれたこれが因果応報か」「喫煙を辞めなかったら病気になってしまった因果応報だ」などがあります。
自業自得と因果応報の使い分け方
自業自得と因果応報は、どちらも自分の行為の報いを受けることという似た意味を持つ四字熟語ですが、使い方に少し違いがあります。
自業自得は悪い行為の報いを受ける場合にしか使えないのに対して、因果応報は良い行為と悪い行為のどちらでも使えるというのが一番に違いになります。
その他にも違いがあり、自業自得は現在の自分が行ったことの報いを受けることに対して、因果応報は前世で行ったことの報いを現在の自分が受ける場合にも使えるということです。ただし、後者の違いは仏教からの観点であり、一般的には前者の違いと認識していれば問題ないでしょう。
自業自得と因果応報の英語表記の違い
自業自得を英語にすると「asked for it」「bring it on」となり、例えば上記の「彼は自業自得だよ」を英語にすると「He asked for it」となります。
一方、因果応報を直訳した英語はないのですが近い表現として、「karma」「retribution」「what goes around comes around」などがあります。
自業自得の意味
自業自得とは
自業自得とは、自分の行いの報いが自分に返ってくることを意味しています。
表現方法は「自業自得な人」「自業自得です」「自業自得な事件」
「自業自得な人」「自業自得です」「自業自得な事件」「自業自得なエピソード」などが、「自業自得」を使った一般的な言い回しになります。
自業自得の使い方
自業自得を使った分かりやすい例としては、「準備運動をサボって怪我をするなんて自業自得です」「課題を提出しなかったので単位を落としたが自業自得だ」「パワハラをする上司が部下から信頼を得られないのは自業自得です」などがあります。
自業自得は自分の行いの報いが自分に返ってくることを意味する四字熟語です。
自業自得は仏教の教えが由来の仏教用語になります。仏教では「業」を「ごう」と呼び、行為や行ないのことを意味していました。「自得」とは自ら受けることを意味しており、これらが転じて、良い行いには良い報いを受け、悪い行いには悪い報いを受けるという意味で使われていました。
しかし、時代が経つにつれて良い行為に対してはあまり使われなくなり、現代では悪い行為に対してのみ使う言葉になっています。現代において良い意味で使うと誤解を招くことが多いため使わない方が無難でしょう。
自業自得の類語
自業自得の類語・類義語としては、自分の犯した悪行の結果として自分自身が苦しむことを意味する「身から出た錆」(読み方:みからでたさび)、自分の言葉や行為のために自由な動きがとれず苦しい立場になることを意味する「自縄自縛」(読み方:じじょうじばく)などがあります。
因果応報の意味
因果応報とは
因果応報とは、人は良い行いをすれば良い報いがあり悪い行いをすれば悪い報いがあることを意味しています。
表現方法は「因果応報は必ずある」「因果応報は本当にある」「因果応報はない」
「因果応報は必ずある」「因果応報は本当にある」「因果応報はない」「因果応報なエピソード」などが、因果応報を使った一般的な言い回しになります。
因果応報の使い方
因果応報を使った分かりやすい例としては、「間食を辞めなかったら太ってしまった因果応報です」「彼はみんなに優しいので困ったときは周りが助けてくれるこれが因果応報だろう」「浮気がバレて離婚することになったらしい因果応報だ」などがあります。
因果応報は人は良い行いをすれば良い報いがあり悪い行いをすれば悪い報いがあることを意味する四字熟語です。
因果応報は昔から日本で使われている言葉ですが、由来は仏教の教えになります。仏教用語としても、前世あるいは過去の善悪の行為が因となりその報いとして現在に善悪の結果がもたらされることという現代で使われているのとほぼ同じ意味で使われていました。
因果応報の難しい点は人によってあるかないかの意見が分かれていることです。これは誰も証明することができず、因果応報が本当にあるかないかは人それぞれの受け取りに方によって変わると覚えておきましょう。
因果応報の類語
因果応報の類語・類義語としては、悪い行為は必ず悪い結果や報いをもたらすということ意味する「悪因悪果」(読み方:あくいんあっか)、良い行いをしていればいずれよい結果に報いられるということを意味する「善因善果」(読み方:ぜんいんぜんか)などがあります。
自業自得の例文
この言葉がよく使われる場面としては、自分の行いの報いが自分に返ってくることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように悪い行為についてにしか使わない言葉になります。
因果応報の例文
この言葉がよく使われる場面としては、人は良い行いをすれば良い報いがあり悪い行いをすれば悪い報いがあることを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文3の因果応報はマイナスなイメージで使っており、例文4と例文5の因果応報はプラスのイメージ使っています。
自業自得と因果応報はどちらも自分の行為の報いを受けることを意味しています。どちらの言葉を使うか迷った場合、「自業自得」は悪いことにしか使えないのに対して、「因果応報」は良いことにも悪いことにも使えると覚えておきましょう。