似た意味を持つ「世俗」(読み方:せぞく)と「俗世」(読み方:ぞくせ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「世俗」と「俗世」という言葉は、どちらも世間一般を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
世俗と俗世の違い
世俗と俗世の意味の違い
世俗と俗世の違いを分かりやすく言うと、世俗とは世の中だけでなく世の中の習慣も表し、俗世とは世の中のみを表すという違いです。
世俗と俗世の使い方の違い
一つ目の世俗を使った分かりやすい例としては、「世俗を離れてのんびり過ごしたい」「世俗的でない生き方がしたい」「人々は宗教を離れ世俗化する傾向にある」「世俗に従いマスクをする」などがあります。
二つ目の俗世を使った分かりやすい例としては、「山里に俗世間を離れて生きる人がいます」「俗世を越えた芸術の美しさに感動する」「私は俗世に疎いので流行ものが分かりません」「出家して俗世を捨てる」などがあります。
世俗と俗世の使い分け方
世俗と俗世という言葉は、「世の中や世間一般」という共通する意味を持っています。この意味で使われている「世俗を離れてのんびり過ごしたい」の世俗は、俗世という言葉に置き換えることが出来ます。
さらに世俗は、「世の中の風俗や習慣、世のならわし」の意味も持っています。この意味で使われている「世俗に従いマスクをする」の世俗は、俗世という言葉に置き換えることは出来ません。
二つの言葉を比べると、俗世よりも世俗の方が広い意味を持ち、汎用性のある言葉だと言えるでしょう。
世俗と俗世の英語表記の違い
世俗も俗世も英語にすると「earthly life」「the world」となり、例えば上記の「世俗を離れる」を英語にすると「leave the world」となります。
世俗の意味
世俗とは
世俗とは、俗世間、俗世間の人を意味しています。
その他にも、「世の中の風俗や習慣、世のならわし」の意味も持っています。
表現方法は「世俗にまみれる」「世俗に染まる」「世俗から離れる」
「世俗にまみれる」「世俗に染まる」「世俗から離れる」などが、世俗を使った一般的な言い回しです。
世俗の読み方
世俗の読み方は「せぞく」の他に「せいぞく」がありますが、一般的には「せぞく」と読まれています。
世俗の使い方
「世俗にまみれることを恐れた」「世俗的な人間主義の立場をとる」「過度の世俗化が生んだ思想です」「フランスの世俗主義には長い歴史があります」「世俗説話の代表作を読む」などの文中で使われている世俗は、「俗世間、俗世間の人」の意味で使われています。
一方、「世俗に染まることを嫌う」「世俗に惑わされないように」「上京してから世俗にまみれた生活を送る」「キリスト教では世俗化論が盛んです」などの文中で使われている世俗は、「世の中の風俗や習慣」の意味で使われています。
世俗という言葉は、上記の例文にあるように二つの意味があるため、文脈により意味を捉える必要があります。世俗の「世」は世の中や一般社会を表し、「俗」は世間の習わしや世間一般を表します。
「世俗主義」の意味
上記の例文にある「世俗主義」とは、政治や個人の行動の規範は、特定の宗教の影響から独立していなければならないとする考え方のことです。
「世俗画」の意味
世俗という言葉を用いた日本語には「世俗画」があります。非宗教的な主題である風景や風俗を描いた絵画のことです。特に平安・鎌倉時代の世俗絵は「やまと絵」と呼ばれていました。
世俗の対義語
世俗の対義語・反対語としては、世俗を超越することを意味する「超俗」、俗世間との関係を絶った人を意味する「世捨て人」、俗世との交わりを避け隠れて住む人を意味する「隠者」などがあります。
世俗の類語
世俗の類語・類義語としては、世俗の人の住んでいる所やわずらわしい世の中を意味する「俗界」、わずらわしい俗世間を意味する「風塵」、汚れた俗世間を意味する「塵界」、世間一般の人々を意味する「俗衆」、その土地に伝わる生活や行事などの習わしを意味する「風習」などがあります。
俗世の意味
俗世とは
俗世とは、世の中、俗世間を意味しています。
俗世の読み方
俗世の読み方は「ぞくせ」と「ぞくせい」の二通りあります。俗世の「世」は呉音で「せ」、漢音で「せい」と読むためです。どちらで読んでも構いませんが、一般的には「ぞくせ」と読まれています。
表現方法は「俗世を超越する」「俗世との関わりを断つ」「俗世にまみれる」
「俗世を超越する」「俗世との関わりを断つ」「俗世にまみれる」などが、俗世を使った一般的な言い回しです。
俗世の使い方
俗世を使った分かりやすい例としては、「俗世との関わりを断つことは難しい」「俗世間に嫌気がさして尼になる」「俗世を離れる暮らしがしたい」「俗世的な考え方は好きではありません」「俗世を捨てて生きようと思う」などがあります。
その他にも、「俗世的な価値観にとらわれてしまう」「大昔、俗世の七執政と呼ばれる七神がいました」「俗世間を離れた隠居生活に憧れます」「俗世間とは異なった理想の土地に行きたい」などがあります。
俗世とは、人々が生活をしているこの世や現実の世界を意味する言葉であり、「俗世間」とも表します。俗世という言葉は、日常生活から離れたいという願望を表すときに用いられ、「俗世との関わりを絶つ」「俗世から離れる」「俗世を捨てる」などと言います。
俗世の対義語
俗世の対義語・反対語としては、仏教用語で一切の煩悩を離れた清浄な国土を意味する「浄土」、神聖な地域を意味する「聖域」などがあります。
俗世の類語
俗世の類語・類義語としては、一般の人々が日常の暮らしをしているこの世を意味する「俗世間」、汚れた俗世間を意味する「塵界」、仏教用語で煩悩や苦しみの多いこの世を意味する「娑婆」などがあります。
世俗の例文
この言葉がよく使われる場面としては、俗世間、俗世間の人、世の中のならわしを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「世俗にまみれる」とは、大衆的な快楽や欲望にとらわれていることを意味するマイナスイメージの言葉です。例文4の「世俗的」とは、世間で普通であるさまや、俗っぽいさまを表します。
俗世の例文
この言葉がよく使われる場面としては、世の中、世間を表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「俗世にまみれる」の意味は、大衆的な考え方や快楽にとらわれることです。例文3の「俗世を超越する」とは、俗世間の些事にとらわれなくなることを意味します。
世俗と俗世という言葉は、どちらも世の中や世間一般を表します。さらに世俗には「世のならわし」の意味もあります。どちらの言葉を使うか迷った場合、広い意味を持つ「世俗」を使っておけば間違いないでしょう。