【勲章】と【褒章】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「勲章」(読み方:くんしょう)と「褒章」(読み方:ほうしょう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「勲章」と「褒章」という言葉は、どちらも日本の栄典の一つを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




勲章と褒章の違い

勲章と褒章の意味の違い

勲章と褒章の違いを分かりやすく言うと、勲章とは国家や公共に対する功労を表彰するもの、褒章とは様々な分野での優れた功績を表彰するものという違いです。

勲章と褒章の使い方の違い

一つ目の勲章を使った分かりやすい例としては、「功労のある者に勲章を授ける」「勲章の授与式は宮中で行われる」「勲章の種類によって意味があります」「秋の叙勲勲章の伝達式を執り行う」「怪我は男の勲章さ」などがあります。

二つ目の褒章を使った分かりやすい例としては、「産業界に貢献し紫綬褒章を受章しました」「過去の褒章受賞者をチェックする」「2021年の褒章受章者に芸能人もいた」「明治14年に褒章条例が制定された」などがあります。

勲章と褒章の使い分け方

勲章と褒章という言葉は、どちらも日本の栄典の一つであり、社会や文化などに対する功労を表彰して授けられる記章を表しますが、意味や使い方には違いがあります。

勲章とは、国家に対して功労のあった者を表彰し授けられる記章です。公共のために長年つくした事柄をたたえて国家から授けられる場合もあります。勲章には等級があり、功績に応じて上位3段階、その下に6段階あります。勲章を授かることを「叙勲」と言い、春と秋に宮中で式典が行われています。

褒章とは、国家や社会に対して立派な行いや業績のあった人に授けられる記章です。団体に贈られることもあり、この場合は「褒状」と呼ばれます。褒章には、対象となる分野ごとに色の名前が付けられており、勲章のような等級はありません。

勲章と褒章はどちらが上かと考える人がいますが、勲章と褒章の内容や対象者が異なるので比較することは出来ません。ただし、勲章は天皇陛下から直接授与されるものがありますが、褒章は関係省庁の大臣や都道府県知事が伝達するという違いはあります。

勲章と褒章の英語表記の違い

勲章も褒章も英語にすると「medal」「badge」となり、例えば上記の「勲章を授ける」を英語にすると「award a medal」となります。

勲章の意味

勲章とは

勲章とは、国家や公共に対する勲功・功労を表彰して国から授けられる記章を意味しています。

その他にも、他人に自慢できること、その人の誇りとなるものの意味も持っています。

勲章の使い方

「勲章は天皇の名で授与される」「勲章の種類はご存知ですか」「文化勲章をもらうにはどうしたら良いですか」「日本の勲章について英語で説明する」「勲章買取してでも欲しい」などの文中で使われている勲章は、「勲功や功労を表彰して国から授けられる記章」の意味で使われています。

一方、「傷はオトコの勲章なのさ」「この膨大な実験記録は研究生の勲章です」「顔の傷はボクサーだった兄の勲章になっている」などの文中で使われている勲章は、「その人の誇りとなるもの」の意味で使われています。

勲章とは、位階、褒章と並ぶ日本の栄典の一つです。国家や社会公共に対して、優れた功績をあげた者を表彰するために国から与えられる名誉の標章のことです。現在22種の勲章があり、「菊花章」「桐花章」「旭日章」「瑞宝章」「宝冠章」「文化勲章」に大別されます。

さらに勲章は、このような名誉なシンボルであることから、比喩的に、その人にとって名誉となることや、他人に自慢できることの意味でも使われています。

「文化勲章」の意味

上記の例文にある「文化勲章」とは、芸術や学問など、文化の発達にめざましい功績をあげた人に授与される勲章のことです。1937年に制定され、毎年11月3日の文化の日に授与式が行われています。受章者は、原則として文化功労者の中から選ばれます。

勲章の対義語

勲章の対義語・反対語としては、公務員などの不正や不当な行為に対する制裁を意味する「懲罰」、罪に相当する罰を加えることを意味する「処罰」などがあります。

勲章の類語

勲章の類語・類義語としては、記念として参加者や関係者に与えるしるしを意味する「記章」、略式の勲章を意味する「略章」、国家や社会に功労のあった人を表彰して与えるものを意味する「栄典」などがあります。

褒章の意味

褒章とは

褒章とは、ある分野において立派な行いや功績のあった人を表彰するために国から与えられる記章を意味しています。

褒章の読み方

褒章の読み方は「ほうしょう」です。「ほしょう」「ほめしょう」などと読まないようにしましょう。

褒章の使い方

褒章を使った分かりやすい例としては、「教授が紫綬褒章を受章しました」「秋の叙勲褒章の受章者名簿を確認する」「褒章は叙勲対象とはなりにくい」「紺綬褒章をもらうには公益法人に寄付する必要がある」などがあります。

その他にも、「政府が春の褒章が発令した」「褒章条例により授与されることになりました」「英語の普及に貢献したとして褒章を授与された」「2021年春の褒章受章者は何人いますか」「過去の褒章受賞者を調べる」などがあります。

