似た意味を持つ「人災」(読み方:じんさい)と「天災」(読み方:てんさい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「人災」と「天災」という言葉は、どちらも災害を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
人災と天災の違い
人災と天災の意味の違い
人災と天災の違いを分かりやすく言うと、人災とは人為的災害、天災とは自然災害という違いです。
人災と天災の使い方の違い
一つ目の人災を使った分かりやすい例としては、「大惨事となった人災でした」「人災の事例に対する策を考える」「世界最悪の事態を招いた人災だった」「人災に至る経緯をまとめて報告する」などがあります。
二つ目の天災を使った分かりやすい例としては、「天災による被害を最小限にする」「天災地変に見舞われる」「天災が繰り返し起こった歴史がある」「天災事変などやむを得ない事由に対応する」などがあります。
人災と天災の使い分け方
人災と天災という言葉は、どちらも人命や社会生活を脅かすような災害を表します。二つの言葉は人に不幸をもたらす出来事を指すため、マイナスイメージのある言葉ですが、意味や使い方には違いがあります。
人災とは、人間の不注意などが原因で起こる災害を意味します。手抜き工事によるビルの倒壊、運転士のミスによる電車の脱線事故、重油タンカーの座礁事故による重油流出などは人災の一例です。
天災とは、自然界現象によって起こる災害を意味します。地震により建物が倒壊したり、台風や集中豪雨による河川の氾濫、火山の噴火による有毒ガス噴出などがあります。
つまり、人災とは人為的災害のことであり、天災とは自然災害のことです。人災であっても自然界の影響を受けている場合がありますが、人為的ミスが絡んでいる場合は人災と呼ばれています。
人災と天災の英語表記の違い
人災を英語にすると「accident」「man-made disaster」となり、例えば上記の「大惨事となった人災」を英語にすると「a man-made catastrophe」となります。
一方、天災を英語にすると「natural disaster」「natural calamity」となり、例えば上記の「天災による被害」を英語にすると「damage caused by a natural disaster」となります。
人災の意味
人災とは
人災とは、人間の不注意や怠慢が原因で起こる災害。水害や地震などで、十分な対策を講じておかなかったためにこうむる災害をいうを意味しています。
表現方法は「人災に見舞われる」「人災が起こる」「人災を防ぐ」
「人災に見舞われる」「人災が起こる」「人災を防ぐ」などが、人災を使った一般的な言い回しです。
人災の使い方
人災を使った分かりやすい例としては、「史上最悪規模の人災に見舞われる」「人災の反対は天災だろう」「人災の例を集めています」「収集した人災を一覧表にする」「コロナ禍での倒産は人災とも言える」などがあります。
その他にも、「人災により最悪の事態が起きた」「感染症の拡大も人災と捉える人がいます」「人災と天災は連動して起こります」「人災と賠償事故事例をまとめた冊子です」「天災に乗じた悪質な人災が発生した」などがあります。
人災とは、人の不注意やミス、怠慢が原因となって起こる災害のことです。一般に、天災とされる水害や地震などについて、十分な対策が講じられていなかったために被る災害を指します。対策していれば防げたと思われる災害に対して使われることが多くあります。
人災の事例は例えば安全確認を怠ったなど
人災の事例としては、工事現場において安全確認を怠ったことによる事故や、設計ミスによる建物の倒壊などがあります。また、東日本大震災での原発事故について、津波に対する十分な安全対策が取られなかったことを原因とする人災と位置付ける考えがあります。
人災の対義語
人災の対義語・反対語としては、地震や台風など自然界の変動によって受ける災難を意味する「天災」、天地間に起こる自然災害や異変を意味する「天変地異」などがあります。
人災の類語
人災の類語・類義語としては、戦争による災害を意味する「戦災」、事変や天災から受ける災難を意味する「変災」、労働者が業務に起因して被る災害を意味する「労災」などがあります。
天災の意味
天災とは
天災とは、地震・台風・雷・洪水など自然現象によってもたらされる災難を意味しています。
表現方法は「天災に見舞われる」「天災に備える」「天災による損害賠償」
「天災に見舞われる」「天災に備える」「天災による損害賠償」などが、天災を使った一般的な言い回しです。
天災の使い方
天災を使った分かりやすい例としては、「天災や疫病に相次いで見舞われる」「天災事変等の不可抗力があります」「天災に関する英語表現を学ぶ」「天災と日本人の歴史をひも解く」などがあります。
その他にも、「天災は忘れた頃にやってくる」「普段から天災地変に備える」「感染症は天災か人災か議論する」「天災時の賠償責任はどうなりますか」「古典落語の演目に天災があります」などがあります。
人災の事例は例えば地震・洪水・台風など
天災とは、自然現象が原因となって、人の命を脅かしたり人間の社会的活動に被害をもたらすような災害です。地震や洪水、台風など自然界に見られる諸現象によって起こり、人為的に避けにくい災害を指します。
「天災は忘れた頃にやってくる」の意味
上記の例文にある「天災は忘れた頃にやってくる」とは、戦前の物理学者である寺田寅彦の言葉です。自然災害はその悲惨さを忘れた頃に再び起こるものだ、という戒めとして使われています。
四字熟語「天災地変」「天災事変」の意味
天災という言葉を用いた四字熟語には「天災地変」「天災事変」があります。天変地変とは、自然界に起こるさまざまな災害を意味します。天災事変とは、天災地変に人災が加わることであり、地震による火災などを表します。
天災の対義語
天災の対義語・反対語としては、人間の不注意や無為がもとで起こる災害を意味する「人災」、根拠のない噂のために受ける被害を意味する「風評被害」などがあります。
天災の類語
天災の類語・類義語としては、地震による災害を意味する「震災」、ひでりによる災害を意味する「旱災」、洪水による災害や水害を意味する「水災」、風による災害や風害を意味する「風災」などがあります。
人災の例文
この言葉がよく使われる場面としては、人間の不注意や怠慢が原因で起こる災害を表現したい時などが挙げられます。
例文4のように、地震のように発生原因が自然現象であっても、人為的過失があるがゆえに災害が拡大したり二次災害が発生する場合も、人災と見なされることがあります。
天災の例文
この言葉がよく使われる場面としては、自然によってもたらされる災害を表現したい時などが挙げられます。
天災とは、さまざまな災害の中でも、自然による災害を指します。例文1にあるように、自然現象の科学的な仕組みが分からなかった古代では、災害をもたらす地震や洪水などは神様の怒りが引き起こすと考えられていました。
人災と天災という言葉は、どちらも災害を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、人為的ミスを原因とする災害を表現したい時は「人災」を、自然現象を原因とする災害を表現したい時は「天災」を使うようにしましょう。