【養成】と【育成】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「養成」(読み方:ようせい)と「育成」(読み方:いくせい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「養成」と「育成」という言葉は、どちらも人を育てることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




養成と育成の違い

養成と育成の意味の違い

養成と育成の違いを分かりやすく言うと、養成とは明確な目標に向かって人を育てること、育成とは漠然と立派な人に育てることという違いです。

養成と育成の使い方の違い

一つ目の養成を使った分かりやすい例としては、「声優になるための養成所を探しています」「ビジネスリーダーを養成する」「教員養成の在り方を議論する」「作業療法士の養成学校に通う」「発想力を養成する」などがあります。

二つ目の育成を使った分かりやすい例としては、「企業の成長には人材育成が肝要です」「青少年の健全育成を目指す」「育成ゲームアプリが流行っている」「初めて育成医療を申請します」「次世代リーダーを育成する」などがあります。

養成と育成の使い分け方

養成と育成という言葉は、どちらも人を育て上げることを表し、教育に関する事柄に使われています。二つの言葉は似たような表現をしますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。

養成とは、教え導いて一定の技能を身につけさせることを意味します。「声優養成所」「教員養成」のように、明確な目標や、具体的な職業に対して使われます。一方、育成とは育て上げることを意味します。目標は具体的な職業などではなく、漠然と立派に人を育てることに対して使われます。

つまり、養成とは明確な目標に向かって人を育てるニュアンスがあり、育成とは漠然と立派な人に育てるニュアンスがある言葉なのです。

養成と育成の英語表記の違い

養成を英語にすると「training」「education」となり、例えば上記の「養成所」を英語にすると「a training school」となります。

一方、育成を英語にすると「raising」「rearing」「nurturing」となり、例えば上記の「人材育成」を英語にすると「nurturing of human resources」となります。

養成の意味

養成とは

養成とは、養い育てること、教え導いて一定の技能を身につけさせることを意味しています。

表現方法は「養成する」「養成講座」「養成所」

「養成する」「養成講座」「養成所」などが、養成を使った一般的な言い回しです。

養成の使い方

養成を使った分かりやすい例としては、「ドッグトレーナーを養成する」「ライター養成講座を受講する」「お笑い芸人になるための養成所を探す」「児童福祉司を養成する施設です」「大リーグボール養成ギブスが欲しい」などがあります。

その他にも、「俳優養成所でレッスンを受ける」「有名なアナウンサー養成学校に入りたい」「養成学校と専門学校の違いは何ですか」「インストラクターを養成講習を受講する」「YouTuber養成学校があるらしいよ」などがあります。

養成という言葉の「養」は精神的な糧を与えてりっぱに育てること、「成」は一人前に育て上げることを表します。養成とは、養い育てることや、技術や知識を与えたり、訓練するなどにより一定の水準以上にすることを意味します。

「教員養成」の意味

養成という言葉を用いた日本語には「教員養成」があります。教員としての必要な知識や技能について教育を施し、教員の資格者に養成することです。教育職員免許法に基づき、原則として大学における教職課程で行ないます。

「養成テープ」は誤り

養成という言葉を使った誤った言い回しには「養成テープ」があります。正しくは「養生テープ」であり、家具の運搬する際など、運搬物や周囲の汚損を防ぐ布や板などを貼るために使うテープです。

養成の類語

養成の類語・類義語としては、一人前になるまで育てることを意味する「育て上げる」、徳の力で人を感化し教育することを意味する「薫陶」、特別な知識や技術などを教えて習得させることを意味する「教習」などがあります。

育成の意味

育成とは

育成とは、育て上げること、育てて立派にすることを意味しています。

表現方法は「育成する」「育成を図る」「育成を行う」

「育成する」「育成を図る」「育成を行う」などが、育成を使った一般的な言い回しです。

育成の使い方

育成を使った分かりやすい例としては、「人材育成で社員の可能性を広げる」「青少年育成施策に力を入れています」「育成ゲームアプリでキモかわキャラを育てる」「プロ野球の育成ドラフトに異議を唱える」などがあります。

その他にも、「おすすめの育成ゲームを教えて下さい」「校長先生には独自の青少年育成論がある」「児童育成協会のポータルサイトにログインする」「育成医療の手続き方法を調べる」などがあります。

