【黙礼】と【目礼】と【会釈】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「黙礼」(読み方:もくれい)と「目礼」(読み方:もくれい)と「会釈」(読み方:えしゃく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「黙礼」と「目礼」と「会釈」という言葉は、敬意を表すために相手に向かって頭を下げることという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




黙礼と目礼と会釈の違い

黙礼と目礼と会釈の意味の違い

黙礼と目礼と会釈の違いを分かりやすく言うと、黙礼は挨拶をしない時に使い、目礼は頭をあまり下げない時に使い、会釈は挨拶をし頭も下げる時に使うという違いです。

黙礼と目礼と会釈の使い方の違い

黙礼という言葉は、「黙礼を済ました彼は顔を上げた時泣きそうな顔をしていた」「わざわざ遠方から黙礼を捧げに来てくれた」などの使い方で、黙って頭を下げるような礼をすることを意味します。

目礼という言葉は、「彼はいつも笑顔で目礼をしてくれる」「取り込み中であったため目礼をして外へ出た」などの使い方で、目を合わせて礼をすることを意味します。

会釈という言葉は、「同じコンビニに通いすぎて店員に会釈をされるようになった」「電車を降りる時部活の先輩に会釈をしてから降りた」などの使い方で、軽く挨拶や礼を交わすことを意味します。

黙礼と目礼と会釈の使い分け方

目礼は相手と見つめ合いながら軽く頭を前方に傾ける程度ですが、会釈は15度程度頭を傾ける姿勢となり、視線はその際に反らされることとなります。前者は、場合と相手によってはお辞儀をされたという認識がなされないこともあります。

一方、黙礼はお辞儀の深さに関する定義がなされていません。そのため、お辞儀の深さの順に並べると、黙礼≧会釈>目礼となります。

また、目礼や会釈と異なり、黙礼は挨拶を伴いません。これらが、黙礼、目礼、会釈の明確な違いです。

黙礼の意味

黙礼とは

黙礼とは、黙って礼をすることを意味しています。

黙礼は挨拶などの声は出さずに敬意を払う礼をする動作なので、葬式や通夜、被災地などの厳かな場面で行われます。

黙礼と黙祷の違い

黙礼に似た動作に「黙祷」(読み方:もくとう)があります。これは声を立てず、目を瞑る、合掌をする、軽く頭を下げるなどの動作は「黙礼」と同じものの、その最中心の中で対象に語り掛けたり、祈る行為を言います。

黙礼はお辞儀をし、相手に対して敬意を表すだけであるため、その最中心の中で何を考えていても、何も考えていなくとも、黙礼という形が取られている状態になります。

黙礼の類語

黙礼の類語・類義語としては、一度礼をすることを意味する「一礼」、頭を下げて挨拶をすることを意味する「辞儀」、頭を地に付けてお辞儀をすることを意味する「叩頭」(読み方:こうとう)があります。

目礼の意味

目礼とは

目礼とは、目を交わして礼をすることを意味しています。

相手の目を見ながら頭を軽く前方に傾ける程度の姿勢しか取らないため、アイコンタクトに近いものがあり、表情によって相手に与えるイメージが変わります。

また、目上の人にきちんと礼をする方法としては適していないため、30度程度身体を前方に傾ける「敬礼」をする方が好ましいとされています。

そもそも目礼は、身分の高い人々が礼を受けて礼を返す際に使っていた方法で、一般の人々は使うことはほとんどありません。

目礼の対義語

目礼の対義語・反対語としては、手の先を膝まで下げて身体を深く前方に曲げるような敬礼を意味する「最敬礼」があります。

目礼の類語

目礼の類語・類義語としては、敬意を表して礼や挙手などをすることを意味する「敬礼」、人に会った時や別れる時などに取り交わす礼にかなった動作や言葉を意味する「挨拶」、相手の礼に答えて礼をすることを意味する「答礼」などがあります。

会釈の意味

会釈とは

会釈とは、軽く挨拶や礼を交わすことを意味しています。また、その挨拶や礼を行う時の所作も意味します。

その他にも、相手に心配りをすることや、事情を納得して理解すること、さらに事情を説明することといった意味も持ちます。

表現方法は「会釈を交わす」「軽く会釈する」「会釈を返す」

「会釈を交わす」「軽く会釈する」「会釈を返す」などが、会釈を使った一般的な言い回しです。

会釈は和会通釈の省略語

元は仏教用語の「和会通釈」(読み方:わえつうしゃく)の略で、一見矛盾するような教義を照らし合わせて、根本にある共通の意味を明らかにすることであることが由来となって、江戸時代に現在のお辞儀を含む意味を持つようになりました。

