似た意味を持つ「存じ上げません」(読み方:ぞんじあげません)と「わかりかねます」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「存じ上げません」と「わかりかねます」という言葉は、どちらも知らないを丁寧にした表現を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「存じ上げません」と「わかりかねます」の違い
「存じ上げません」と「わかりかねます」の意味の違い
「存じ上げません」と「わかりかねます」の違いを分かりやすく言うと、「存じ上げません」より「わかりかねます」の方が柔らかい言い方です。
「存じ上げません」と「わかりかねます」の使い方の違い
一つ目の「存じ上げません」を使った分かりやすい例としては、「彼のお名前は存じあげません」「最終的な人数は存じ上げません」「こちらの電話番号は存じ上げません」「この国ついて存じ上げません」などがあります。
二つ目の「わかりかねます」を使った分かりやすい例としては、「結果が正確であるかどうかはわかりかねます」「この問いの解答はわかりかねます」「解決方法について私にはわかりかねます」などがあります。
「存じ上げません」と「わかりかねます」の使い分け方
「存じ上げません」と「わかりかねます」はどちらも知らないや分からないを丁寧にした言葉ですが、使い方に少し違いがあります。
どちらの言葉も目上の人に対して使える丁寧な表現なのですが、「存じ上げません」よりも「わかりかねます」の方が柔らかい表現というのが大きな違いです。
「存じ上げません」も「わかりかねます」どちらを使っても失礼になることは少ないのですが、「存じ上げません」は否定の表現なため、使う場面によっては適していないことがあるので、上手に使い分けるようにしましょう。
「存じ上げません」と「わかりかねます」の英語表記の違い
「存じ上げません」も「わかりかねます」も英語にすると「I don’t know」「I have no idea」「I can not answer」となり、例えば上記の「この国ついて存じ上げません」を英語にすると「I don’t know about this country」となります。
「存じ上げません」の意味
「存じ上げません」とは
「存じ上げません」とは、知らないの謙譲語を意味しています。
「存じ上げません」の使い方
「存じ上げません」を使った分かりやすい例としては、「彼女の名前は存じ上げません」「彼の連絡先は存じ上げませんので直接ご確認ください」「私は彼女が誰か存じ上げません」などがあります。
「存じ上げません」は知らないや分からないの謙譲語です。また、知らないや分からない丁寧語にすると「知りません」「分かりません」となり、尊敬語にすると「ご存じですか」「ご存じでいらっしゃいますか」となります。
謙譲語とは、自分の行動を相手よりも下の立場として表現することにより相手への敬意を示すこと、丁寧語とは丁寧な言い方をすることによって相手への敬意を示すこと、尊敬語とは、話し手が聞き手や話題の主のその動作や状態などを高めて待遇することです。
「存じ上げません」は目上の上司に使える敬語
「存じ上げません」は敬語なので、ビジネスシーンにおいて上司や取引先などの目上の人に対しても使うことができます。
「存じ上げません」の対義語
「存じ上げません」の対義語・反対語としては、知るの謙譲語を意味する「存じ上げる」があります。
「存じ上げません」の類語
「存じ上げません」の類語・類義語としては、 物事の存在や発生などを確かにそうだと認識できていないことを意味する「知りません」、知ることができないことを意味する「存じかねます」などがあります。
「わかりかねます」の意味
「わかりかねます」とは
「わかりかねます」とは、分からないや知らないを丁寧にした言葉を意味しています。
「わかりかねます」の使い方
「わかりかねます」を使った分かりやすい例としては、「社長は現在外出しており帰宅時間はわかりかねます」「貴族でない私には王様の考えはわかりかねます」「あなたの意図がわかりかねます」などがあります。
「わかりかねます」は意味や区別などを理解することを意味する「分かる」に、することが難しいことを意味する「かねる」が合わさり、理解することが難しいという意味で使われる言葉です。
相手に対して、「分かりません」「知りません」と否定的な表現を使うとやや強めな言い方になってしまうので、「わかりかねます」を使うと柔らかい印象を与えることが可能です。
「わかりかねます」は目上の上司に使える敬語
「わかりかねます」は敬語なので、ビジネスシーンにおいて上司や取引先などの目上の人に対しても使うことができます。ただし、使う場面によって相手を不愉快にさせたり、ムカつく感情を抱かせたりするので適切な場面で使うことが重要です。
「わかりかねます」の漢字表記
「わかりかねます」を漢字にすると、「分かりかねます」「解りかねます」「判りかねます」と表現することができますが、一番多く使われているのは「分かりかねます」になります。
表現方法は「おっしゃる意味がわかりかねます」「今はわかりかねます」
「おっしゃる意味がわかりかねます」「今はわかりかねます」などが、「わかりかねます」を使った一般的な言い回しになります。
「わかりかねません」は誤用
知らないことを伝えるために「わかりかねません」を使う人がいますが、これは誤用になります。なぜ誤用かというと、「かねる」を否定形の「かねない」にすると「〇〇になるかもしれない」という推量の意味になってしまうからです。
「わかりかねます」の対義語
「わかりかねます」の対義語・反対語としては、意味や区別などを理解することを意味する「分かる」があります。
「わかりかねます」の類語
「わかりかねます」の類語・類義語としては、意味や区別などを理解していないことを意味する「わかりません」があります。
「存じ上げません」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、知らないの謙譲語を表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のようにビジネスシーンにおいても使うことが可能です。
「わかりかねます」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、分からないや知らないを丁寧にした言葉を表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のようにビジネスシーンにおいても使うことが可能です。
「存じ上げません」と「わかりかねます」という言葉は、どちらも知らないを丁寧にした表現です。どちらの言葉を使うか迷った場合、「存じ上げません」をより柔らかく表現したい場合に「わかりかねます」を使うようにしましょう。