育成という言葉の「育」とは、手を掛けてやったり、教え鍛えたりして、一人前として通用するまでにすることを表します。育成とは、育てて大きくすることを意味する言葉であり、育てた結果を重視する表現です。

「青少年保護育成条例」の意味

育成という言葉を用いた日本語には「青少年保護育成条例」があります。青少年の保護育成、そのための環境の整備などを目的として地方公共団体が制定する条例のことです。有害な興行・映画・出版物・玩具等に規制を加え、また罰則を設けている場合もあります。

育成の類語

育成の類語・類義語としては、無理をしないでゆっくりと養い育てることを意味する「涵養」、人を教え導き望ましい方向に進ませることを意味する「教化」、養い育てることを意味する「養育」、教え育てることを意味する「訓育」などがあります。

養成の例文

1.得意とする英語を活かして通訳者になろうと、養成講座に通うことにしました。
2.日本語教師養成講座とは、外国人に対して日本語を教える人材を養成するためのコースです。
3.プログラミング教育必修化に向け、プログラミング講師を養成する講座を開講します。
4.声優の養成所とは専門学校とは違って、毎日レッスンがあるわけではありません。
5.養成所のレッスンは振り替えできないので、親友の結婚式のために休むしかないだろう。
6.アニメ声優に興味があったので、声優養成学校に体験入学してみたが、たくさんの生徒で賑わっており、この中から売れっ子になるのは至難の業だと悟った。
7.なにか手に職をつけて副業をしたいと思っていたので、思い切ってライター養成講座に申し込んでみたが、はたして自分にできるかどうか不安だ。
8.よく野球スポコンアニメで養成ギブスなるものがあってそれで厳しい練習していたが、あんなものが現実に存在するとは思ってもみなかった。
9.今時はYouTuberの養成学校なんてものまであるが、個人的には学費を払うだけ無駄な気もするし、学校側が儲かるだけではないかと思っている。
10.女友達はアナウンサー志望だったので、大学の授業の合間にアナウンサーの養成学校に通ったりしていてとても忙しそうだったよ。

この言葉がよく使われる場面としては、養い育てること、教え導いて成長させることを表現したい時などが挙げられます。

例文4にある「声優養成所」とは、声優を目指している者が、声優になるための知識や演技力などを学ぶ機関のことです。一般に、養成所と専門学校の違いとして、養成所は少ないレッスンで実践的な練習を行い、専門学校は授業が多く基本的なことから学べると言われています。

育成の例文

1.健全な青少年を育成するためには、学校、家庭、地域が一体となって取り組む必要がある。
2.会社にとって社員育成は、安定した事業を営むために極めて重要なものです。
3.人材育成として部下が育つ環境を調えることも、マネジメントとして必要なことです。
4.最近のプロ野球では、育成選手として指名を受けた選手でも活躍する場面が増えている。
5.スマホの育成ゲームアプリにハマってしまい、仕事中も気になって集中できない。
6.わが社では社員の人材育成に力を入れており、資格取得者への補助金支給や外部から講師を呼んでの勉強会など手厚いサポートを行っております。
7.高校時代に通っていた塾の先生は、ただ試験の勉強を教えてくれたのではなく、わたしたち生徒の心と人格を育成してくれた。
8.今までサッカーをやるとしたら部活動による育成が主流であったが、現在ではプロのクラブチームのサッカークラブなどでも学ぶこともできる。
9.スマホの育成ゲームのようなじっくりやるゲームはいずれ課金アイテムがないとうまく遊べなくなるのだから、ほどほどに遊ぶのがいいと思う。
10.求人情報で幹部育成として中途社員を募集していたので、ひとつの会社で長く働けることを望んでいたわたしはさっそく応募してみることにした。

この言葉がよく使われる場面としては、育てて大きくすること、育て上げることを表現したい時などが挙げられます。

例文4にある「育成選手」とは、日本のプロ野球において育成を目的として登録された選手のことです。支配下登録選手に含まれず、一軍の公式戦には出場できないことになっています。

例文5にある「育成ゲーム」とは、ゲームのジャンルの一つで、動物などのキャラクターに働きかけて成長させていくことを楽しむものです。「育ゲー」とも言います。

養成と育成という言葉は、どちらも人を育てることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、教え導いて一定の技能を身につけさせることを表現したい時は「養成」を、育て上げることを表現したい時は「育成」を使うようにしましょう。

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