似た意味を持つ「言質」(読み方:げんち)と「証言」(読み方:しょうげん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「言質」と「証言」という言葉は、どちらも証拠となる言葉を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
言質と証言の違い
言質と証言の意味の違い
言質と証言の違いを分かりやすく言うと、言質とは後で証拠となる約束の言葉、証言とは証拠となる事実を話すことという違いです。
言質と証言の使い方の違い
一つ目の言質を使った分かりやすい例としては、「取引相手から言質を取る」「うっかり言質を与える」「言質を取られることを恐れている」「警察官が犯人から言質を得る」「交渉先から言質取りました」などがあります。
二つ目の証言を使った分かりやすい例としては、「事件に関連した証言を集める」「裁判所で証人として証言台に立つ」「不正を認める新たな証言を得た」「児童の証言録取が裁判所に提出された」などがあります。
言質と証言の使い分け方
言質と証言という言葉は、どちらも証拠となる言葉を表しますが、意味や使い方には違いがあります。
言質とは、あとで証拠となる約束の言葉を意味します。主に取引や交渉の場で使われ、後々こちらが有利になるような言葉を表します。一方、証言とは、ある事を証明するための発言を意味します。主に法廷において、証人が審議されている事柄に関して自分が体験した事実を話すことを表します。
つまり、言質は後で証拠となる約束の言葉であり、証言はその場で証拠となる事実を話すことという違いがあります。
言質と証言の英語表記の違い
言質を英語にすると「promise」「commitment」「pledge」となり、例えば上記の「言質を取る」を英語にすると「take a pledge」となります。
一方、証言を英語にすると「testimony」「record」「verbal evidence」となり、例えば上記の「関連した証言」を英語にすると「relevant testimony」となります。
言質の意味
言質とは
言質とは、のちの証拠となる言葉を意味しています。
言質の読み方
言質の読み方は「げんち」の他に、誤読から慣用読みとなった「げんしち」「げんしつ」があります。ただし、一般的には「げんち」と読まれているので、こちらの方が通じやすいでしょう。また、「ことじち」という読み方は間違いです。
表現方法は「言質を取る」「言質とりました」「言質を得る」
「言質を取る」「言質とりました」「言質を得る」などが、言質を使った一般的な言い回しです。
言質の使い方
言質を使った分かりやすい例としては、「新たな契約に関する言質を取る」「トラブル相手から言質取りました」「録音してしっかり言質を取る」「憧れの先輩からデートの言質をとる」「ランチ奢りの言質取りました」などがあります。
その他にも、「交渉相手に言質を与えるな」「こちらに有利な言質を得る」「この会食で言質を得ることが目的です」「海外の会社から英語で言質を取る」「契約更新の言質とりました」などがあります。
言質という言葉の「質」は、「人質」でも使われているように抵当の意味があり、約束のしるしとして相手に預けておくものを表します。言質とは、あとで証拠となる約束の発言のことです。ビジネスシーンにおいては、交渉事などで口約束から有利に話を進めたい時に使われる言葉です。
「言質取りました」の意味
上記の例文にある「ランチ奢りの言質取りました」とは、言ったからには約束を守ってもおうと念押しの意味で使われる言葉です。言質という言葉はかしこまった固い表現ですが、あえて大げさに表現するために日常会話やアニメのセリフなどでも使われることがあります。
「言質警察」は誤り
言質を用いた誤った表現には「言質警察」があります。正しくは「現地警察」であり、実際に事件が発生した土地を管轄している警察を意味します。
言質の類語
言質の類語・類義語としては、人の言ったことを後の証拠として取っておくことを意味する「言葉質」、被告人や証人などが尋問に答えて事実を述べることを意味する「供述」、文書の記載内容である思想が証拠資料とされるものを意味する「書証」などがあります。
証言の意味
証言の意味
証言とは、ある事柄の証明となるように、体験した事実を話すことを意味しています。
その他にも、法廷などで証人が供述することの意味も持っています。
証言の読み方
証言の読み方は「しょうげん」です。誤って「しょうごん」と読まないようにしましょう。
表現方法は「証言する」「証言をもとに」「証言した」
「証言する」「証言をもとに」「証言した」などが、証言を使った一般的な言い回しです。
証言の使い方
「警察に万引き目撃の証言をする」「天安門事件を目撃した日本人たちの証言を集める」「当事者の証言でつづるドキュメンタリー映画です」などの文中で使われている証言は、「証明となるように体験した事実を話すこと」の意味で使われています。
一方、「被告人が証言台の前に立って宣誓をする」「国際仲裁での証言録取はまれに発生する」「外国人の目撃者が英語で証言する」などの文中で使われている証言は、「法廷などで証人が供述すること」の意味で使われています。
証言とは、何らかの事柄が事実であるか、または事実ではないかと証明するため、自分が見聞きしたことや経験した事実など述べることです。また、裁判所やその他の国家機関において、自分が実際に経験した事実を陳述することも表します。
「証言録取」の意味
上記の例文にある「証言録取」とは、訴訟当事者に対し、法廷外で行われる口頭または書面での尋問のことです。主にアメリカの民事訴訟で行われており、「デポジション」とも言います。
「証言拒否権」の意味
証言という言葉を用いた日本語には「証言拒否権」があります。刑事訴訟において、証人が一定の事項に関する供述を拒むことのできる権利のことです。「証言拒絶権」と言う場合もあります。
証言の類語
証言の類語・類義語としては、実際に物事に当たって調べ仮説などを証明することを意味する「検証」、ある与えられた判断が真であることを妥当な論拠を挙げて推論することを意味する「論証」、証拠をもって証明することを意味する「実証」、証拠となる例を意味する「例証」などがあります。
言質の例文
この言葉がよく使われる場面としては、あとで証拠となる約束の言葉を表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「言質を取る」とは、後々こちらが有利になるように相手に特定の発言を言わせることを意味します。例文2の「言質を与える」とは、後で相手に有利となるような発言をしてしまうことです。
証言の例文
この言葉がよく使われる場面としては、言葉で事実を証明すること、証人として事実を述べることを表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「目撃証言」とは、事件や事故などを目撃した者が、記憶に基づいてその出来事について法廷で説明することを意味します。
言質と証言という言葉は、どちらも証拠となる言葉を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、後で証拠となる約束の言葉を表現したい時は「言質」を、証拠となる事実を話すことを表現したい時は「証言」を使うようにしましょう。