同じ「ていじ」という読み方の「提示」と「呈示」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「提示」と「呈示」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。
提示と呈示の違い
提示と呈示の意味の違い
提示と呈示の違いを分かりやすく言うと、提示とは相手に分かるように示すこと、呈示とは相手に見せることという違いです。
提示と呈示の使い方の違い
一つ目の提示を使った分かりやすい例としては、「新しいデータの提示に注目が集まった」「ワクチン接種証明の提示が義務化される」「学生に課題を提示する」「ビジネス文書の書き方を提示する」などがあります。
二つ目の呈示を使った分かりやすい例としては、「支払請求のために証券を呈示する」「小切手を銀行に呈示する」「支払呈示期間を確認して下さい」「印象操作のために自己呈示をしている」などがあります。
提示と呈示の使い分け方
提示と呈示という言葉は、どちらも「ていじ」と読み、差し出して相手に示すことという共通する意味を持ちますが、使い方には少し違いがあります。
提示とは、「証明書の提示」のように、単にその場で出して見せることの意味で使われるだけでなく、「書き方を提示する」のように、相手に内容が分かるようにして示すことの意味でも使われています。
一方、呈示とは、「証券を呈示する」「小切手を呈示する」のように、もっぱら相手に差し出して見せることの意味で使われる言葉です。提示のように、相手に分からせるというニュアンスはありません。
二つの言葉を比べると、呈示よりも提示の方が広い意味を持ち、汎用性のある言葉だと言えるでしょう。また、法令用語や新聞や放送などのメディアでは、統一して「提示」を使うようになっています。
提示と呈示の英語表記の違い
提示も呈示も英語にすると「presentation」「exhibition」となり、例えば上記の「新しいデータの提示」を英語にすると「the presentation of new data」となります。
提示の意味
提示とは
提示とは、差し出して見せることを意味しています。
表現方法は「提示する」「提示された」「提示額」
「提示する」「提示された」「提示額」などが、提示を使った一般的な言い回しです。
提示の使い方
提示を使った分かりやすい例としては、「取引条件を提示する」「その提示価格は受け入れられません」「類語をいくつか提示する」「英語論文の書式を提示する」「勉強がどのように役立つか提示する」などがあります。
その他にも、「ご提示いただいた日程で問題ありません」「ご提示ありがとうございます」「ポイントカードを提示する」「相手方から示談案が提示された」「提示された金額で了承する」などがあります。
提示という言葉の「提」は与えるために出すこと、「示」は相手に伝わるように見せることを表します。提示とは、相手に分からせるように差し出して見せることを意味します。証明書やカードなど目に見えるものだけでなく、条件や方法など目に見えないものを伝える時にも用いられる言葉です。
「ご提示」の意味
上記の例文にある「ご提示」とは、提示の敬語として日常生活やビジネスシーンで使われる表現です。「ご」は尊敬語を示す接頭辞であり、何かを見せて欲しいことを丁寧に表現したい時に「ご提示ください」「ご提示願います」などと言います。
提示の対義語
提示の対義語・反対語としては、隠して人に見せないことや秘密にしておくことを意味する「隠秘」、物や金を受け取ることを意味する「受領」、提出された届けや訴状などを受け取って処理することを意味する「受理」などがあります。
提示の類語
提示の類語・類義語としては、説き明かし示すことを意味する「開示」、はっきり示すことを意味する「明示」、例をあげて示すことを意味する「例示」、書類や資料などを差し出すことを意味する「提出」、美術品などを並べて一般に公開することを意味する「展示」などがあります。
呈示の意味
呈示とは
呈示とは、差し出して見せることを意味しています。
その他にも、手形や小切手などの所持者が、支払請求のため振出人や支払人または引受人に証券を示すことの意味も持っています。
表現方法は「呈示された」「自己呈示」「対呈示」
「呈示された」「自己呈示」「対呈示」などが、呈示を使った一般的な言い回しです。
呈示の使い方
「必ず身分証明書を呈示すること」「彼女は自己呈示が強い人だ」「刺激の呈示変数に関する論文です」「英単語を反復呈示して学習する」などの文中で使われている呈示は、「差し出して見せること」の意味で使われています。
一方、「小切手の呈示期間は発行日後の10日間です」「手形の支払呈示を忘れていた」「呈示書面と併せて預け先証券会社へ返送する」などの文中で使われている呈示は、「支払請求のため支払人や引受人に証券を示すこと」の意味で使われています。
呈示という言葉には、上記の例文にあるように二つの意味があります。ただし、「差し出して見せること」の意味では「提示」と書き表すことが多くなっており、呈示は「支払請求のため支払人や引受人に証券を示すこと」の意味で使われることが殆どです。
「支払呈示期間」の意味
呈示という言を用いた日本語には「支払呈示期間」があります。手形や小切手について、支払呈示をなすべき期間をいいます。支払呈示とは、手形や小切手の所持人が振出人や支払人などに証券を呈示して支払いを求める行為であり、その有効期間を表します。
呈示の類語
呈示の類語・類義語としては、ある状態を現すことや差し出すことを意味する「呈出」、はっきりと表し示すことを意味する「表示」、証拠を挙げて明らかにすることを意味する「証明」などがあります。
提示の例文
この言葉がよく使われる場面としては、差し出して見せることを表現したい時などが挙げられます。
例文4の文中にある提示は、見せることの意味合いが強いため「呈示」という言葉に置き換えることが出来ます。ただし、一般的には「呈示」よりも「提示」と表記されています。
呈示の例文
この言葉がよく使われる場面としては、差し出して見せること、 手形や証券などの所持者が支払請求のため支払人または引受人に手形を示すことを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「自己呈示」とは、心理学で「自己提示」とも書き、自分にとって望ましい印象を与えようとして意図的に振る舞うことです。対する言葉には、ありのままの自分をさらけ出すことを意味する「自己開示」があります。
提示と提示という言葉は、どちらも差し出して見せることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、一般的に使われている「提示」を使えば間違いないでしょう。