褒章とは、広く民間の善行者に授与される栄典です。紅綬褒章、緑綬褒章、藍綬褒章、紺綬褒章、黄綬褒章、紫綬褒章の6種がありますが、これらは表彰の対象となる善行や事績の内容により区別されるもので、等級の差はありません。

「紺綬褒章」の意味

上記の例文にある「紺綬褒章」とは、公益のために私財を寄付した者に授与されるものです。個人であれば500万円以上、団体であれば1,000万円以上を寄附した場合が対象となります。2021年の紺綬褒章の受章者には、新型コロナウイルスと闘う医療関連に対して多額の寄付を行った芸能人もいました。

褒章の対義語

褒章の対義語・反対語としては、不正や不当な行為に対して懲らしめることを意味する「懲戒」、社会的規範に背いた者に対して加えられるこらしめや罰を意味する「制裁」などがあります。

褒章の類語

褒章の類語・類義語としては、長く官職にあった者や特に功績のあった者などに与えられる栄典の一つを意味する「位階」、胸につける記章を意味する「胸章」、すぐれた行為や作品などを褒め称えることを意味する「褒賞」などがあります。

勲章の例文

1.日本の勲章の一つである瑞宝章をもらうには、公共的な業務で功労を積み重ねることです。
2.勲章の授与基準は、2003年5月の閣議決定により定められました。
3.文化勲章受賞者の一覧に、アポロ11号の宇宙飛行士アームストロングの名前があった。
4.海上自衛隊に入隊後30年、艦艇で勤務していた叔父が勲章を受章した。
5.ハードなトレーニング後の筋肉痛は、頑張って運動した勲章だと思ってます。
6.日本には菊花賞をはじめとしていくつかの勲章があるが、そのデザインに植物や蝶などの自然物が多く使われていることに、なんだかえも言われぬ日本らしさを感じた。
7.むかしは不良グループのなかで喧嘩が強いことがステータスとされていたので、怪我や傷跡というのは男の勲章でもあったのだ。
8.この膨大な実験記録はただの紙くずにしか見えないだろうが、わたしたち研究生にとっては勲章のようなもので誇り高きものである。
9.瑞宝章とは国家や公共に多大な功績があるものに与えられる勲章であり、有名なところでは次の1万円札の肖像画になる渋沢栄一が受賞している。
10.明治生まれの祖母からは勲章をもらえなくとも将来は社会に多大な貢献ができる人間になりなさいとよく言われたものだったよ。

この言葉がよく使われる場面としては、国家の功労者に対する名誉の記章、その人にとって名誉となることを表現したい時などが挙げられます。

例文1から例文4の文中にある勲章は、国家の功労者に対する名誉の記章を意味で使われています。例文1の「瑞宝章」とは、社会や公共のために功労がある者に授与される勲章です。例文5の文中にある勲章は、その人にとって名誉となることの意味で使われています。

褒章の例文

1.紫綬褒章をもらうには、推薦者や賛同者がそれぞれ書類を作成し、内閣府に郵送する手続きが必要です。
2.模範となるような技術や事績を有する者に与えられる黄綬褒章の受賞者は、実業家が多いような印象です。
3.過去に遡って褒章受賞者を調べたいのなら、内閣府のホームページが便利です。
4.2020年秋の紺綬褒章受賞者には、芸能人やスポーツ選手などの名前もあります。
5.2021年春の紫綬褒章者に、社会や公共の福祉に貢献したとして研究所の所長が選ばれた。
6.紅綬褒章、藍綬褒章など、それぞれの褒章には色の名前が入ることが特徴であるが、その事績の内容ごとに割り振られた色を見ていると、なるほどと思うものが多いように感じる。
7.うちの大学の教授が紫綬褒章を受章することになったので、大学としても大々的に宣伝していたが、教授本人は至っていつも通りであった。
8.紺綬褒章の受章者には多くの企業家たちが名を連ねていたが、彼らは莫大な資金力でもって寄付をしたのだから褒章を金で買ったと言われることもあるだろう。
9.紅綬褒章はみずからの危険を顧みずに人命救助に尽くした者に贈られる褒章であり、過去に受章したもののなかには未成年者もいる。
10.そろそろ秋の褒章が発表される頃だが、いつもテレビで紹介されるのはほとんど芸能人であり、なかなか一般人の受章は取り上げられない。

この言葉がよく使われる場面としては、民間人の善行を表彰する趣旨で国から与えられる名誉の標章を表現したい時などが挙げられます。

例文1の「紫綬褒章」は、学術、芸術、技術開発等の功労者を対象とし、スポーツで顕著な業績を上げた人も含まれます。例文2の「黄綬褒章」は、業務に精励し他の人の模範となる者を表彰するために1955年制定されたものです。

勲章と褒章という言葉は、どちらも日本の栄典の一つを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、国家や公共に対する長年の功労を表彰するものを表現したい時は「勲章」を、様々な分野での優れた功績を表彰するものを表現したい時は「褒章」を使うようにしましょう。

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