会釈の読み方

会釈は「えしゃく」という読み方をしますが、「あしらい」と読むこともあります。この場合は芸能の型や手法を意味する言葉となるため、上記の意味とは変わってきます。

「遠慮会釈もない」の意味

会釈を使った言葉として、「遠慮会釈もない」があります。これは、相手の意向を考えないで強引に事を進める様子を意味する慣用句です。

会釈の類語

会釈の類語・類義語としては、礼をすることを意味する「式礼」、頭を低く下げて礼をすることを意味する「低頭」、物事の道理や筋道が正しくわかることを意味する「理解」などがあります。

黙礼の例文

1.合掌と黙礼をして車両を見送り、その日の厳かな式が終わりを迎えた。
2.今回の自然災害で大きな被害を受けた地域に足を運んでくださった両陛下はゆっくりと黙礼なされた。
3.学生に感謝の気持ちを込めて一度立ち止まって黙礼をするように伝える。
4.バレンタインデーの日に告白をする決めていた娘が家に帰ってきた時、悲しげな目で黙礼してそのまま部屋にこもりっきりになったのでダメだったと悟ったというわけだ。
5.警察署の入り口では新人の警察官が見張り番をしていて、県警の幹部連中がぞろぞろ入ってくるとすぐさま直立の姿勢で黙礼して敬意を表していた。
6.わたしは友人の父親の葬儀に参列したが、友人に何と言っていいのかわからず、とにかく黙礼をして暗にお悔やみの気持ちを伝えようと試みた。

この言葉がよく使われる場面としては、黙ったまま礼をすることを意味する時などが挙げられます。

例文1や例文2の黙礼は、黙祷に置き換えて使うことができます。

黙礼はお辞儀をして敬意を表す動作ですが、黙祷はそのまま心の中で祈る動作を指す言葉です。

目礼の例文

1.取引相手と話している時だったため、上司と目があっても目礼か会釈くらいしかすることができなかった。
2.目礼を交わしてそのまま歩いて行こうとしたら引き留められて食事に誘われた。
3.彼女の表情は柔らかいため目礼でも敬意を感じられると思う。
4.山を登ること自体も楽しいが、登山が趣味な人々はみな自然と身内意識が芽生えて、すれ違いざまに目礼をするのがなんとも気持ちのいい瞬間であるのだ。
5.彼らは高校の同級生たちなので気の知れた仲だが、ビジネスの場では目礼をするにとどめて、公私混同をしないように心がけていたようだ。
6.党の会合で集まった有力政治家たちがお互い目礼して議論はなごやかに行われていたが、腹の中で何を考えているのかはわからないのが政治の世界でもある。

この言葉がよく使われる場面としては、目を交わして礼をすることを意味する時などが挙げられます。

例文2の目礼は会釈に置き換えて使うことができますが、例文3は表情や眼差しに関して言及されているため会釈という言葉より目礼の方が適しています。

会釈の例文

1.社内で他部署の先輩とすれ違った時に会釈をしたら手を振ってくれた。
2.彼の言動は遠慮会釈もないように感じられて、チームメンバーの反感を買っている。
3.エレベーターホールで隣に住んでいる人とたまたますれ違って会釈を交わした。
4.中学校に入ってまず痛感させられるのが、先輩・後輩の序列であり、先輩とすれ違う時はかならず会釈をしなければならないという暗黙の了解があった。
5.毎回おんなじコンビニにご飯を買いに行くのが習慣になっていたので、店長さんやバイトの人からも会釈されるようになったので、すこし恥ずかしい気持ちになる。
6.大学卒業後に友達と久々に会ったのだが、彼女の子供がわたしに会釈してくれるものだから、まぁお行儀がいいわねとかなんとかいって話に花を咲かせた。

この言葉がよく使われる場面としては、軽く挨拶や礼を交わすことを意味する時などが挙げられます。

例文2の「遠慮会釈もない」とは、相手の以降を考えずに強引に事を進める様子を意味する慣用表現です。

黙礼と目礼と会釈どれを使うか迷った場合は、挨拶をしない礼を表す場合は「黙礼」を、頭をあまり下げない礼を表す場合は「目礼」を、挨拶をし頭も軽く下げる礼を表す場合は「会釈」を使うと覚えておけば間違いありません。

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