同じ「まじる」という読み方、似た意味を持つ「混じる」と「交じる」と「雑じる」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「混じる」と「交じる」と「雑じる」という言葉は、どれも2つ以上のものが1つになることを意味するという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「混じる」と「交じる」と「雑じる」の違い
「混じる」と「交じる」と「雑じる」の意味の違い
混じると交じると雑じるの違いを分かりやすく言うと、混じるとは一緒になって溶け合って区別がなくなることで、交じるとは一緒になっても区別が出来ることで、雑じるとは異物が入ってきて全体が不純になることを意味しているという違いです。
「混じる」と「交じる」と「雑じる」の使い分け方
一つ目の「混じる」は「溶け合って区別がなくなる」という意味合いを持つ言葉です。例えば「この絵の太陽は、赤混じりの黄色で描かれている」という表現は、黄色と赤の境界線がない、グラデーションのような色を指し示しています。
溶け合うというイメージがあることから、液体に対して使われることも多い言葉です。混じるという言葉にさんずいが使われていることに注目してみて下さい。
二つ目の「交じる」は「一緒になっても区別できる」という状況を表現する言葉です。例えば「白髪が交じる」や「大人が一人だけ交じっている」などのように使われます。混じるが溶け合って区別が無くなるのに対して、交じるは区別がつく状況に対して使われます。
三つ目の「雑じる」は「異物が入ってきて不純になる」という意味の言葉です。雑の字を使った「雑種」(読み方:ざっしゅ)は、別々の犬種を掛け合わせた犬のことで、「雑草」(読み方:ざっそう)はそれが生えている周囲全体が荒れていることを連想させます。
ただし、雑じるは常用外の使い方なので、普通は「混じる」で代用されます。
異物が入ることを「混入」(読み方:こんにゅう)、色々なものが雑然とひとまとまりになっていることを「混在」(読み方:こんざい)ということから分かるように、わざわざ雑じるという言葉を使わなくても、混じるを使うことで同じことが表現出来ます。
「混じる」の意味
「混じる」とは
混じるとは、二つ以上のものが溶け合って、区別なく一つになることを意味しています。
表現方法は「雑音が混じる」「色が混じる」「入り混じる」
「雑音が混じる」「色が混じる」「入り混じる」などが、混じるを使った一般的な言い回しです。
「混じる」の使い方
例えば絵の具を全て混ぜるとどす黒い色になりますが、どす黒い色の中から元々の赤や青などの色を識別することは不可能です。
異物が入って不純なものになることを意味する「雑じる」は常用外なので、普通は混じるで代用されます。この二つの言葉は、「何かが入ってきて全体が変質する」という意味合いが共通しています。
例えばパレットの上に広げていた絵の具に、チューブから別の色の絵の具を出して掛け合わせると、全体の色が変わります。また、血統書付きの犬が別の犬種の犬と交雑すると、子の犬は雑種になります。血統書が指し示していた血筋という全体が途絶えます。
なお、「混じる」とほぼ同一の意味の言葉として「混ざる」があります。
「混じる」を使うと、大きなものに小さなものが溶けるというニュアンスが出ます。「黄色に赤が混じる」であれば、黄色がメインで赤がサブというイメージです。
もう一つの「混ざる」を使うと、同程度の物同士が一体化するというニュアンスになります。「黄色と赤が混ざる」であれば、黄色と赤色は比率として半々になっているということです。
「混じる」の対義語
混じるの対義語・反対語としては、一緒になっていたものがバラバラになることを意味する「分離」などがあります。
「混じる」の類語
混じるの類語・類義語としては、混じるを意味する英語のカタカナ表記である「ミックス/ミクス」、様々な物を混ぜて一つにすることを意味する「綯い交ぜ」(読み方:ないまぜ)などがあります。
混じるの混の字を使った別の言葉としては、状況などが複雑で、先を見通すことが出来ないことを意味する「混迷」、本来は分けるべきものを一緒にしてしまうことを意味する「混同」、良い物も悪いものも含まれていることを意味する「玉石混交」などがあります。
「交じる」の意味
「交じる」とは
交じるとは、一緒になっても区別が出来る状況を意味しています。
表現方法は「白髪が交じる」「敵味方が入り交じる」「男子に交じる」
「白髪が交じる」「敵味方が入り交じる」「男子に交じる」などが、交じるを使った一般的な言い回しです。
「交じる」の使い方
例えば「黒髪にところどころ白髪が交じる」と言えば、元の黒髪と新しく増えてきた白髪が区別が出来るということです。
また日本語の記法は「漢字仮名交じり文」が普通です。漢字だけで構成される漢文に対して、漢字に加え、日本で発達した「かな文字」によって構成される書き言葉が「漢字仮名交じり文」と呼ばれます。漢字とかな文字の区別が付くので交じるが使われています。
交じるの交は、他の熟語に使われていても「区別がつく」という意味を保ち続けています。
例えば、二つ以上の道路が重なって十字になっている箇所を意味する「交差点」では、それぞれの道路は区別されています。「物を交換する」場合でも、以前の物と新しい物は別々に区別されています。「親交」という言葉でも、自分と友人は別々の人間です。
ただし、交じると混じるのどちらを使っても良い場合もあります。「ボランティアグループに交じる」と言えば、まだ日が浅く慣れていない印象を与え、「混じる」を使えばグループにどっぷりと浸りきって、慣れているという印象を与えます。
「交じる」の類語
交じるの類語・類義語としては、複数のものを一つにすることを意味する「組み合わせる」があります。
「交じる」の
「雑じる」の意味
「雑じる」とは
雑じるとは、不純物が入って全体を駄目にすることを意味しています。
表現方法は「異物が雑じる」「血が雑じる」「血統が雑じる」
「異物が雑じる」「血が雑じる」「血統が雑じる」などが、雑じるを使った一般的な言い回しです。
「雑じる」の使い方
「まじる」と読むのは雑という漢字の常用外の使い方なので、普通は「混じる」で代用されます。
雑じるという言葉の意味を考えるには、「雑然」(読み方:ざつぜん)や「雑草」などの言葉から始めると分かりやすくなります。雑然というのは、例えば部屋が物で散らかっている状態を表します。物によって部屋全体が駄目になっているというイメージがあります。
次の雑草というのは道端に生えているものを連想しますが、手入れのされていない庭や花壇に生える意図しない植物のことも雑草と言います。後者の場合、それは庭や花壇という場所全体を台無しにしているというイメージを湧かせます。
ただし、こうしたイメージを持つのは雑じるだけではなく、混じるも一定程度持っています。異物が入ることを「混入」と言いますが、それは物を駄目にするというイメージと切っても切り離せません。
また「混雑」(読み方:こんざつ)という言葉では、どちらの漢字も大変な状況を表現するという機能を持っています。
そう考えると、雑じるという言葉は独自のニュアンスを失うことになります。混じるで代用されるのも仕方がありません。
「混じる」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、一緒になって区別が付かないことを表現したい時などが挙げられます。例文2では、話し相手の言葉と相手の背後の声が一緒になって聞こえてしまうため、相手の言葉が瞑れて聞こえるという状況が表現されています。
例文1の「いりまじる」は「入り交じる」と書くことも多い言葉です。「入り交じる」を使うと、様々な感情が交互に変転するというイメージがあり、「入り混じる」では頭の中がこんがらがってぐちゃぐちゃになっているという状況を表現しています。
「交じる」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、一緒になっても二つのものが区別できる状況を表現したい時などが挙げられます。混じるが、水に絵の具が溶けるように、二つのものが区別出来なくなるのとは異なって、交じるは区別が出来ることを示すために用いられます。
例文1であれば黒髪と白髪、例文2であれば花壇の花と雑草、例文3であれば子供とお父さんがそれぞれ区別されています。
交じるという言葉の使い方で大切なのは、実際に区別できるかどうかではなく、「原理的に区別が出来る」という点です。
白髪は増えれば黒髪と区別するのが面倒ですし、増えた雑草から花を見つけるのは骨が折れます。しかし、二つのものは混じり合っているのではありません。
「雑じる」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、不純物が混じることを表現したい時などが挙げられます。雑じるという言葉は雑という漢字の常用外の使い方なので、普通は混じるという言葉が使われます。
また、雑じるのニュアンスは混じるを使っても表現出来るものです。なので、何があっても雑じるという言葉は使わないのが無難です。